生命保険会社が営業職員の賃金から業務上の経費を控除したことにつき,全体として会社と営業職員との間の負担合意による控除を適法と認めたものの,一部について合意の効力を否定して,経費控除に相当する額につき未払賃金請求を認めた事例
特定少年である少年が,カッターナイフを示して現金を強取した事案において,刑事処分以外の措置を相当と認め,少年を第1種少年院に送致し,収容期間を3年間とした事例
児童に児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造したという事実について,当該行為が同法7条4項の児童ポルノ製造罪にも該当するときに,同条5項を適用することの可否
原告がシートベルトを装着しないで自動車を運転するのを現認した旨の警察官の供述の信用性を否定し,原告にシートベルト装着義務違反があったとは認められないとして,原告の区分を一般運転者とする運転免許証の有効期間の更新処分を取り消し,公安委員会に対し,原告の区分を優良運転者とする運転免許証の有効期間の更新処分をするよう命じた事例
建設業等を営む会社が,業務委託先の会社の従業員に自社の車両を運転させていたところ,当該従業員が自損事故を起こしたとして,当該従業員に対して不法行為に基づく損害賠償請求をした事案において,賠償を請求することができる範囲を信義則上その損害額の10%に限定した事例
自動継続特約の付されていない定期預金の払戻請求について,銀行による消滅時効の援用は権利濫用に当たらず,消滅時効が成立したとして,同請求が棄却された事例
1 日本手話で授業を受ける権利が憲法26条により具体的権利として保障されているとはいえず,北海道教育委員会及び北海道札幌聾学校が日本手話でひととおりの授業を提供しないことは憲法26条,14条に反しないと判断するとともに,日本手話で授業を受ける権利が憲法13条により保障されているともいえないと判断した事例
2 北海道教育委員会及び北海道札幌聾学校による担任教諭の配置並びにその後の対応が,児童の保護者に対する入学前の説明に反し不法行為を構成するという原告らの主張を排斥した事例
使用者が労働組合の組合員との間で,見極め期間として設けられた期間1箇月の有期労働契約の期間満了後に期間6箇月の有期労働契約を締結しないことは,従前の雇用契約関係における不利益な取扱いといえるため労働組合法7条1号本文「不利益な取扱い」に当たり得るが,当該組合員が,労働組合に加入する前に行っていた労働組合のビラ配布行為は,労働組合法7条1号本文の「労働組合の正当な行為」には当たらず,上記行為を理由とする契約不締結は労働組合法7条1号,3号の不当労働行為に当たらないとされた事例
1 地方検察庁の次席検事が県の教育委員会に対して不起訴処分の理由が「起訴猶予」であることを書面で知らせたことが違法であるとして,国に5万円の損害賠償金等の支払を命じた事例
2 「起訴猶予」という不起訴処分の理由は,検察官が「被疑事実が明白」であると判断したということであり,これが明らかにされることは,被疑者にとって重大な不利益が生じるもので,検察官の判断が誤っている可能性があるのに,被疑者にとってこれを争う手段がないものであるから,法律の規定に基づくことなく,被疑者の承諾なしに,これを検察庁の外部に明らかにしてはならない性質のものである
3 「起訴猶予」(被疑事実が明白)という不起訴処分の理由の提供は,これを争う手段のない被疑者の名誉,信用,プライバシー等の権利利益が侵害されるから,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律8条2項ただし書の本人の「権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるとき」に該当する
建物全体の所有者である賃貸人が,その建物のうち専有部分である物件1及び同2をホテル事業を営む賃借人に賃貸し,物件2は,転借人及び再転借人に適法に転貸され,その引渡しもされたが,その後,賃貸人が,賃料等の不払を理由にその賃貸借契約を解除して,物件1及び同2の明渡し,滞納賃料,賃料相当損害金等の支払を求めたところ,物件2については,転借人が,自己を本人,再転借人を代理人とする占有代理関係を消滅させたとはいえず,明渡義務及び共同不法行為責任を免れないが,物件1については,転借人及び再転借人が,その引渡しを受けておらず,使用収益の分配に預かっていないから,賃借人と連帯して共同不法行為責任を負わないと判断された事例
借地権者が借地上の建物の売買を原因とする所有権移転登記の後にした賃借権譲渡許可の申立てを不適法なものとして却下した原決定の判断を是認した事例
著作権法6条各号所定の著作物に該当しないバンドスコアを無断で模倣しウェブサイトにおいて無料で公開したことが不法行為を構成するとして損害賠償請求が認容された事例
嫡出でない子は,生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し,その者の法令の規定の適用の前提となる性別にかかわらず,認知を求めることができるか
小学校中高学年の児童が受けたいじめとされる行為のうち所有権侵害を伴う行為について同じ学年の児童に対する不法行為責任が一部認められた事例
飲酒運転等を理由とする懲戒免職処分を受けて地方公共団体の職員を退職した者に対してされた大津市職員退職手当支給条例(昭和37年大津市条例第7号。令和元年大津市条例第25号による改正前のもの)11条1項1号の規定による一般の退職手当の全部を支給しないこととする処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断に違法があるとされた事例
銀行が,デビットカードを用いた取引がマネー・ローンダリング等のおそれがあると判断して,同行の取引約款に基づいて預金口座の取引停止措置を講じたことは相当であるが,これを継続することには相当性がないとして預金払戻請求を認めるとともに,同カードの利用に伴うキャッシュバック金の支払請求を認めた事例
1 東京都は,指定確認検査機関の職員(確認検査員)が建築主事に代わって行った建築確認等の行為について,国家賠償法1条1項の責任主体となる
2 指定確認検査機関の職員(確認検査員)は,東京都に対する建築基準関係規定の解釈・適用等に関する必要な照会等を怠ったとはいえず,その行為は国家賠償法1条1項の適用上違法とは認められない
3 東京都の職員は,指定確認検査機関に対する報告要求,立入検査・質問権等の必要な規制・監督権限の行使を怠ったとはいえず,その行為は国家賠償法1条1項の適用上違法とは認められない
4 東京都は,建築確認が取り消されたことについて,憲法29条3項の損失補償義務を負わない