1 使用者が労働者に対して確定判決に係る雇用契約に基づく未払賃金債務を任意に履行するに当たり,源泉所得税,健康保険料,厚生年金保険料及び雇用保険料を控除した金額を支払ったことをもって,未払賃金債務の全額弁済があったとした事例
2 確定判決に係る雇用契約に基づく未払賃金債務に係る源泉所得税,健康保険料,厚生年金保険料及び雇用保険料の徴収権の消滅時効の成否につき判断した事例
外国人の技能実習に係る監理団体の指導員が事業場外で従事した業務につき,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
1 障害児通所支援事業所代表者の障害児に対する行為が障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律2条7項3号の心理的虐待及び同項4号のネグレクトに該当しないとされた事例
2 障害児通所支援事業所代表者の障害児に対する行為が障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律の虐待に当たるとした東京都大田区の認定が,国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
特定少年である少年が,薬物を移動させるなどして共犯者による薬物の営利目的所持を幇助した覚醒剤取締法違反幇助,大麻取締法違反幇助保護事件において,刑事処分を相当と認めて検察官送致とした事例
1 株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡の譲渡当事者間における効力
2 株券発行会社の株式の譲受人が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)423条1項本文により譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することの可否
春闘に際して争議行為を予告した労働組合の組合員であった控訴人ら4名が,使用者である被控訴人が不当労働行為(支配介入,不利益取扱い)に該当する違法な組合脱退強要を行ったとして,被控訴人に対し,不法行為,使用者責任又は債務不履行(職場環境配慮義務違反)に基づき損害賠償を請求した事案において,3名の控訴人らの請求はいずれも棄却されたが,1名の控訴人について懇親会の席上での組合脱退勧奨が組合への支配介入に当たり当該控訴人に対する不法行為に当たるとして,被控訴人が使用者責任を負うとされた事例
1 長期間(約4年半)にわたる自宅待機命令が違法な退職勧奨に当たるとして不法行為が成立するとされた事例
2 その後の原告の対応について,懲戒解雇が有効とされた事例
ゴルフ競技大会等を運営する法人がコミュニケーション能力や協調性の不足等を理由に行った従業員の解雇が違法・無効であるとされた事例
電気メーターの物流とそれに関わる各種事業等を営む会社と個人請負契約を締結して電気メーターの取付・据付及び交換工事に従事する作業者が,上記会社との関係において,労働組合法上の労働者であるとされた事例
破産管財人の報酬額に関し,破産管財人が収集した破産財団の金額に加え,管財業務の難易度や手間,配当額や配当率との均衡等の事情を考慮して,原決定を取り消し,より低額の報酬額を定めた事例
2回のインスリン過剰投与による殺人事件について,うち1回の投与が殺人の実行行為に当たらないとした原判決の事実誤認が,判決に影響を及ぼすことが明らかとはいえないとされた事例
保育園を運営する法人が園児にアレルギー反応やアナフィラキシー症状を発症させる事故を2回にわたり起こしたことについて慰謝料等の損害賠償が認められた事例
労働者と使用者との間に当該労働者の職種及び業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合において,使用者が当該労働者に対してした異なる職種等への配置転換命令につき,配置転換命令権の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分についてその相手方に事前に防御の機会が与えられないことと憲法31条
治療のため長期間にわたって病院から処方された経口避妊薬を服用していた女性が血栓症を発症したことにつき,血栓症を発症する直前の経口避妊薬の処方と血栓症発症との間の事実的因果関係を肯定し,同処方には過失があるとして,病院を経営していた地方公共団体に対する債務不履行責任を肯定した事例
シリア・アラブ共和国国籍を有する外国人について,政治的意見(それに基づく兵役忌避)を理由に,難民に該当するとして,難民不認定処分を取り消した事例
妻が自宅建物の鍵を夫に無断で交換し,これに対して夫が占有回収の訴えを提起して,従前の共同占有の状態への復帰を求めた事案において,妻の主張する占有権喪失の抗弁が認められないなどとして,夫の上記請求を認容した事例
生命保険会社が営業職員の賃金から業務上の経費を控除したことにつき,全体として会社と営業職員との間の負担合意による控除を適法と認めたものの,一部について合意の効力を否定して,経費控除に相当する額につき未払賃金請求を認めた事例
特定少年である少年が,カッターナイフを示して現金を強取した事案において,刑事処分以外の措置を相当と認め,少年を第1種少年院に送致し,収容期間を3年間とした事例