指定国において国内移行手続が行われずに取下擬制がされた国際特許出願に係る発明について,原告が特許を受ける権利を有することの確認を求める訴えが,確認の利益を欠くものとして却下された事例
旅券法13条1項1号に該当することを理由としてされた外務大臣の一般旅券の発給拒否処分が,外務大臣の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものとして違法であるとされた事例
特定少年である少年が,交際相手に対する恋愛感情等を充たす目的で,同人の同居の親族に対し,メッセージの送信を繰り返したというストーカー行為等の規制等に関する法律違反保護事件において,収容期間を3年間として第1種少年院に送致した原決定について,処分が著しく不当であるとはいえないとして,抗告を棄却した事例
建物の所有者から借地借家法38条1項所定の定期建物賃貸借契約締結の媒介を委託された宅地建物取引業者が,賃借人に対する同条3項所定の事前の書面交付及び説明をしなかったことなどにつき,媒介契約の善管注意義務及び業務上の一般的注意義務違反が認められた事例
甲船と乙船が衝突した事故に係る海難につき小型船舶操縦士である甲船の船長に職務上の過失があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
請求者がうつ病を発症しており,治癒しているとしてされた休業補償給付を支給しない旨の決定が,請求者が双極性障害(双極Ⅱ型障害)を発症しており,治癒していないとして取り消された事例
障害者総合福祉施設で,てんかん発作を起こした入所者の救急要請が遅れ死亡したことにつき注意義務違反があるなどとして,入所者の遺族の施設運営者に対する,平均余命を基にした逸失利益を含む損害賠償請求が認容された事例
公判前整理手続において,被告人が共謀共同正犯に当たるかに関し,検察官が示した証明予定事実では,遅くとも本件が既遂に達した時点で未必的認識を有していたとしながら,そのような認識が認められる場合に被告人が共謀共同正犯に当たるかを判断する上で要素となることが一般的である被告人の寄与についての主張に欠けるところがあり,それが,検察官の法的理解の不足に基づく可能性が高い事案において,裁判所が法的理解を示した上で検察官に対し釈明を求めなかったことが不適切であるとされた事例
覚醒剤使用の故意が認められないとして不処分決定がされた少年本人に対する少年補償事件において,本人自身の行為によって覚醒剤を摂取したこと等を踏まえると,非行事実につき身体拘束を受けた帰責事由は専ら本人にあり,補償の必要性を失わせる特別の事情がある場合に該当するとして,補償を認めなかった事例
特定少年である少年が,共犯者と共謀の上,大麻を所持したという大麻取締法違反保護事件において,収容期間を2年間として第1種少年院に送致した原決定について,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
1 大阪府議会がした「旧統一教会等の悪質な活動とは一線を画する決議」と題する決議は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらないとして,上記決議の取消しの訴えが却下された事例
2 上記決議は,原告の請願権等を侵害するものであるとは認められないなどとし,また,上記決議による名誉毀損の違法性について,上記議会が原告の社会的評価を低下させたりするためにあえて上記決議をしたなど,上記決議の内容が上記議会の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであるとは評価することができず,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないなどとして,同項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
触法(強制わいせつ,暴行,傷害),ぐ犯,器物損壊保護事件及び強制的措置許可申請事件において,前者について少年を児童自立支援施設に送致するとともに,後者について事件を児童相談所長に送致し,1年6月の間に通算180日を限度として,強制的措置を許可した事例
1 運転免許停止中に発生させた交通事故(人身)について,被告に対する損害賠償請求権が,破産法253条1項3号の非免責債権に該当しないと判断した事例
2 被告が,訴訟係属中に破産手続開始決定の申立てをしたときに,免責が許可されたときは,上記損害賠償請求権がいわゆる自然債務になるとしたうえで,当事者の意思を確認したうえで,給付保持力が存在することを確認する限度で質的一部認容をした事例
鑑定処分許可状に記載された鑑定人とは別の医師が同鑑定人の立会いなく行った本件解剖は,同許可状によって許可されたものとはいえない瑕疵があるが,同鑑定人が教授を務める大学法医学講座においては,所属医師のうち同教授が定めた当番の医師が解剖を行い,同教授以外が解剖を執刀する場合でも同教授が鑑定人として嘱託されるのが通例とされており,本件解剖もこの運用に基づいて行われ,本件解剖の時点では,同教授や解剖した医師らに,このような運用が許されないものであるとの認識はなく,令状主義を潜脱する意図もなかったことが明らかであることなどから,本件解剖の手続における瑕疵は,解剖した医師の公判供述の証拠能力を否定する理由にならないとした事例