最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、いわゆる三洋電機冷凍庫発火事故製造物責任訴訟である。三洋電機冷凍庫から発火し、店舗兼居宅で火災が発生したと主張するXらが、大手電気機械器具メーカーであるYに対して損害賠償請求をしたものである。平成七年七月一日施行された製造物責任法は、施行後製造物業者等...
《解 説》
第一 事案の概要
一 事実経過等
1 Aは、Y(生命保険会社)との間で、自らを被保険者として受取人をBとする、保険金額三五〇〇万円の定期付終身生命保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。
本件保険契約には、保険契約者はいつでも保険契約を解約でき、その場合はYは保...
《解 説》
一 本件は、貸金業者Yが未払の残元本があると主張して貸金債務の連帯保証人であるXらに対し保証債務の履行を請求する本訴を提起したのに対し、Xらが、利息制限法所定の制限利率を超える利息の支払により、元本が完済となった上、更に過払いを生じていると主張して、不当利得返還請求をする反訴事...
《解 説》
一 本件は、相続財産である土地を巡る共同相続人間の争いである。最高裁は、共同相続人相互の間で一部の者が他の者を共同相続人でないものとしてその相続権を侵害している場合において、相続回復請求権の消滅時効を援用するための要件及びその主張立証責任の所在を明確にした。
本件の事実関係は...
《解 説》
一 本件特別抗告事件の本案訴訟は、親族間において不動産所有権の帰属を争う訴訟である。控訴審において、XらのYらに対する請求を認容した第一審判決に対するYらの控訴を棄却する原判決が言い渡された。Yらは、原判決に対し、上告状及び上告受理申立書を提出して上訴し、それぞれについて理由書...
《解 説》
一 本件は、いわゆる男娼である被告人が、平成八年四月二四日に、対価を得て性交類似行為を行う目的で通行人を勧誘したことが、京都市風紀取締条例(以下「市条例」という。)三条に違反するとして、京都簡易裁判所に略式起訴された事案である。
二 市条例三条は、「売いんの目的で道路その他公...
《解 説》
一 Xは、平成五年一〇月六日に死亡した訴外Aの戸籍上の配偶者であるが、Aが旧厚生年金法に基づく「老齢年金受給者」であったため、同年一二月、Yに対し、遺族厚生年金の裁定を請求したところ、遺族厚生年金を支給しない旨の処分がされたため、行政上の審査請求手続等を経由したうえ、右処分は違...
《解 説》
一 本件は、被告(港湾管理者の長)が県に対してした公有水面埋立免許処分が違法であるとして、当該埋立地の周辺に居住する住民、同埋立地内の海浜を利用している者、同埋立地周辺で漁業を営む者などの原告らがその取消しを求めた事案である。
二 本件の主たる争点は、原告らが前記埋立免許処分...
《解 説》
一 原告の夫は、病気による労務不能状態となった結果、健康保険法四五条に基づき金二〇五万二〇〇〇円の傷病手当金の受給権を取得したが、支給末日から二年間、支給請求をしなかったため、右受給権は、同法四条一項により時効消滅した。
原告の主張によれば、原告の夫は、一か月に一度ないし二度...
《解 説》
オウム真理教が熊本県阿蘇郡波野村に進出して施設を建設し、住民らとの間に紛争が発生し、同村において同教に属する者の住民登録を受理せず、そのため不受理処分取消訴訟を提起されたこと、同村と同教が和解し、同村が同教に和解金を支払ったことは広く報道され、われわれの記憶に新しい。本件は、同...
《解 説》
Xはその所有する土地及び建物につき昭和五六年二月にY銀行のため設定された根抵当権の効力を争い、Yに対して、所有権に基づき、各根抵当権設定登記の抹消登記手続及び根抵当権が存在しないことの確認を求め、出訴した。Yは抗弁として、昭和五六年二月、YがXとの間でA社を主債務者として極度額...
《解 説》
YはAに対する債権担保のため、Aの所有する共同住宅に設定された根抵当権及び抵当権の物上代位として賃料債権及び駐車場使用料債権を差し押えた。Xは、右担保権の行使を許さないとする第三者異議の訴えを提起した。その理由は、Xが賃貸人の地位を差押前にAから取得し、改めてXが賃貸人として賃...
《解 説》
リース会社Xは、Y1に対し、歯科医院を経営するY1の患者に対する診療報酬請求事務処理を行うためのコンピュータをリースしたが、Y1がリース料の支払をしないので、Y1及び連帯保証人Y2に対し残リース料を請求した。
Y1は、本件コンピュータは患者数が三万名までは登録が可能ということ...
《解 説》
一 宗教法人X寺は、六八六年創建され、源頼朝、足利尊氏、豊臣秀吉など歴代の為政者から寺領が寄進される歴史を持った天台宗寺門派の本山である。本件は、Xとかつて本山と塔頭寺院の関係にあった寺院及び建物占有者Yらとの間の紛争である。Yらは本件各土地建物につき、所有権、賃借権、使用借権...
《解 説》
本件は、第三債務者Aが執行債務者Y1に対して、売掛金債務の支払のために約束手形を振り出した後に、動産先取特権に基づく物上代位により右手形の原因債権を差し押さえ、その転付命令を得たXが、その後手形金を回収した執行債務者の破産管財人Yに対し、手形金受領は不当利得に当たるとして、その...
