持ち帰り弁当事業を営む被告との間でフランチャイズ加盟契約等を締結していた原告が,被告から上記フランチャイズ加盟契約等の期間満了後の再契約を拒絶されたことに関し,再契約の拒絶はやむを得ない事由を欠き無効であると主張して,原告が上記フランチャイズ加盟契約等に基づく契約上の地位にあることの確認を求めるとともに,再契約の拒絶が債務不履行又は不法行為に当たると主張して逸失利益及び慰謝料等の支払を求めた事案において,原告は被告との間で上記フランチャイズ加盟契約等の再契約をしないことを合意していたと認められるとして,原告の請求をいずれも棄却した事例
傷害罪の成立を認めた第1審判決に判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
拘置所職員が,拘置所の閉庁日である土曜日に,弁護人による被告人に対する提出期限の切迫した控訴趣意書案の差入れの申出を拒否したことについて,国家賠償法上の違法性があるとされた事例
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義
2 組織再編成に係る一連の取引の一環として行われた金銭の借入れが法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないとされた事例
石炭火力発電所の新設に当たって発電所事業者が行った環境影響評価の評価書に関し,経済産業大臣が,上記評価書は環境保全について適正な配慮がされているとしてした電気事業法46条の17第2項の確定通知について,PM2.5の排出被害,CO2の排出被害等を主張して上記確定通知の処分取消しを求めた周辺住民らの主張が排斥され,同確定通知は違法ではないとされた事例
控訴人(原告)が,預金を払い戻す権限がないのにこれを払い戻し領得したとして不法行為の成立を認め,被控訴人ら(参加人ら)の請求をいずれも認容した一審判決について,控訴人に預金を払い戻す権限がないとはいえないのではないかとの心証の下に審理が重ねられ,その結果,被控訴人らの不法行為に基づく請求をいずれも棄却する一方で,被控訴人らが附帯控訴の提起とともに予備的に追加した寄託金返還請求を認容した事例
特別研究成果報告書を執筆した防衛研究所職員に「研究活動に係る不正行為」(盗用)に当たる行為があったと公表し,同職員を訓戒処分に付した同研究所長の行為につき国家賠償法1条1項の損害賠償責任が認められた事例
養育費減額の審判において,相手方が,相手方の夫の直近の収入資料の提出を拒否した場合に,相手方の夫が精神科の開業医であることに鑑み,少なくとも算定表の上限の金額の営業所得を得ていると推認して,養育費を算定した事例
交通事故の被害者である受給権者が,過失相殺を考慮してされた訴訟上の和解に基づき加害者である第三者から和解金の支払を受けた事案において,受給権者が,給付事由と同一の事由に基づき第三者からてん補を受けたということはできないし,給付事由と同一の事由に基づく損害賠償請求権を放棄したとはいえないとして,共済組合が国家公務員共済組合法47条2項に基づき受給権者に対してした高額療養費を支給しない旨の処分が違法であるとされた事例
新型コロナウイルス感染症のまん延下の緊急事態宣言期間中に発出された新型インフルエンザ等対策特別措置法45条3項による飲食店に対する営業時間短縮命令の違法性を認めたものの,都知事が職務上の注意義務に違反したとは認めず,被告(東京都)の国家賠償法上の責任を否定した事例
国立大学が開講するフィールドプログラムに参加中の学生が河川で溺死した事故について,過失相殺の適用を否定した上で,国立大学法人の国家賠償法1条1項に基づく責任を肯定した一方,プログラムの担当教員の個人責任を否定した事例
預託法(平成21年法律第49号による改正前のもの)違反及び景表法(平成26年法律第71号による改正前のもの)違反に係る調査の結果に関する情報が情報公開法(平成26年法律第67号による改正前のもの)5条6号イ所定の不開示情報に該当しないとした原審の判断に違法があるとされた事例
1 元労働組合員である被控訴人が,使用者から未払賃金を受領した後に,加入していた労働組合(控訴人)の規約が改正されたとしても,改正後の規約が遡って適用され,被控訴人が上記未払賃金に対する賦課金を控訴人に納付する義務を負うことはないとされた事例
2 組合規約上,「組合費及び機関で決定したその他の賦課金を納める義務」と定められているのみで,賦課金納付の条件や額についての定めがない場合には,賦課金納付義務の具体的な内容が特定されているとはいえず,また,上記規定と一体となる賦課金規程等も存在せず,機関で具体的な納付義務の内容が決定されたともいえないという事実関係の下では,上記規定に基づき,控訴人の組合員が労働争議の解決時に使用者から支払われた解決金の20%に相当する賦課金を控訴人に支払う義務を負うとは認められないとされた事例
3 被控訴人の発言は任意のカンパを検討する余地があるとの趣旨と解され,被控訴人が控訴人に賦課金を支払う旨の個別合意が成立したとは認められないとされた事例
連帯しない共同保証人の分別の利益については,単純保証人の主張を要せず,そのことを知らずに単純保証人がその負うべき分割後の保証債務額(負担部分)を超えた弁済をしたときは,その超えた額について不当利得が成立するとした事例
第三者による詐欺行為によって会社が不動産の売買代金名下に金銭をだまし取られた取引に関する取締役の判断について,善管注意義務ないし忠実義務に違反する任務懈怠があるとは認められなかった事例
外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について,共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
原告が提供するロードサービスについて,明示的な禁止規定がなくても,事業者が搬送等の商用目的で無償利用することは許容されていないとして,原告の会員であった中古車販売業者らの不正利用を認める一方,不正利用を看過した原告側の体制や対応についても相当程度の問題があったとして,3〜5割の過失相殺をして,不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容した事例
1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことと憲法15条1項,79条2項,3項
2 国が在外国民に対して次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求める訴えの適否
3 国会において在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとされた事例
マンションの区分所有者の配偶者である原告が,管理組合の理事長である被告に対し,管理規約に基づき,通帳等の閲覧を求めた事案において,管理規約が閲覧請求権を認める利害関係人とは,区分所有者たる組合員に準ずる管理規約上の地位を有する者であって,その地位に基づき管理組合に対して会計帳簿等の閲覧を請求する法律上の利害関係があると認められる者をいい,単にその閲覧につき事実上の利害関係を有するにすぎない者を含まないと解するのが相当であるとした上,管理規約の定めによれば,区分所有者の配偶者としてマンションに居住する原告は,マンションの管理について区分所有者たる組合員に準ずる地位を管理規約によって与えられているなどとして,原告の請求を認容した事例