最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、国が建設・供用を計画している一般国道北勢バイパス(「本件バイパス」という。)の建設予定地に隣接する三重県四日市市三滝台(「三滝台」という。以下同県内の県の記載を省略。)の住民らが、国に対し、本件バイパスの建設・供用に伴って発生する大気汚染及び騒音により、受忍限度を超...
《解 説》
一 事案紹介
本件は、Y市立小学校第六学年に在籍していた男子生徒Aが、平成六年九月九日に担任教師Bから殴打され(本件殴打行為)、同日中に自宅付近の裏山で首をつって死亡しているのが発見されたことについて、Aの両親であるXらがYに対して、①Aは担任教師Bによる本件殴打行為が引きが...
《解 説》
一 本件は、Yとの間でYの経営する預託金会員制のゴルフクラブに入会する契約を締結したXらが、Yの債務不履行(ゴルフ場のオープン遅延、附帯施設であるホテル等の未整備等)を理由に入会契約を解除したとして、Yに保証金等の返還を求めた事件である。
二 事案の概要は、次のとおりである。...
《解 説》
一 はじめに
本件の中心争点は、特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言(=相続させる遺言)がされた場合に、遺言執行者が遺言の執行として右不動産の登記手続に関与することができるか、という問題である。本判決は、相続人の一人又は第三者が右不動産につき不実の登記を経由するな...
《解 説》
一 本件は、Y会社の株主の一人であるXが株主総会の決議の方法に違法があるとして、総会決議の取消しと取締役会決議の無効確認を求めた事件である(Xは総会決議の無効確認も求めていたが、一審で棄却され控訴をしなかったので右請求については触れない。)。
Y会社は、X(長男)とY会社代表...
《解 説》
一 事案の概要
1 被告は、「クロム酸鉛顔料およびその製法」という名称の本件発明の特許権者であった(特許権は、期間満了により既に消滅している。)。原告ら及び訴外日本無機化学工業㈱は、それぞれ被告特許の無効審判を請求し、これら審判手続が併合された上、一通の請求不成立審決がされた...
《解 説》
一 事案(身分関係図参照)
韓国人のAは韓国人の妻Bとの間にY3(男)、Y4(女)、Y5(女)の三人の子をもうけた。Aは、その一方で日本人のDとも男女関係を持ち、Y1、Y2をもうけた。その後Aは、Bと離婚し、韓国人のCと昭和三六年九月に婚姻した。
Aは、昭和三八年二月に日本...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、担保権が設定された土地を売渡担保により取得し、これを第三者に賃貸して営業用駐車場として使用させていたが、右土地に係る地方税法附則三一条の五(平成一〇年法律第二七号による削除前)に規定する特別土地保有税(いわゆるミニ保有税)について、その取得価額に基づき税...
《解 説》
一 原告らは、大阪府が日本下水道事業団(以下「事業団」という)に発注した下水道工事のうちの電気設備工事について、事業団が行った指名競争入札において、業者らが事業団から工事の件名及び発注予定金額の提示を受けた上で受注予定者を決定し、入札価格を調整するという談合をしていたこと、仮に...
《解 説》
一 本件は、八王子市が下水道事業団に委託した下水処理場の電気設備工事につき、下水道事業団が電気設備工事業者に発注するに当たり、電気設備工事業者九社による談合が行われ、右談合には下水道事業団も関与しており、右談合によって水増しされた価格で、下水道事業団と電気設備業者との間の請負契...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
不動産業者であるXは、Yとの間でその所有地(Yの親族等が所有している三筆の土地所有者の一筆)の売却について有効期間三ヶ月の専任媒介契約を締結し、その際、媒介契約終了後二年以内にYが紹介により知った者とYを排除して売買契約を締結したとき...
《解 説》
一 事案の概要
X(第一審原告・被控訴人)は、軽乗用自動車(以下「X車両」という。)を運転中、A(第一審相被告)運転の普通乗用自動車に並進され、高速度で追立てられたり、パッシングをされるなどされたことにより、カーブに即応した速度調整、ハンドル操作ができなくなり、右X車両を石塀...
《解 説》
一 Xは、美術品の販売等を営むことを目的とする会社であり、平成七年七月一九日、同種の営業を行うYの店舗において、堂本印象と表示のある花鳥の画幅(以下「本件画幅」)を見せられ、Yから本件画幅を一五〇万円で購入したが、後日本件画幅が贋作であることが判明したため、本件画幅の売買は要素...
