店舗内において,被告人が被害者と視線が合い,被害者が怒号を上げたことを契機に,被告人が被害者に対し執拗な暴行に及んで死亡させた事案について,過剰防衛の成立を認めた原判決に対し,被告人らに身の危険が間近に迫っているとは認められず,かつ,被告人が対抗行為に出ることが許されない状況にあり,正当防衛や過剰防衛が成立する余地はないとして,事実誤認を理由に原判決を破棄した事例
婚姻費用分担審判事件において定められた婚姻費用分担額の減額を求めた事案において,前件事件後の一時的な収入の増加及びその後の減少を勘案し,決定時までの差額を公平の観点から分担金に上乗せして処理した事例
養育費の減額(養育費支払の定めの取消し)を求めた審判事件の抗告審において,未成年者が祖父母(監護親の父母)と養子縁組をしたことなどを養育費の額に影響を及ぼすべき事情の変更に当たらないとした原審判を取り消し,養子縁組により養親が未成年者に対する第一次的な扶養義務者となり,養親が十分に扶養義務を履行することができないときに当たるということもできないとして,事情の変更を認め,調停条項中の養育費支払の定めを取り消した事例
被相続人の養子を申立人とし,被相続人の配偶者と実子を相手方とする遺産分割の事件において,配偶者が,遺産に属する建物への配偶者居住権の取得を希望したところ,その生活を維持するために特に必要があるとして,配偶者による上記配偶者居住権の取得が認められた事例
美容師との間で雇用契約を締結していた株式会社が,同美容師との間で新たに業務委託契約を締結し直し,同契約において,同美容師に対して新たに競業避止義務を課すとともに,これに違反した場合には違約金を支払う旨の約定が設けられた事案について,同約定は公序良俗に違反するとして,同約定に基づく違約金の支払請求が棄却された事例
児童に児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせた上,ひそかにその姿態を撮影するなどした行為と同法7条5項の罪の成否
警察署に勾留されていた被留置者が脚気に罹患したのは,食事提供担当者において注意義務を怠り,ビタミンB1の欠乏した食事を継続的に提供したためであるとして,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償が命じられた事例
公訴事実記載の事実の存在を認定した上で,被告事件が罪とならないときに当たるとして無罪とした第1審判決を法令適用の誤りを理由に破棄し,事実の取調べをすることなく公訴事実と同旨の犯罪事実を認定して有罪の自判をした原判決が,刑訴法400条ただし書に違反しないとされた事例
婚姻費用の分担額に係る手続外の合意の存在を否定し,相手方が分担すべき婚姻費用の額を改定標準算定方式に従って算定した事例
強制わいせつ,迷惑防止条例違反保護事件において,相当長期の処遇勧告を付して第1種少年院送致とした原決定について,処分の著しい不当等はないとして抗告を棄却しつつ,比較的長期の処遇による教育を実施することが相当と説示した事例
1 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分の適否に関する裁判所の審査
2 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る県の教育委員会の判断が,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例
いわゆる被差別部落があった地域を記載した著作物の出版等について,「人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送ることができる人格的な利益」の侵害を理由に差止め等が認められた事例
1 いわゆる休車損害について民事訴訟法248条を適用して損害額を認定した事例
2 民事訴訟法248条の適用について,訴訟活動のコストも考慮したうえで適用することとし,争点整理手続において,当事者及び裁判所で一定の合意形成がなされた事例
登山講習会の開催中に発生した雪崩により,同講習会に参加していた県立高等学校の生徒及び引率教員が死亡した事故について,県立高等学校の教師である講師3名の個人責任を否定した一方,同講師ら及び主催団体が同講習会を中止すべき義務を怠ったとして,県及び主催団体の損害賠償責任を肯定した事例
17階建の商業ビルのうち中央部の3階までの部分が,その奥にある宗教施設への参道とするために空洞となっている場合において,当該ビルの敷地が,課税用途(商業施設の敷地)と非課税用途(境内地)の2つの用途に供されていると認めた事例
建設アスベスト大阪2陣・3陣訴訟
民法719条1項後段の類推適用により,石綿含有建材を製造・販売した会社の損害賠償責任を認めた事例
少年(審判時特定少年)が,友人に大麻を譲渡したという大麻取締法違反保護事件において,少年を第1種少年院に送致し,収容期間を2年間と定めた原決定について,処分の著しい不当を理由とする抗告を棄却した事例
被告人が建造物侵入窃盗の犯人であることには合理的な疑いがあるとして無罪とした原判決は,被告人が犯行の2時間半余り後に犯行現場からそれほど離れていない駅に現れて始発電車で帰宅したという犯人性を推認させる事実を見落とすなどした結果,論理則・経験則等に照らして不合理な結論に至っており事実誤認があるとして,原判決を破棄して有罪の自判をした事例