最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
銚子丸海水産加工業協同組合(以下「組合」という。)の会計事務の担当責任者であった亡A(以下「A」という。)は、組合の金員を着服したとして業務上横領の罪名で起訴され、一審において懲役二年に処する旨の判決を受けたが、右の一審判決は控訴審で破棄され、差戻審において無...
《解 説》
一 Y(兵庫県)の技術吏員(自動車運転手)として奉職中に借金を苦に出奔したX(その法定代理人不在者財産管理人が本件訴訟を追行した。)は、その約二箇月後にYがXに対し無断欠勤を理由に懲戒免職処分(本件処分)をしたとしていることにつき、まず第一事件を提起して、① Xは妻に退職の意思...
《解 説》
一 本件は、法人税法違反により執行猶予付有罪の確定判決を受けた後、自ら馬主登録の抹消手続をした原告が、右執行猶予期間経過後に、被告に対して改めて馬主登録の申請をしたのに対し、被告が、原告の馬主登録を拒否する旨の処分をしたため、原告が、右拒否処分の取消しを求めた事案である。
二...
《解 説》
一 本件は、Y町議会が同町議会議員Xの定例会における発言等を理由にXを除名する旨の懲罰(以下「本件除名処分」という)をしたのに対しXが本件除名処分の取消しを求める訴えを提起し、その際に本件除名処分の効力を停止する決定(行政事件訴訟法二五条二項。以下「執行停止」という)を求め、原...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、店舗の用途を書店からパチンコ店に変更するために建築基準法八七条一項に基づく建築確認申請を被告建築主事に対してした。これに対し、被告建築主事が申請の適否について結論を出さないので、原告が被告建築主事に対しその不作為が違法であることの確認を求め、被告市に対...
《解 説》
Xはコーヒー豆等の加工販売等を業とする株式会社であり、Y税務署長に対し、平成二年三月期ないし同四年三月期の消費税について期限内に申告をした。しかしYは、XがYの職員の帳簿等の提示要求に応じなかったことは消費税法三〇条七項に定める帳簿等を「保存しない場合」に当たるとして、同条項に...
《解 説》
一 本件は、鶏の製造加工業会社に勤務し、鶏の解体作業に従事していたAが、勤務中に脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血で倒れて死亡した事案について、Aの妻が被告に対し、労働者災害補償保険法(労災保険法)による遺族補償給付及び葬祭料の請求をしたところ、被告がAの死亡は業務に起因するものと...
《解 説》
Xは、A社との間で、A社がB社から購入した印刷用設備の代金三〇〇万円をB社に立替払いし、A社はXに手数料を加算した三七八万〇三三三円を分割弁済する旨の契約を締結し、A社の社員であったYはA社のため連帯保証した。A社は分割金の支払いを怠り、期限の利益を失ったので、XはYに対し連帯...
《解 説》
一 本件は、相隣関係にある建物及びその敷地の所有者であるXとY1ないしY5とが共有する各自の所有地に囲まれた通路部分の土地(本判決にいう本件土地)につき、Xが当該土地の一部(本判決にいう本件係争土地)を自己の所有する自動車の駐車場所として使用する権利があると主張して、Xの権利を...
《解 説》
一 Xは、平成五年七月、A所有の本件建物につき根抵当権を設定し、Aに対して金銭を貸し付けてきた。Yは、Aから工事代金債権を回収するため本件建物の賃貸権限を付与されており、Bに対して本件建物を賃貸している。XはAに対する債権のうち一五〇〇万円を請求債権として抵当権に基づく物上代位...
《解 説》
一 原告らは、相続により遺産共有状態にある三つの不動産について、これらを単独所有にすべく、それぞれの持分を移転する旨合意したので、その旨の所有権移転登記手続を、司法書士である被告に相談したところ、被告は、原告ら(厳密にはその一人が全員を代表していた。)と実体関係について打ち合わ...
《解 説》
本件は、不動産五筆の所有権移転登記を求めた訴訟の被告代理人に選任された弁護士Xが被告(承継人)Yに対して弁護士報酬の支払を求めた事案であり、相当な報酬額がいくらであるかが争われた。なお、右訴訟は、Y側の全面勝訴となり、控訴されたが、Xは控訴審に関与せず、控訴棄却により原判決が確...
《解 説》
Xは、Yからゴルフ場の開発に関して用地買収の取りまとめ等の業務の委託を受けたが、事業が途中で中止になった。XはYに対し、主位的には委任契約がXの責に帰すべからざる事由により履行途中に終了したとして、本件契約及び民法六四八条三項により履行の割合に応じた報酬として三億円の支払いを求...
《解 説》
一 原告X2(親権者母)は、子である原告X1(当時六歳の女児)を連れて被告経営の牧場を訪れたところ、原告X1が牧場内で頭部を負傷した。原告らは、この負傷は牧場内で放し飼いにされていた馬(シェトランドポニー)に蹴られたことに起因すると主張して、民法七一八条に基づき、被告に損害賠償...
《解 説》
一 事案の概要
会社経営者である原告らは、会計事務所である被告ザイタックから相続税対策の立案を受けるなどした後、平成三年一月一一日、変額保険契約の保険料支払のため、被告銀行から融資を受けるとともに、同日、被告明治生命及び同日本生命に対して保険料を支払った上、同年二月一日、同明...
