アダルトビデオプロダクションの実質的支配者である被告人甲及び同プロダクションのマネージャーである被告人乙が,同プロダクションの代表である丁とともに,業として,アダルトビデオ映画制作会社との出演契約に基づき,専属タレント契約を締結していた同プロダクション所属のアダルトビデオ女優3名を出演させ,同制作会社及び同社が依頼した監督の指示の下,男優を相手として性交等の性戯をする労働に従事させたという事案について,職業安定法63条2号(令和4年法律第12号による改正前のもの)にいう「労働者の供給」で必要とされる供給元と労働者の支配従属関係は,労働者が供給元の指示に従う立場にあるという程度の関係で足り,供給先と労働者の指揮命令関係は,供給先でその業務に就く立場にあるという程度の関係があれば足りると解され,また,同法44条における「労働者供給」における供給元と労働者及び供給先と労働者の関係にも強い限定をすべき理由はなく,本件においては同法63条2号(上記改正前のもの)及び同法44条において要すると解される関係が認められるとされた事例
同居したことがない夫婦間における婚姻費用分担申立事件において,抗告人の申立てを却下した原審の判断を取り消し,相手方に支払いを命じた事例
YouTubeに投稿された第三者の動画につき,YouTubeに対し著作権侵害通知を提出して対象動画を削除させた者らに不法行為責任が認められた事例
少年補償事件において,少年が逮捕勾留されていた22日間のうち,2日間については少年の保護事件に係る補償に関する法律3条2号により補償しないこととし,残りの20日間について補償をした事例
親権者指定協議無効確認の訴えについて,人事訴訟法2条柱書きの「その他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え」に当たるとして,人事訴訟として取り扱った上で,原告の請求を認容した事例
ハラスメントを受けたとの申し出をした労働者に対して使用者側が提起した当該申出事実に係る損害賠償債務不存在確認訴訟について,確認の利益を欠くと判断された事例
老齢厚生年金の離婚時年金分割について,婚姻期間中の相手方の保険料納付に対する申立人の寄与を同等と見ることが著しく不当である特段の事情を認めるのが相当であるとして申立てを却下した原審判を取り消し,請求すべき按分割合を0.5と定めた事例
ソーシャルネットワークサービスであるツイッターに投稿されたツイートがその中で言及された者を侮辱する内容を含むものである場合,このツイートに対して「いいね」を押したことが言及された者の名誉感情を違法に侵害する行為に当たり,「いいね」を押した者が言及された者に対して不法行為責任を負うとされた事例
音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した者(生徒)のレッスンにおける演奏に関し上記運営者が音楽著作物の利用主体であるということはできないとされた事例
統合失調症に罹患していた成人男性が心神耗弱状態で引き起こした殺傷事件に関し,同居の親は,当然に統合失調症などの精神疾患を有する成人に対する監督義務を負うということはできないが,精神障害者の在宅治療の選択及び専門家の排除等の先行行為,精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容等の予見可能性,同居の親の心身の状況及び精神障害者との関わりの実情等の監督可能性(結果回避可能性)がある場合には,単なる事実上の監督を超えてその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められ,その者に対し,当該精神障害者の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるといえるから,精神障害者の同居の親の監督義務(注意義務)が認められ,さらに,当該監督義務違反と精神障害者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認め得るときは,その者について,民法709条に基づく不法行為が成立すると解するのが相当であるとして,加害男性の同居の母親が加害男性につき入院治療に引き続いて統合失調症の通院治療の継続が必要な状況にありながら,訪問看護などの専門家の関与を拒絶する一方で,加害男性による通院拒否について状況を改善し得る立場にあるのに,加害男性の病状の悪化を認識しながらこれを放置していた等の具体的な事情の下で,同居の母親に対する損害賠償請求を認めた事例
宗教法人の元信者によるサリンの生成への関与等に関して日刊新聞に記事を掲載した新聞社にその内容を真実と信ずるについて相当の理由があるとされた事例
被控訴人が発行する週刊誌に国会議員の言動に関する記事を掲載したことが名誉毀損に当たり,被控訴人がその記事を真実であると信じたことについて相当の理由があるとは認められないとして,当該国会議員による損害賠償請求が認容された事例
1 人の肖像を無断で使用する行為が肖像権を侵害するものとして不法行為法上違法となる場合
2 路上で人物を撮影した動画を同人に無断でYouTubeに投稿する行為が肖像権を侵害するものとして不法行為法上違法となるとされた事例
1 競争関係にある者が,裁判所が知的財産権侵害に係る判断を示す前に当該判断とは異なる法的な見解を事前に告知し又は流布する場合には,当該見解は,不正競争防止法2条1項21号にいう「虚偽の事実」に含まれる
2 特許権を侵害している旨の通知書を送付した行為が,不正競争防止法2条1項21号にいう不正競争行為に該当するとされた事例
原審裁判所が,新型コロナウイルス感染症に係る水際対策措置のために来日できない者の検察官調書について,審理経過及び検察官が出頭確保に向けた相応の尽力をしたことなども踏まえると,刑事訴訟法321条1項2号前段の供述不能の要件を満たし,手続的正義の観点から公正さを欠くとはいえないとして同号前段により採用して取り調べた点に訴訟手続の法令違反はないとされた事例
1 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)のいわゆる特例選挙区を存置する規定の適法性
2 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定の適法性
3 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)のいわゆる特例選挙区を存置する規定の合憲性
4 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定の合憲性
山口県の所有する貴賓車(センチュリー)の購入契約の締結が財務会計上の違法行為であるとして,山口県が山口県知事に対し損害賠償請求をすることを求める住民訴訟が認められた事例