請求者がうつ病を発症しており,治癒しているとしてされた休業補償給付を支給しない旨の決定が,請求者が双極性障害(双極Ⅱ型障害)を発症しており,治癒していないとして取り消された事例
障害者総合福祉施設で,てんかん発作を起こした入所者の救急要請が遅れ死亡したことにつき注意義務違反があるなどとして,入所者の遺族の施設運営者に対する,平均余命を基にした逸失利益を含む損害賠償請求が認容された事例
公判前整理手続において,被告人が共謀共同正犯に当たるかに関し,検察官が示した証明予定事実では,遅くとも本件が既遂に達した時点で未必的認識を有していたとしながら,そのような認識が認められる場合に被告人が共謀共同正犯に当たるかを判断する上で要素となることが一般的である被告人の寄与についての主張に欠けるところがあり,それが,検察官の法的理解の不足に基づく可能性が高い事案において,裁判所が法的理解を示した上で検察官に対し釈明を求めなかったことが不適切であるとされた事例
1 小児歯科医院の院長であり患児の主治医であった被告人が,同歯科医院の歯科医師に歯科用局所麻酔剤を使用して患児(当時2歳)の歯科治療をさせたところ,患児に異変が生じて2日後に救急搬送先の病院で死亡したことにつき,業務上過失致死罪に問われた事案において,同罪の成立を認めた原審の判断が是認された事例
2 公判前整理手続で争いがないとされた前提事実に反する控訴審弁護人の主張について,前提事実が明らかに客観的な真実に反していると判明した場合には前提事実に基づく第1審判決の事実認定を維持できないが,本件では前提事実が明らかに客観的な真実に反しているとは認められないとされた事例
覚醒剤使用の故意が認められないとして不処分決定がされた少年本人に対する少年補償事件において,本人自身の行為によって覚醒剤を摂取したこと等を踏まえると,非行事実につき身体拘束を受けた帰責事由は専ら本人にあり,補償の必要性を失わせる特別の事情がある場合に該当するとして,補償を認めなかった事例
1 給与体系の変更について,原告らが自由な意思に基づき同意したとはいえないとされた事例
2 給与規程の変更が合理的なものであったとは認められないとされた事例
地位確認等の訴えについて,米国法上有効な仲裁合意が成立しているとして,仲裁法14条1項本文に基づき却下された事例
暗号資産であるビットコインの交換取引所を運営していた株式会社を再生債務者とする民事再生手続において,再生債権者である原告が届け出たビットコインの返還に関する債権及びビットコインキャッシュの返還に関する債権のうち一部の債権額であると査定した査定決定について,原告が,再生管財人である被告に対し,同査定決定を不服として提起した再生債権査定異議請求訴訟において,同査定決定が認可された事例
YouTubeにおいて投稿された動画の著作者において当該動画によって思想,意見等を伝達する利益が,人格的利益として認められないとされた事例
1 治療経緯,外傷性の所見が認められないこと,本件事故以外のストレス要因が窺われること等を考慮し,原告の器質性妄想性障害及び非器質性精神障害(解離性障害)の発症及び後遺障害を認めなかった事例
2 原告が経営していた会社が,本件事故により賃貸借契約の成約期間内に事業の継続について判断することができず,貸主から返還されなくなった申込金(手付金)について本件事故による損害と認めた事例
特定少年である少年が,共犯者と共謀の上,大麻を所持したという大麻取締法違反保護事件において,収容期間を2年間として第1種少年院に送致した原決定について,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
1 大阪府議会がした「旧統一教会等の悪質な活動とは一線を画する決議」と題する決議は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらないとして,上記決議の取消しの訴えが却下された事例
2 上記決議は,原告の請願権等を侵害するものであるとは認められないなどとし,また,上記決議による名誉毀損の違法性について,上記議会が原告の社会的評価を低下させたりするためにあえて上記決議をしたなど,上記決議の内容が上記議会の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであるとは評価することができず,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないなどとして,同項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
触法(強制わいせつ,暴行,傷害),ぐ犯,器物損壊保護事件及び強制的措置許可申請事件において,前者について少年を児童自立支援施設に送致するとともに,後者について事件を児童相談所長に送致し,1年6月の間に通算180日を限度として,強制的措置を許可した事例
1 運転免許停止中に発生させた交通事故(人身)について,被告に対する損害賠償請求権が,破産法253条1項3号の非免責債権に該当しないと判断した事例
2 被告が,訴訟係属中に破産手続開始決定の申立てをしたときに,免責が許可されたときは,上記損害賠償請求権がいわゆる自然債務になるとしたうえで,当事者の意思を確認したうえで,給付保持力が存在することを確認する限度で質的一部認容をした事例
鑑定処分許可状に記載された鑑定人とは別の医師が同鑑定人の立会いなく行った本件解剖は,同許可状によって許可されたものとはいえない瑕疵があるが,同鑑定人が教授を務める大学法医学講座においては,所属医師のうち同教授が定めた当番の医師が解剖を行い,同教授以外が解剖を執刀する場合でも同教授が鑑定人として嘱託されるのが通例とされており,本件解剖もこの運用に基づいて行われ,本件解剖の時点では,同教授や解剖した医師らに,このような運用が許されないものであるとの認識はなく,令状主義を潜脱する意図もなかったことが明らかであることなどから,本件解剖の手続における瑕疵は,解剖した医師の公判供述の証拠能力を否定する理由にならないとした事例
1 宗教法人の会員らが親族の承諾を得ることなく当該親族の預金口座から金員の引出しを行って宗教法人に献金した場合において,当該会員らの当該親族に対する不法行為の成立を認めつつ,宗教法人の当該親族に対する不法行為の成立は否定した事例
2 解決金の支払後は当該親族は宗教法人に対し何らの請求をしない旨の合意につき,信義則又は公序良俗に反するものとはいえないとされた事例