《解 説》
一 X会社は、訴外会社Aの子会社であり、パナマ共和国海運局において貨物船(本件船舶)の所有者として登録されていた。Y会社は、平成元年ころから、Aに対し、船舶用の塗料を売り渡し、売掛代金債権を有していたが、Aは、平成五年一一月一〇日ころ、債務超過を理由として支払を停止する旨の通知...
《解 説》
一 Xは、自転車で走行中、Y1が運転する普通貨物自動車と衝突して負傷して損害を負った。この自動車の保有者はY2であり、Y1はY3の従業員であるが、自家用車を利用して通勤途上の事故であった。そこで、Xは、Y1に対して民法七〇九条に基づき、Y2に対して自賠法三条に基づき、Y3に対し...
《解 説》
一 Xは、平成四年四月一五日、島根県津和野町所在の病院において出生したが、重症新生児仮死の状態にあったため、直ちにYの開設する病院(以下「Y病院」という。)に転院し、保育治療を受けていたが、Y病院に入院中にMRSAに感染し、同年五月二日、他の病院に転院して緊急手術を受けたが、大...
《解 説》
一 原告Xは、平成六年一一月当時八一歳で、自宅で転倒して腰を強打したことに対する治療のため、被告Yが運営する病院の整形外科に入院中であった。Xはリハビリとしての歩行訓練中に転倒して左上腕を骨折し、また一二月に入ってからは感染症にも罹患して、翌年六月には退院したものの、左上肢の機...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年一二月にY1と婚姻し、平成五年二月にY2を出産したので、Y2をAとY1の子として届出し、戸籍上Y2はY1とAの子として記載されたが、Xは、Y1とY2との間には父子関係は存在しないと主張し、Y1とY2との間に父子関係が存在しないことの確認を求めて本訴を提起し...
《解 説》
X男(昭和三六年生)とY女(同四〇年生)は、平成三年八月婚姻し、同五年七月両名間に長女Aが生まれた。Xは、①Yが事ある毎にXの離婚歴を言い立て、責めさいなむ行為をしたこと、②YがAをXの瀕死の父Bに会わせようとせず、Xが土下座をして頼んだ結果、AとBに数回の面会を果たさせたのみ...
《解 説》
一 原告は日本国内で切符を購入して大阪から釜山行きの旅客航空機に乗ったが、強風のため航空機は釜山に着陸できず、ソウルに着陸した。航空会社は自社の航空機で旅客をソウルより釜山に運送しようとしたが、航空機の発着ができなかったので、他の運送手段により旅客を運送した。しかし、日本語によ...
《解 説》
①事件は、金融業者Xが知り合いの個人Aから東証一部上場企業Y振出に係る手形二通(額面合計約一四七一万円)の割引依頼を受け、年三割の割引料でこれを割引いた事案であり、②は、金融業も扱うXが知り合いから上場企業振出の手形も混じる八〇通(額面総額約二億円)の手形の割引依頼を受け五〇〇...
《解 説》
一 本件は、①急激かつ偶然な外来の事故といえるか、②脳疾患、疾病又は心神喪失による傷害であるといえるか(疾病免責約款の適用の可否)が争点となった事件であり、事案の概要は次のとおりである。
X1、X2の子である甲(死亡当時一三歳)は、体が急激に温まるとてんかん発作を起こしやすい...
《解 説》
一 訴外Aは、平成六年八月当時、福岡県飯塚市内において麻雀荘を経営していたが、同月八日の深夜、福岡県苅田町新浜町において、搭乗していた自動車が海中に転落する事故に遭遇し、溺死した。
そこで、Aの遺族であるX1とX2は、Aを被保険者として保険契約を締結していたY1(保険会社)と...
《解 説》
一 本件は、いわゆる長良川河口堰建設差止訴訟の控訴審判決である。
Xら(岐阜県海津郡海津町、岐阜県武儀郡板取村、岐阜市及び三重県桑名市の住民二〇人)は、長良川と揖斐川との合流地点付近に建設される長良川河口堰について、Y(水資源開発公団)に対し、人格権、環境権等に基づく建設差止...
《解 説》
一 本決定は、動産収去請求訴訟が請求の放棄で終了したケースで、被告からされた訴訟費用負担決定の申立てに応えたものである。
申立人は、訴訟費用には敗訴者負担の原則(民訴六三条)があるところ、請求の放棄は実質的にみて原告敗訴であるから、訴訟費用につき相手方負担を求めた。これに対し...
《解 説》
一 Y(債務者・相手方)所有の二筆の土地(土地1、2)及び建物について、強制競売が開始され、X(買受人・相手方)が一括してこれを競落した。ところで、土地1のほぼ中央部には、Y所有の件外建物(床面積約二八平方メートルの未登記の平家建事務所)があり、また、土地2には、同土地を駐車場...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教の教祖であるMの妻であり、正大師という教団の最高幹部の地位にあった被告人が、Mや教団の幹部ら数名と共謀の上、脱会した信者を殺害したという事案である。
二1 事案の詳細については、判決文を参照されたいが、その概要は、以下のとおりである。
被害者であるO...
《解 説》
一 本件は、被告人が、同国人のA、Bらと共謀の上、営利の目的で覚せい剤、大麻等の規制薬物や規制薬物様の物の有償譲渡を業として行ったとして、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下「麻薬特例法」と...