刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報の全部を開示しない旨の決定につき国家賠償法1条1項にいう違法があったということはできないとされた事例
普通乗用自動車が,青色信号に従い横断通行中の自転車に衝突し,母子が死亡したという交通事故に関し,親族の固有慰謝料を含めた死亡慰謝料を各3100万円と算定するなどして,被害者らの親族である原告らの損害賠償請求を一部認容した事例
特定少年である少年が,包丁2本を携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反保護事件において,同種非行による保護処分歴等を考慮して犯情を評価し,少年院送致が許容されるとした上,資質上の問題性等を踏まえて少年を第1種少年院に送致し,犯情に鑑み収容期間を2年と定めた事例
1 租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)39条の16第1項を適用することができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
2 増額更正処分後に国税通則法23条1項の規定による更正の請求をし,更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた者は,当該通知処分の取消しを求める訴えの利益を有するか
恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)の後に行われた配置転換について,心理的負荷の強度(総合評価)が「強」と評価され,労働者災害補償保険療養補償給付及び同休業補償給付に対する不支給決定が取り消された事例
宗教法人とその信者との間で締結された不起訴の合意が,合理性,相当性を欠き,信者に著しく不利益な内容といえるなどとして,公序良俗に反し無効であるとされた事例
住民が,普通地方公共団体の執行機関に対し,不法行為に基づく損害賠償請求をすることを求める住民訴訟の係属中に,当該執行機関が,当該不法行為の相手方に対して住民が求めるとおりの請求を訴訟外でした場合について,当該住民訴訟における訴えの利益を否定した事例
独立行政法人日本芸術文化振興会の理事長がした文化芸術振興費補助金による助成金を交付しない旨の決定が上記理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例
1 契約の更新にはフランチャイザーの同意が必要である旨の更新に係る条項が存在するフランチャイズ契約において,本件の事実関係の下ではフランチャイザーが契約の更新について黙示的に同意していたとは認められないとされた事例
2 契約の更新にはフランチャイザーの同意が必要である旨の更新に係る条項が存在するフランチャイズ契約において,同条項につき当事者間の公平や信義則に照らして更新拒絶にやむを得ない事由を要するとの解釈をすべき特段の事情があるとはいえないとされた事例
3 フランチャイザーによるフランチャイズ契約の更新拒絶が信義則違反又は権利の濫用に当たるとはいえないとされた事例
4 フランチャイズ契約が更新されなかったとしても,同契約の更新に係る交渉に際し,フランチャイザーが,フランチャイジーに,フランチャイザーの同意により同契約が更新されることに対する信頼を抱かせた上で不当に交渉を破棄したような場合にはフランチャイザーの行為は信義則上の義務に反するものとして不法行為を構成するが,本件においてはそのような事情は認められないとされた事例
更生会社が各取引金融機関と締結した返済期限を延長する条件変更契約による借入金債務の元本の最終返済日がすべて到来した時点において,約定の最終返済をしなかった場合には,新たな返済計画を提示し,一部返済を継続していたとしても,元本の返済をほぼ行っておらず,元本額が保有資産額を優に上回る状況においては,会社更生法49条1項3号にいう「支払の停止」があり,同号にいう「支払不能でなかった」とはいえないとされた事例
限定的ではあるものの一定程度の意思能力がある可能性がある本人について,本人の精神の状況について鑑定をしないままされた後見開始の審判は,家事事件手続法119条1項に違反し,原審に差し戻しても鑑定を実施することは困難であるとして後見開始の申立てを却下した事例
抵当不動産の賃借人は,抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に賃貸人との間でした,抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と上記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意の効力を抵当権者に対抗することができるか
1 学校法人の外部有識者委員会(第三者委員会)が理事に忠実義務違反が認められるとの提言書をまとめたことが,同理事に対する不法行為には当たらないとされた事例
2 学校法人の理事が外部有識者委員会(第三者委員会)の委員に不法行為責任が認められるとする記者会見をしたことが,同委員の名誉を毀損する不法行為に当たるとされた事例
間接交流を認めた原審判を取り消し,試行的面会交流の実施を積極的に検討し,その結果をも踏まえて直接交流の可否等を検討させるべく,事件を原審に差し戻した事例
他人がユーザー登録したスマートフォン決済サービスの決済用コード画像のスクリーンショットを提示して商品を購入する行為は,他人のアカウントを利用することが不正使用として同サービスの規約に定められ,厳格な本人確認手続をした者に同サービスを利用させていること,同サービスの決済用コード画像のスクリーンショットは,できる限りその生成を許容しない設定とされ,生成されたものであっても速やかにその使用ができなくなる設定になっていること,同サービス加盟店は,規約上,不正使用が判明した場合には決済に応じてはならず,これに違反すれば同サービス提供会社から支払を受けられない可能性があることなどの本件事実関係(判文参照)の下では,刑法246条1項の詐欺罪に当たるとされた事例
指定暴力団の構成員を含むグループによって行われた特殊詐欺行為が,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律31条の2の「威力利用資金獲得行為」を行うについてされたものとして,同条に基づく指定暴力団の代表者等の損害賠償責任が認められた事例
ミミヒゼンダニ及びジアルジアに感染していた犬を販売した第一種動物取扱業者が買主に対して債務不履行又は不法行為に基づく責任を負わないとされた事例
信用取引により買い付けていた株式を売り付け,これと同時に,同数・同額の株式を現物取引により買い付けた事情があっても,当該売付けに金融商品取引法164条1項の適用があるとされた事例