法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして,これを取り消す裁決がされた場合において,都道府県知事が上記処分と同一の理由に基づいて上記申請を認容する処分をしないことは,地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当するか
公共事業を請け負ったリース会社との間で同事業の実施のための契約締結に向けた交渉を進めていた相手方が信義則上の義務に違反して一方的に交渉を打ち切って離脱した場合において,相手方はリース会社に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うが,履行利益については損害と認められないとしてリース会社の請求が棄却された事例
1 犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律25条1項の「犯罪利用預金口座等でないことについて相当な理由」があるとはいえないとされた事例
2 対象犯罪行為による被害に係る財産以外の財産による振込であることが主張立証されていないとして,同条2項による支払を請求することができないとされた事例
3 全銀協ガイドラインを根拠としても金融機関は口座名義人に対して公告手続開始を告知する義務を負わないとされた事例
憲法53条後段の規定により国会の臨時会の召集を決定することの要求をした国会議員は内閣による上記の決定の遅滞を理由として国家賠償請求をすることができるか
少年が特殊詐欺の受け子をしたとされる詐欺未遂保護事件において,詐欺未遂罪の成立を認定して少年を第2種少年院に送致した原決定につき,詐欺の故意を認めた判断に重大な事実の誤認があるとして,これを取り消した事例
1 申立人(基本事件の原告)が被告人となった刑事事件(申立人については無罪判決が確定)において,申立人の共犯者とされた者の取調べ録音録画につき,民事訴訟法220条3号後段所定の法律関係文書に該当するとされた事例
2 上記取調べ録音録画のうち,申立人の刑事裁判の公判に提出された部分について,閲覧制限事由はなく文書提出義務を認めることに支障はないとされた事例
3 上記取調べ録音録画のうち,申立人の刑事裁判の公判に提出されなかった部分について,刑事訴訟法47条に基づきその提出を拒否したことが,保管検察官の裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものとされた事例
重大な交通事故を起こしたとして,運転免許取消等の処分を受けたが,後に刑事事件で無罪判決(確定)を受けた者について,これら処分の無効が確認された事例
労働者災害補償保険の認定に関して労働基準監督署の担当者が作成した給付調査復命書のうち関係者からの聴取内容が引用された部分等について,「その提出により公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」(民事訴訟法220条4号ロ)とはいえないとして,文書提出命令申立てが一部認容された事例
ノーモア・ミナマタ第2次近畿訴訟
1 不知火海沿岸地域又はその周辺地域にかつて居住していた患者らについて,いずれも,メチル水銀への曝露及び四肢末梢優位の感覚障害等の症候が認められ,水俣病に罹患していると認められるとして,排出企業並びに規制権限を行使しなかった国及び熊本県に対する損害賠償請求を一部認めた事例
2 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段所定の除斥期間の起算点は,神経学的検査等に基づいて水俣病と診断された時であるとして,除斥期間の経過を否定した事例
当事者双方が口頭弁論期日に連続して出頭しなかった場合において,訴えの取下げがあったものとみなされないとした原審の判断に民訴法263条後段の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
1 子供用椅子「TRIPP TRAPP」の原告主張に係る商品形態が商品等表示に該当しないとされた事例
2 被告製品の製造販売等が子供用椅子「TRIPP TRAPP」を複製又は翻案するものではないとされた事例
1 株主総会で行われた株式併合決議について,決議の方法が著しく不公正なものであるとされた事例
2 株主総会で行われた株式併合決議について,それ以前の株主総会でされた定款変更決議の法的瑕疵を根拠として決議の方法が著しく不公正なものであるということはできないとの主張が排斥された事例
更生会社が既存の債務について担保の供与として売掛債権を譲渡した行為につき,会社更生法86条の3第1項1号イの否認対象行為該当性を肯定し,有害性及び不当性を欠くことを否定して,否認することができるとされた事例
1 ワーファリンを継続して服用していた慢性心房細動患者に対してワーファリンに代えてイグザレルトを処方するに当たり医師に求められる注意義務の内容
2 医師が上記1の注意義務を尽くしていた場合に患者が実際の死亡日になお生存していた高度の蓋然性の有無
1 二重瞼形成手術について手技上の注意義務違反又は債務不履行があったと認められるためには,少なくとも,同手術によって形成された左右瞼の外観が,一般人から見て,対称性について違和感をもつ程度に至っていると認められることが必要である
2 二重瞼形成手術の手技上の注意義務違反及び説明義務違反が否定された事例
1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無
被留置者の留置に関する規則5条1項各号所定の簿冊は,同条に基づき,被留置者に対する処遇の適正を図るためその管理の必要上作成され,留置施設に備え置かれている簿冊であるところ,被告人の身柄拘束は,本件捜査のために,その過程において行われているのであるから,上記各簿冊のうち被告人に係る部分は,本件の捜査の過程で作成された書面に当たり,検察官において入手が容易なものであるとして,刑事訴訟法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となるとされた事例
第1審判決について,被告人の犯人性を認定した点に事実誤認はないと判断した上で,量刑不当を理由としてこれを破棄し,事件を第1審裁判所に差し戻した控訴審判決の拘束力を有する判断の範囲
被告の善管注意義務違反又は善管注意義務違反と損害との間の因果関係が認められないとして会社法429条1項に基づく損害賠償請求が棄却された事例