生命保険会社が営業職員の賃金から業務上の経費を控除したことにつき,全体として会社と営業職員との間の負担合意による控除を適法と認めたものの,一部について合意の効力を否定して,経費控除に相当する額につき未払賃金請求を認めた事例
特定少年である少年が,カッターナイフを示して現金を強取した事案において,刑事処分以外の措置を相当と認め,少年を第1種少年院に送致し,収容期間を3年間とした事例
原告がシートベルトを装着しないで自動車を運転するのを現認した旨の警察官の供述の信用性を否定し,原告にシートベルト装着義務違反があったとは認められないとして,原告の区分を一般運転者とする運転免許証の有効期間の更新処分を取り消し,公安委員会に対し,原告の区分を優良運転者とする運転免許証の有効期間の更新処分をするよう命じた事例
建設業等を営む会社が,業務委託先の会社の従業員に自社の車両を運転させていたところ,当該従業員が自損事故を起こしたとして,当該従業員に対して不法行為に基づく損害賠償請求をした事案において,賠償を請求することができる範囲を信義則上その損害額の10%に限定した事例
自動継続特約の付されていない定期預金の払戻請求について,銀行による消滅時効の援用は権利濫用に当たらず,消滅時効が成立したとして,同請求が棄却された事例
1 地方検察庁の次席検事が県の教育委員会に対して不起訴処分の理由が「起訴猶予」であることを書面で知らせたことが違法であるとして,国に5万円の損害賠償金等の支払を命じた事例
2 「起訴猶予」という不起訴処分の理由は,検察官が「被疑事実が明白」であると判断したということであり,これが明らかにされることは,被疑者にとって重大な不利益が生じるもので,検察官の判断が誤っている可能性があるのに,被疑者にとってこれを争う手段がないものであるから,法律の規定に基づくことなく,被疑者の承諾なしに,これを検察庁の外部に明らかにしてはならない性質のものである
3 「起訴猶予」(被疑事実が明白)という不起訴処分の理由の提供は,これを争う手段のない被疑者の名誉,信用,プライバシー等の権利利益が侵害されるから,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律8条2項ただし書の本人の「権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるとき」に該当する
借地権者が借地上の建物の売買を原因とする所有権移転登記の後にした賃借権譲渡許可の申立てを不適法なものとして却下した原決定の判断を是認した事例
著作権法6条各号所定の著作物に該当しないバンドスコアを無断で模倣しウェブサイトにおいて無料で公開したことが不法行為を構成するとして損害賠償請求が認容された事例
嫡出でない子は,生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し,その者の法令の規定の適用の前提となる性別にかかわらず,認知を求めることができるか
小学校中高学年の児童が受けたいじめとされる行為のうち所有権侵害を伴う行為について同じ学年の児童に対する不法行為責任が一部認められた事例
飲酒運転等を理由とする懲戒免職処分を受けて地方公共団体の職員を退職した者に対してされた大津市職員退職手当支給条例(昭和37年大津市条例第7号。令和元年大津市条例第25号による改正前のもの)11条1項1号の規定による一般の退職手当の全部を支給しないこととする処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断に違法があるとされた事例
公文書の公開請求者に対して対象文書の一部を公開した処分について,開示部分を公にすることにより第三者である報道機関の権利その他正当な利益を害するおそれがあるとして,当該処分を取り消した事例
1 優生保護法3条1項1号から3号まで,10条及び13条2項(3条1項1号,2号及び10条については,昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間,3条1項3号については,昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間,13条2項については,昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)と憲法13条及び14条1項
2 優生保護法3条1項1号から3号まで,10条及び13条2項(3条1項1号,2号及び10条については,昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間,3条1項3号については,昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間,13条2項については,昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)に係る国会議員の立法行為の国家賠償法1条1項所定の違法性の有無
3 裁判所が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる場合
4 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例
労働保険の保険料の徴収等に関する法律(令和2年法律第14号による改正前のもの)12条3項所定の事業についてされた業務災害に関する保険給付の支給決定の取消訴訟と事業主の原告適格
精神障害を発病した労働者の自死について業務起因性が認められ,労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料を不支給とした処分行政庁の処分が取り消された事例
継続的な業務委託契約に基づく報酬が給与と同視できるとして,民事執行法153条1項に基づき,報酬債権6か月分の全部に対する差押えの範囲が給与債権と同じ程度まで変更(減縮)された事例