《解 説》
有限会社Xは平成四年当時、三件の訴訟を抱えていたが、株式会社Kの代表者にY弁護士を紹介され、Yを訴訟代理人に選任した。そのうちの一件についてH市内の土地を代金一億円で売却する旨の訴訟上の和解が成立し、Yが代理人として右代金を受領した。Xは、その直後、Kとの間でXがKに一億円をM...
《解 説》
証券会社Y1は、昭和三三年七月以降、X寺から建物の敷地として土地一六八平方メートル余を賃借していたが、多数の店舗用土地及び建物を有しており、その管理会社を設立する必要が生じ、昭和四九年二月、本件土地賃借権及び地上建物を含む不動産を現物出資して一〇〇パーセント子会社の株式会社Y2...
《解 説》
X、Y、Aの三名は、平成三年一一月、XとYが各二〇〇万円、Aが一〇〇万円をそれぞれ出資し、ヴィクトリアンボックスの商号によりアンティーク宝飾品等の輸入販売事業をXが経営するB社の所在地においてYを中心に行うことを合意し、それぞれ出資金を支払った。Xらは、同六年一二月、同事業を廃...
《解 説》
本件は、東北大学の大学院生であった原告が、その指導教官であった被告から、性的嫌がらせ(いわゆるセクシャルハラスメント)を受けて多大の精神的苦痛を受けるとともに、身体にまで変調を来したと主張して、慰謝料の支払いを求めたのに対し、被告が、原告とは自由な恋愛関係にあったと主張して争っ...
《解 説》
一 XはYの開催する「テニス教室」の講師をしていた者であるが、平成八年四月一三日、庭球場において、受講生に対し、ストローク練習の指導をしていたところ、受講生の打ち返した硬式テニスボールが右眼に当たり、右眼球打撲等の傷害を負った。
そこで、Xは、(一)一コートで二組の受講生の練...
《解 説》
一 Y1、Y2及びZ1は、土地区画整理組合Xの事業施行区域内に土地を所有する組合員であったところ、Z1の代表取締役Z2は、Xの設立認可の公告後に、Z1の所有地上に工作物(有刺鉄線)を構築した。Xから任意の除却を求められたZ2は、自分は任意の除却に応じる義務はなく、これを除却する...
《解 説》
一 本件は,Xが既に「自由党」の名称で政治団体の届出をし,右名称が告示されていたにもかかわらず,Yが「自由党」の名称で政党の届出をした行為が政治資金規正法六条三項に違反するなどと主張して,Yに対し,「自由党」の名称の使用禁止及び損害賠償を求めた事案である。
二 政治資金規正法...
《解 説》
Xは宅地建物取引業を主たる目的とする株式会社であるが、ホテルを経営する株式会社Y1(当時の代表者Y5)から土地建物を含む有機体としてのホテル全体の売買(本件売買)について売却仲介の委託を受け、これを承諾した。Xは仲介活動を開始し、株式会社Y2(代表者Y4)から買受けの仲介の委託...
《解 説》
一 判示認定の事実によれば、Xは、Y1を元請、A会社を下請、Y2を再下請(孫請)として施工されたマンション建築工事(以下「本件工事」という。)において、Y2の依頼でB会社から本件工事現場に派遣された一輪車で正土を運ぶ作業に従事していたところ、Y2の従業員CがXの動静に十分注意を...
《解 説》
一 本件は、Xがいわゆる市販の妊娠検査薬(Y製品)を製造・販売しているYらに対し、妊娠の判定等に有用な分析試験装置についての特許権の侵害を理由として、Y製品の製造・販売の差止め、廃棄を求めた事案である。本件では、Y製品が本件発明の技術的範囲に属するかどうか、殊にY製品の「目隠し...
《解 説》
一 本件は、コンピュータ用ゲームソフト「ときめきメモリアル」(原告ゲームソフト)について著作権を有するXが、Yに対し、その主要登場人物である藤崎詩織の図柄を用いてアニメーションビデオ(被告ビデオ)を制作したYの行為が、著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵...
《解 説》
競馬法一二条一項は、勝馬投票券を発売した後に競争が成立しなかった場合、当該競争についての投票は無効となること、同条四項は、その場合、当該勝馬投票券を有する者は、日本中央競馬会Yにその勝馬投票券と引換えにその券面金額の返還を請求することができることを定めている。
Xは、平成九年...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、訴外会社を債務者、被告を第三債務者として、債権仮差押えの申立てを行った。これに対し、陳述催告を受けた被告が、仮差押えに係る債権の存在を認め、その全額を弁済する旨の陳述書を提出した。このため、原告は、債権差押えの申立てを行うとともに、訴外会社の不動産に対...
《解 説》
一 本件は、警視庁警部等の要職にあった現職警察官の被告人が、大手証券会社の総務部付部長らから、同社の従業員らが関与した刑事事件等に関する捜査情報等の提供を受けるなど種々の有利便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨で供与されることを認...
《解 説》
本件は、中堅ゼネコンである東海興業の常務取締役であった被告人が、かねてより株主総会対策や社内のトラブル処理を依頼していた総会屋から立替費用等の名目で金銭の支払を要求されていたことから、同社が会社更生手続開始申立を行った際、代表取締役副社長らと共謀の上、営業雑費名目で出金、隠匿さ...
《解 説》
一 被告人は、(1)昭和六三年一二月二八日深夜、タクシー運転手を殺害して金員を強取しようと企て、早川漁港の路上で停車を命じ、運転席に座っている被害者を後部座席から果物ナイフで突き刺したが、動転の余り金員を強取できなかったものの、被害者を失血死させたという強盗殺人事件(以下「小田...