《解 説》
一 本件は、白蟻の駆除ないし予防の請負を業とするYにおいて、建物の建築業者のXとの間の請負契約に基づき、Xが新築工事を請け負って完成した建物について白蟻予防を施行した後、当該建物の施主に宛てて保証書を発行していたところ、その後、当該建物に白蟻が発生したため、Xが、その駆除などを...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Y1(被告会社)が芸能学園の開校を計画していたところ、X(原告)が、① Y1の従業員Tとの間で、パンフレットの制作、広告宣伝、開設準備のプロモートを請け負うとの請負契約を締結したとして、Y1に対し、請負代金の支払を求め、② 仮に請負契約が成立していなか...
《解 説》
一 本件は、医師の癌告知のあり方が争われた事例で、原審は秋田地判平8・3・22判時一五九五号一二三頁である。
訴外A(七七歳、男性)は、平成三年春までY病院に通院して胸痛等の治療を受けていたものである。同年三月の段階では癌が肺に転移しており、末期癌の状態であったが、Y病院で担...
《解 説》
一 商法二六八条ノ二第一項は、株主代表訴訟に勝訴した株主は、その訴訟を委任した弁護士に報酬を支払うべきときは、その報酬額の範囲内で相当なる額の支払を会社に請求することができる旨定めている。本件は、代表取締役が株主総会の決議を経ずに役員賞与を支給したことを理由として、その賠償を求...
《解 説》
一 本件は、医療用酸素濃縮機に係る意匠権(本件意匠権)を有する原告が、被告らが製造、販売及びリースしている酸素濃縮機(イ号物件)が、原告の右意匠権を侵害すると主張して、右物件の製造等の差止めを求めている事案である。
二 本件の争点は、イ号物件の意匠(イ号意匠)が本件意匠権に係...
《解 説》
一 原告は、昭和三二年三月、T大学教養学部を卒業し、以来、国税庁、国税局を中心に勤務し、昭和五九年七月から平成二年三月まで国税不服審判所において国税不服審判業務に当たってきたが、平成二年四月から平成九年三月までの間、K大学法学部及び同大学大学院法学研究科教授の職に在り、租税法を...
《解 説》
本件は、中華人民共和国において同国の民事訴訟法に則って成立した「調解」の日本国内における効力が争われた事案である。
本件の事実経過(原判決引用部分)は、次のとおりである。すなわち、控訴人(被告)X1は、水産物の輸入加工業者であり、被控訴人(原告)Yは、貝類の養殖加工業者である...
《解 説》
本件は、建物の競売において、最高価買受申出をして売却許可決定を受けたXが、物件明細書の記載に従い借地権付建物として買い受けたのに、建物収去土地明渡判決が確定しており、借地権が存在しないとして、敷地利用権(借地権)の記載について物件明細書に重大な誤りがあり、かつ、無価値の不動産を...
《解 説》
一 本件は、昭和五七年七月に不動産競売の申立てがされ、種々の経緯を経て、平成九年一〇月二一日、同年六月二〇日付け評価書に基づき最低売却価額が四〇九九万円と定められた後、平成一〇年六月一〇日、最高価買受申出価額五一二三万円に基づいてされた売却許可決定に対して、執行抗告がされた事案...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである(詳細は判文参照)。
警察官らは、Aから、被告人が盗んできた自動車をA方付近に止めており車内に覚せい剤がある旨の供述を得たので、被告人が運転席に座っている自動車に近寄り、窓越しに警察手帳を示しながら職務質問を開始したところ、被告人は、突然に...
《解 説》
一 本件事案の概要は、ラブホテルに滞在していた被告人が、予定時刻を過ぎてもチェックアウトせず、しかも従業員に対して、「部屋が二つに分かれているのではないか。」と述べるなど異常な言動があったことから、ホテル側の通報に基づいて臨場した警察官らにおいて、無銭宿泊、薬物使用の疑いをもっ...
《解 説》
一 X1は楽曲「どこまでも行こう」(甲曲)の作曲者であり、X2は甲曲の著作権者である。被告は楽曲「記念樹」(乙曲)の作曲者である。
本件は、乙曲は甲曲を複製したものであると主張して、X1が、被告に対し、氏名表示権及び同一性保持権侵害による損害賠償を求め、X2が、被告に対し、複...