最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆる「不動産小口化商品」の信託業務から派生した事件であり、ビルの所有者からその一部を賃借していたXが、賃貸借契約を解除し、退去したとして、右ビルにつき信託による譲渡を受けていたYに対し、ビル所有者に交付していた保証金は敷金であると主張して、その返還を求めたもので...
《解 説》
一 本件は、境界に接続しない土地の所有者に境界確定の訴えの当事者適格があるかが問題になった事件である。
X所有名義の甲地外二筆の土地とYら共有名義の乙地とは、相隣接している(図面参照)。Aが以前に甲地を所有していた当時、甲地のうち乙地との境界の全部に接続する部分約四坪(図面の...
《解 説》
Xは奈良県(Y県知事)の住民であるが、奈良県情報公開条例に基づき、平成八年度文書学事課のコピー機の契約に関する一切の文書の開示を求めたところ、Yはコピー機の複写サービスの個別契約に関する文書がそれに当たるとし、契約者である法人の意見を聞いたうえ、公文書の記載されている情報の一部...
《解 説》
一 平成八年一一月一七日に執行された上県町(長崎県上県郡)の町長選挙において、X1及びAが立候補したが、X1は得票数一八三八票で当選し、Aは得票数一七六八票で落選した。Y(長崎県選挙管理委員会)の補助参加人B及びCは、右選挙の効力に関し、上県町選管に異議の申出をしたが、同選管か...
《解 説》
本件は、原告が、福岡県情報公開条例(本件条例という)に基づき、右条例上の実施機関である福岡県知事(知事という)に対し、福岡県警察本部(県警本部という)ないし福岡県議会(議会という)が支出命令の審査・確認のために出納長に送付した平成七年度の懇談会費・旅費支出に係る支出証拠書類(本...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
1 Xと事実上の婚姻関係にあるAは、昭和五八年一一月、XとAとの間に出生したBの出生届を、父としての届出人資格に基づきY(区長)に対し提出した。Yは、東京法務局長の指示に基づき、Aに対し、その届出人資格を同居人とすることなどの補正を...
《解 説》
一 控訴人は兵庫県篠山町の町会議員であったが、委員長議員の懲罰処分要求書と同補正書を議長に提出した。この要求書等は議員に配布され、議場で懲罰要求の理由を説明した。この委員長議員には懲罰を科さないと決議された。他方控訴人に対する懲罰要求が提出され、議会の会議では、控訴人の懲罰要求...
《解 説》
A町においてはかねてから町役場庁舎の新築を計画していたが、その進入道路としての町道の幅員が側溝を含めて約六メートルしかなかったため、町道の拡幅整備を重要な課題としていた。特に、U及びTの所有する土地は、国道から本件道路に入った両脇にあって本件道路の拡幅に必要であり、町の担当者は...
《解 説》
一 本件は、S市が招待客を招いて懇談会等を開催し、その飲代等を交際費から支出したところ、S市の住民であるXが、これらの支出に関する支出負担行為・支出命令・支出が違法であり、それによってS市が同額の損害を被ったなどと主張して、それに関与した職員に対し、S市に代位して、S市に損害を...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年一二月、X所有の神奈川県三浦郡葉山町所在の山林・雑種地等及び鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺二階建練習場並びに付属設備(以下「本件ゴルフ練習場」という。)を、Yに対し、期間五年と定めて賃貸し、平成三年一二月、期間を三年として合意更新したが、平成六年一二月、賃貸期間の満...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。
被告Y1は、訴外A販売店から中古車を購入した。その際、被告Y1が原告との間で立替払契約を締結し、被告Y2がこれを連帯保証することになった。そこで、被告らは、契約書に必要事項を記入して(ただし申込年月日欄などは空欄とした)Aの経営者にこれを交...
《解 説》
一 本件では、Xは貸金業者であるY会社に対する貸金の返還を求めたところ、Yらは、Y会社が以前にXから利息制限法の制限利率を超える利息を天引きされた上で借入れをし、名目上の元本額全額を支払っていたので、右過払にかかる超過利息分の返還請求権を自働債権として相殺する旨の抗弁を主張した...
《解 説》
一 Xは、「甲野太郎」の芸名で芸能活動を行っている者であるが、Yの発行する「週刊新潮」(平成七年八月一〇日号)において、「キタ新地のママが甲野太郎の子供を宿して閉店」との見出しの下に、「実はママが甲野太郎さんの子供を妊娠したらしいと聞かされたんです。あの店に甲野さんがよく来てい...
《解 説》
一 本件は、パチンコ遊技向けプリペイドカード(前払式証票)の発行等を目的とする会社が、その加盟店であるパチンコ店とその監督者に対し、変造カードを使用又はそれを黙認した不法行為があるとして損害賠償請求等をした事案である。
二 本件における基本的事実及び当事者の主張の詳細は判決本...
