一般財団法人日本ボクシングコミッションによる,プロボクシングジムの会長等に対するライセンスの更新に関する処分が違法であり,同ジムに所属するプロボクサーらに対する不法行為が成立するとして,上記一般財団法人やその理事長らに対する損害賠償請求が認容された事例
別居中の夫婦間において,妻である原審申立人が,夫で開業医である原審相手方に対して婚姻費用分担金の支払を求めた事案において,義務者である原審相手方の収入が標準算定方式の上限を超えることから,原審が,同方式によらず,同居時の生活水準や生活費支出状況,別居後の家計収支及び生活状況等の諸般の事情を踏まえて婚姻費用の分担額を定めたのに対し,抗告審においては,同方式を維持した上で,高額所得者である原審相手方の基礎収入について,同人の総収入から控除する税金や社会保険料,職業費及び特別経費について,事業収入の特殊性を踏まえた数値を用い,更に一定の貯蓄分を控除して婚姻費用分担額を算定した事例
被相続人を保険契約者兼被保険者とし,共同相続人の1人を死亡保険金の受取人とする生命保険契約に基づく死亡保険金請求権について,民法903条の類推適用による特別受益に準じた持戻しを否定した事例
同族会社における代表取締役会長による代表取締役社長に対するパワーハラスメントの不法行為があり,同代表取締役会長が退任した同代表取締役社長に対する退職慰労金の支給に関する株主総会の議案等を取締役会に上程しなかったことは任務懈怠に該当するなどとして,同代表取締役社長の損害賠償請求を一部認容した事例
映画製作会社がした文化芸術振興費補助金による助成金の交付申請に対し,申請対象の劇映画には麻薬及び向精神薬取締法違反の罪による有罪判決が確定した俳優が出演しており,同劇映画に助成金を交付することは公益性の観点から適当ではないとの理由でされた助成金の不交付処分が,処分行政庁である独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとはいえず適法であるとされた事例
固定資産課税台帳に登録されたゴルフ場用地の価格が固定資産評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
1 地方交付税法15条2項に基づき総務大臣が行う特別交付税の額の決定は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
2 地方交付税法15条2項に基づく総務大臣による特別交付税の額の決定を受けた地方団体は,当該決定の取消しを求める訴えの利益を有するか
3 特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)の各規定の法適合性
確定した離婚判決において清算的財産分与が定められている場合に,同判決において考慮されていない夫婦共有財産があることを理由に当該財産について重ねて清算的財産分与を求めることはできないとした事例
1 旧優生保護法の優生条項は,その立法目的が差別的思想に基づくものであって正当性を欠く上,目的達成の手段も極めて非人道的なものであり,憲法13条及び14条1項に違反することは明らかである
2(1) 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)724条後段の除斥期間の起算点は,加害行為時である本件優生手術時である
(2) 控訴人による本件訴訟の提起の時点では,上記起算点から20年が経過していたが,被害者による権利行使を民法724条後段規定の期間の経過によって排斥することが著しく正義・公平の理念に反するような特段の事情がある場合には,条理上,その効果を制限すべきである。本件ではそのような特段の事情が認められる
(3) 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律は,その前文において,優生手術を受けた被害者に対する謝罪の意を表明していること等からすると,同法が制定された平成31年4月24日頃になってようやく社会全体として旧優生保護法下における優生手術が違憲であり,被控訴人による不法行為を構成するものであることを明確に認識することが可能になった。そうすると,同法5条3項に照らして,同法の施行日から5年間が経過するまでは民法724条後段の効果は生じないものと解するのが相当である
1 商品に関する表示が複数の商品形態を含む場合における不正競争防止法2条1項1号,2号にいう「商品等表示」該当性
2 ハイヒールの靴底に赤色を付した表示が商品等表示には該当しないとされた事例
現住建造物等放火,殺人及び詐欺未遂の罪により無期懲役の判決の言渡しがされた後,再審において無罪の判決が確定した事案について,警察官の被疑者に対する取調べには国家賠償法上の違法があるが,検察官の諸活動には同法上の違法があるとまではいえないとした事例
被控訴人との間で自動車保険契約を締結していた控訴人が,被控訴人に対し,自宅駐車場に駐車していた本件被保険車両が盗まれる事故に遭ったとして車両保険金の支払を求めたところ,被保険者以外の者が駐車場から上記車両を持ち去ったことの証明があったとはいえないとして,請求を棄却した原審判決を支持した事例
当事者双方とも年金収入がある婚姻費用分担請求事件において,いわゆる標準算定方式の適用にあたって,年金収入を給与収入に換算する場合には,職業費がかかっていないことから修正計算をした一方で,事業収入に換算する場合には,事業収入は既に職業費に相当する費用を控除済みであるとして,修正計算は必要ないとした事例
「ぼてぢゅう」の文字を含む結合商標(暖簾を模した図案中,その上段に「総・ぼ・て」の3字を含む図案を,その下段に「ぼてぢゅう総本家」を,それぞれ配置したもの)が,「ぼてぢゅう」という商標に類似しないとされた事例
使用者が誠実に団体交渉に応ずべき義務に違反する不当労働行為をした場合において,当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときに,労働委員会が使用者に対して誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずることを内容とする救済命令を発することの可否
仮差押命令において担保を提供し,本案訴訟の係属中に債務者について破産手続が開始されたが,届出債権の認否が行われないまま破産手続が廃止され,本案訴訟が当然終了となった場合,仮差押命令における債務者の債権者に対する損害賠償請求権が発生する可能性が消滅したと同視できるとして,民事訴訟法79条1項の「担保の事由が消滅した」場合に該当するとされた事例
複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における地方税法73条の7第2号の3括弧書きに規定する「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無及び額の判断の方法
大阪市長が複合構造家屋の価格の決定において当該家屋の低層階を構成する構造により主たる構造を認定して経年減点補正率を適用したことが,固定資産評価基準に反するとされた事例