有限責任事業組合の債権者は,債務者を当該組合とする債務名義に基づき,組合員の固有財産に対して強制執行をすることができないとされた事例
1 外国為替及び外国貿易法違反の罪により逮捕,勾留,公訴提起され,その後,検察官から公訴取消しの申立てを受け公訴が棄却された者らが,警察による逮捕並びに検察官による勾留請求及び公訴提起などが違法であるとして求めた国家賠償請求訴訟について,警察による逮捕並び検察官による勾留請求及び公訴提起はそれぞれ合理的な根拠が欠け国家賠償法上の違法があるとされた事例
2 警察官による取調べについても,不当な誘導や弁解録取書作成の過程で求められた訂正をしたかのように装った行為があったと認められ国家賠償法上の違法が認められた事例
相続開始直後に取引相場のない株式が財産評価基本通達の定める方法により評価した価額より著しく高額で売却されたものの,納税者側において相続税の負担が軽減されるような効果を持つ行為を何らしていないなど判示の事情の下では,相続税の課税価格に算入される同株式の価額を国税庁長官の指示を受けて別途評価した価額によるものとすることは平等原則に違反するとされた事例
1 昭和48年に建築されたマンションにおける区分所有者全員による管理者選任合意が認められた事例
2 建物の区分所有等に関する法律25条2項に基づくマンション管理者解任請求が認容された事例
特定少年である少年が,交際相手に対する恋愛感情等を充たす目的で,同人の同居の親族に対し,メッセージの送信を繰り返したというストーカー行為等の規制等に関する法律違反保護事件において,収容期間を3年間として第1種少年院に送致した原決定について,処分が著しく不当であるとはいえないとして,抗告を棄却した事例
建物の所有者から借地借家法38条1項所定の定期建物賃貸借契約締結の媒介を委託された宅地建物取引業者が,賃借人に対する同条3項所定の事前の書面交付及び説明をしなかったことなどにつき,媒介契約の善管注意義務及び業務上の一般的注意義務違反が認められた事例
甲船と乙船が衝突した事故に係る海難につき小型船舶操縦士である甲船の船長に職務上の過失があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
公判前整理手続において,被告人が共謀共同正犯に当たるかに関し,検察官が示した証明予定事実では,遅くとも本件が既遂に達した時点で未必的認識を有していたとしながら,そのような認識が認められる場合に被告人が共謀共同正犯に当たるかを判断する上で要素となることが一般的である被告人の寄与についての主張に欠けるところがあり,それが,検察官の法的理解の不足に基づく可能性が高い事案において,裁判所が法的理解を示した上で検察官に対し釈明を求めなかったことが不適切であるとされた事例
覚醒剤使用の故意が認められないとして不処分決定がされた少年本人に対する少年補償事件において,本人自身の行為によって覚醒剤を摂取したこと等を踏まえると,非行事実につき身体拘束を受けた帰責事由は専ら本人にあり,補償の必要性を失わせる特別の事情がある場合に該当するとして,補償を認めなかった事例
1 大阪府議会がした「旧統一教会等の悪質な活動とは一線を画する決議」と題する決議は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらないとして,上記決議の取消しの訴えが却下された事例
2 上記決議は,原告の請願権等を侵害するものであるとは認められないなどとし,また,上記決議による名誉毀損の違法性について,上記議会が原告の社会的評価を低下させたりするためにあえて上記決議をしたなど,上記決議の内容が上記議会の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであるとは評価することができず,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないなどとして,同項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
1 運転免許停止中に発生させた交通事故(人身)について,被告に対する損害賠償請求権が,破産法253条1項3号の非免責債権に該当しないと判断した事例
2 被告が,訴訟係属中に破産手続開始決定の申立てをしたときに,免責が許可されたときは,上記損害賠償請求権がいわゆる自然債務になるとしたうえで,当事者の意思を確認したうえで,給付保持力が存在することを確認する限度で質的一部認容をした事例
鑑定処分許可状に記載された鑑定人とは別の医師が同鑑定人の立会いなく行った本件解剖は,同許可状によって許可されたものとはいえない瑕疵があるが,同鑑定人が教授を務める大学法医学講座においては,所属医師のうち同教授が定めた当番の医師が解剖を行い,同教授以外が解剖を執刀する場合でも同教授が鑑定人として嘱託されるのが通例とされており,本件解剖もこの運用に基づいて行われ,本件解剖の時点では,同教授や解剖した医師らに,このような運用が許されないものであるとの認識はなく,令状主義を潜脱する意図もなかったことが明らかであることなどから,本件解剖の手続における瑕疵は,解剖した医師の公判供述の証拠能力を否定する理由にならないとした事例
1 宗教法人の会員らが親族の承諾を得ることなく当該親族の預金口座から金員の引出しを行って宗教法人に献金した場合において,当該会員らの当該親族に対する不法行為の成立を認めつつ,宗教法人の当該親族に対する不法行為の成立は否定した事例
2 解決金の支払後は当該親族は宗教法人に対し何らの請求をしない旨の合意につき,信義則又は公序良俗に反するものとはいえないとされた事例
保険金請求につき主に因果関係を認めず(本訴),他の保険金の誤払いにつき,法律上の原因がないことの悪意,不当利得返還請求権の行使の信義則違反等をいずれも認めなかった(反訴)事例
消費者裁判手続特例法2条4号所定の共通義務確認の訴えについて同法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断に違法があるとされた事例