《解 説》
一 本件は、買い物客として百貨店(甲事件被告)を訪れていた原告が、荷物運搬中の従業員(乙事件被告)に衝突されて転倒し、頚髄損傷の傷害を負い、後遺障害が残ったと主張して、不法行為及び使用者責任に基づき、逸失利益、慰謝料、介護費用等の損害賠償を請求した事案である。
被告らは、① ...
《解 説》
本件は、非喫煙者であるXらが、喫煙者の吸ったたばこの煙によって眼や喉の痛み等の健康障害を生じ、また、これによって不快な状態にさせられるといった被害を受けたとして、個人の生命及び身体の安全、健康の保持等を中核とする人格権に基づいて、日本たばこ産業を相手として、主位的にたばこの製造...
《解 説》
一 本件は自家用自動車総合保険(以下「SAP」という)を締結した中古車が、保険契約締結の約四か月後に盗難にあったとして、保険金請求がなされ、損害保険会社がこれを争った事件で、保険会社側は盗難自体について疑いを持ったようであるが、盗難自体は事実であることを前提として本判決の判断は...
《解 説》
一 本件は、複製権侵害等について判断された事案である。その主要な争点は、①相互に類似する作品について、著作権侵害の要件である「依拠」があったか否か、②他人の作品が、自己の作品の著作権侵害行為に当たると記者会見等において公表する行為が、他人の名誉を毀損する不法行為を構成するか否か...
《解 説》
一 本件は、月刊少女漫画雑誌「なかよし」に連載された連続長編漫画「キャンディ・キャンディ」(本件連載漫画)に関する権利関係をめぐって、原作者であるXと作画者であるY1及びY1の許諾を得て本件連載漫画の登場人物の絵の二次的利用をするY2とが争った事案である。
本判決によると、本...
《解 説》
一 本件は、Yが販売するキャディバッグ(Y商品)の形態が、Xが販売するキャディバッグ(X商品)の形態を模倣したものであり、Y商品の販売は不正競争防止法二条一項三号の不正競争行為に当たるとして、XがYに対し、販売の差止め(同法三条一項)と損害賠償(同法四条)を求めた事案である。
...
《解 説》
一 本件は、建物所有目的で土地を賃貸していた賃貸人が、賃借人に対し、賃貸借契約は土地上に存在する建物の朽廃すべかりし時期の到来により終了したなどと主張して、建物収去土地明渡し等を求めた事案である。
二 旧借地法二条一項但書は、建物所有目的の土地賃貸借契約において、借地上の建物...
《解 説》
一 YはAを指定下請業者として、イラク共和国政府諸機関との間で公共施設の建築請負工事を締結したが、イラクが財政事情悪化のため支払の繰り延べを求めるようになったことから、右工事からの撤退を主張するAと、完遂を主張するYとの間に紛争が生じ、AがYに対し請負契約の解除を通告するに至っ...
《解 説》
一 本件は、平成三年以来、毎年一二月中旬以降二五日にかけ、原宿から青山通りまでの表参道沿いにおいて、Yが主催者として実施しているクリスマスイルミネーション(本件イルミネーション)につき、表参道周辺の住民らであるXほか五四名が、その実施により付近の生活環境や自然環境が悪化すると主...
《解 説》
一 Aについて会社更生手続開始の申立てがされ、会社更生法三九条の規定に基づき弁済禁止の保全処分が発令された。XはAに二つのビルを貸している賃貸人であるが、Aはこの保全処分がなされる前から賃料の支払を遅滞しており、その額は一億一二〇〇万円余りに上っていた(一方が約三か月分、他方が...
《解 説》
一 本件は、鹿児島県徳之島町の現職の町長が、町発注の公共工事の指名競争入札に際し、あらかじめ業者間の談合により落札予定業者と決まっていた特定の土木建設業者に、入札の最高限度額である入札書比較価格に近似する価格を漏洩し、公正な競争入札が行われた場合に比べて高い価格で落札させて不当...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教の幹部信者であった被告人が、教祖であるMや教団の幹部ら数名と共謀の上、脱会した信者を殺害したという殺人の事案(オウム真理教元信者リンチ殺害事件)と、同教団の幹部ら数名と共謀の上、信者に多額のお布施をさせる目的で、同人を睡眠薬で眠らせて教団施設にら致したと...
《解 説》
本件は、町議会の議長及び議員によって行われた贈収賄事件である。町役場に隣接する土地を町に買い上げてもらおうとした地主が、議長らをも巻き込んだ上、町議会の「議員全員協議会」における同案件の通過を画策して、反対派の議員らに現金を供与したという事案である。
判決によると、被告人らは...
《解 説》
一 本件の事案の概要は以下のとおりである。
外国人であるAはいわゆるオーバーステイで起訴されて勾留中の刑事被告人であり、Xはその弁護人に就任した弁護士である。
Xは、平成九年四月二二日、XがAとの接見を繰り返し申し出ているにもかかわらず、検察官ZがAの余罪の殺人事件について...