最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 訴外Aは、平成八年七月当時、堺市立「三原台小学校」の六年生であったが、通学先の同小学校で給食を食べたところ、他の多数の児童とともに、食中毒を発症し、「O一五七」感染症により溶血性尿毒症症候群に罹患したとして、大阪大学附属病院に入院して治療を受けていたが、同年八月、敗血症によ...
《解 説》
一 事案の概要
(一) 身分関係は、次のとおりである。
(二) 甲は、本件各不動産を所有していたが、昭和27年に死亡し、現在は、上告人浩志、同朋子がそれぞれ単独の登記名義人である(各不動産の登記名義人である各上告人らを、以下「Y」という。なお、乙(増田卓夫)の相続人間では遺...
《解 説》
一 本件は、建築基準法四二条二項のみなし道路指定がされた土地の一部に、その所有者であるYらが金属製ポールを設置したことから、右道路の向かい側の土地の所有者であるXらが、自動車の通行が不可能となったとして、通行地役権又は通行の自由権(人格権)に基づき、右金属製ポールの撤去を求めた...
《解 説》
本件は、平成四年一一月一〇日に死亡した者(X、Yの母)の共同相続人であるX(上告人・兄)、Y(被上告人・妹)間で、一旦遺産分割審判が確定した後、Xが遺産分割の前提とされたいわゆる特別受益財産の範囲、その価額、相続財産の価額を争い、Yに対し、右審判の前提とは異なる具体的相続分の額...
《解 説》
一 本件は、平成四年と平成五年に行われた町長選挙と衆議院議員総選挙に際し、それぞれ選挙長の行う立候補届出受理業務を偽計及び威力を用いて妨害したとして、業務妨害罪の成否が争われた事案である。被告人は、受付順位を決定するくじを引く際に、「気を付け」と怒号したり、職員が立候補届出の必...
《解 説》
一 Xらの二男である訴外Aは、平成七年八月当時、静岡県賀茂郡西伊豆町立仁科小学校の五年生に在籍していたが、同月四日、PTA事業として行われたプール開放に参加し、同小学校に設置されているプールにおいて遊泳していたところ、同プールの底に設置されていた排水管口に右膝が吸い込まれ、脱出...
《解 説》
一 本件は、原告の相続税に関し、原告が相続により取得した有限会社に対する出資の評価方法が争われた事案である。
事案の概要は、次のとおりである。原告の父Aは、顧問税理士の考案したスキームに従い、相続税対策として会社を二つ設立することにし、まず、Aの妻B及び原告を連帯保証人として...
《解 説》
N市(市長Y3)は、スポーツレクリエーション施設基本計画を策定し、昭和六三年七月、市の土地開発公社(Y2)に本件計画予定地の一部の先行取得を依頼した。N市は、本件計画の一部としてゴルフゾーンを設け、ゴルフ場を市の第三セクターであるF社(N市の出資比率は二〇パーセント)に運営させ...
《解 説》
一 昭和六三年一〇月二五日、愛媛県松山市の会社社長宅で、紙箱に仕掛けられていたダイナマイトが爆発し、一人が死亡し、四人が重軽傷を負った。県警は、右事件の捜査を進め、X1は会社社長と会社の経営権をめぐってトラブルのあったことから、複数の容疑者のうちの一人とされていた。
X1は、...
《解 説》
一 本件は、いわゆるバブル経済期に、金融機関から借り入れた巨額の資金で株式投資等をし、その資金繰りのために、偽造した信用金庫の預金証書を担保に融資を受けたことで刑事責任を追及されるに至った料亭の女将が行っていた融資取引の一部にかかわる事件である。
この料亭の女将は後に破産宣告...
《解 説》
一 X(原告)が、分譲マンションを建設しようとしたところ、右マンション建設予定地の近隣住民がマンション建設反対対策協議会を結成し、その構成員が、平成七年六月下旬から同年一〇月上旬までの間、複数回にわたり、工事車両の工事現場への進入を妨害するなどの方法で、マンションの建設工事を妨...
《解 説》
一 特定住宅金融専門会社Aが、その貸付債権担保のために共同担保として抵当権を有していた訴外会社B所有の附属建物を含む工場建物とその敷地のうちの工場建物を、被告建設会社の従業員Cが取り壊した。本件は、右取壊しは、Cがその所有者B社及び抵当権者A社の了解なく、被告会社の事業の執行と...
《解 説》
一 X1とX2は、平成六年一〇月当時、兵庫県尼崎市武庫町所在の木造二階建居宅店舗に居住していたが、同月一二日、隣接する建物に居住していたYが右建物に放火したため、X1とX2が負傷し、X1の長女Aが焼死したほか、右建物の一階が焼失した。
そこで、X1は、Yに対し、不法行為に基づ...
《解 説》
一 X1、X2、X3は、それぞれ二〇歳前後から長期に及ぶ喫煙歴を持ち、X1は前がん状態、X2は胃がんの疾患を有するものである。X4は非喫煙者で、気管支に疾患を持つものである。X1ないしX4は、能動喫煙及び受動喫煙の身体に及ぼす害並びにたばこ依存症なる疾患の存在を主張し、X1ない...
《解 説》
一 Xの子である訴外Aは、平成二年三月、意識障害、思考停止等の症状がみられたため、大分大学医学部附属病院を受診したところ、「モヤモヤ病」と診断されたため同病院に入院し、同年五月、同病院において脳・筋・動脈癒合術(以下「EMAS」という。)を受けたところ、手術後、覚醒不十分で意識...
《解 説》
一 X(大正三年生)は、昭和一三年七月に訴外Aと婚姻したものであるところ、その間に長女B(昭和一九年八月五日生)が出生したものとして戸籍に記載されているが、Bは、Xの子ではないと主張し、Bの死亡後、Y(検察官)を被告として、XとBとの間に親子関係がないことの確認を求めたが、その...
《解 説》
一 本件の事案は以下のとおりである。A男とB女は息子と母親である。両名は、四日間の予定で旅行会社の企画したフィリピン旅行に参加するにあたり、Yとの間で、それぞれ各人を被保険者とする保険契約(海外旅行傷害保険契約、保険料はそれぞれ七〇〇〇円)を締結した(ただし、手続はB女がすべて...
《解 説》
一 原告は、家具に使用するスライド蝶番(家具本体に取り付けるアームと扉に取り付けるカップとを二個のリンクにより連結し、かつ作動ばねを備えた形式もの)に係る特許権を有しており、被告は、家具に使用する右形式のスライド蝶番(被告製品)を製造販売している。本件は、原告が被告に対し、被告...
《解 説》
一 本件は、簡易裁判所書記官が発した債権者Xの債務者Yに対する請求に係る支払督促(以下「本件支払督促」という。)に対し、第三者Zが、Yの補助参加人として異議を申し立てたので(以下「本件異議申立て」という。)、同裁判所書記官において、本件支払督促に係るXのYに対する請求(本判決に...
《解 説》
一 Yは、産業廃棄物処理業を営む会社であり、三重県内で産業廃棄物処理場の設置を計画した。三重県においては、産業廃棄物処理指導要綱により、処理事業者は、産業廃棄物処理場の設置予定地の隣接地所有者全員と、付近住民の三分の二以上の者から同意書を取得しなければならないと定められているた...
《解 説》
一 XはYが代表取締役を務めるA会社に対し、自己がA会社の株主及び取締役であると主張して株主総会決議取消等の訴えを提起したが、右訴訟はXの敗訴で確定した。本件は、Xが、右訴訟で敗訴したのは、Yが同事件において証人として証言したSに対し偽証を教唆したためであり、そのため、XはA会...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用の事案であるが、被告人が本件の数日前に行った非現住建造物等放火未遂、器物損壊等の事件について捜査段階でなされた、「その犯行当時、覚せい剤精神病による幻覚妄想状態にあって、物事の是非善悪を判断し、それに従って自己の行動を統御する能力は失われていた。」...
《解 説》
一 本件は、日本道路公団の経理部担当理事として同公団の政府保証付き外貨道路債券の発行及び償還に関する事務等を掌理し、同債券発行に当たっての引受主幹事等の指名等の業務を統括していた被告人が、日本道路公団が発行する右債券の引受に関し、野村證券株式会社等民間金融機関七社から、その関連...