捜索差押許可状,鑑定処分許可状及び身体検査令状の発付を受け,被疑者の肛門から大腸内視鏡を挿入して,その体腔内からマイクロSDカードを採取し,差し押さえた捜査手続について,強制処分として許容できるかについての実質的な令状審査を欠き,高度の捜査上の必要性(判文参照)が認められないのに発付された令状によるもので,重大な違法があるとして,マイクロSDカードの証拠能力を否定した事例
市の所有・賃貸する土地について,賃借人に対する地方自治法238条の5第4項に基づく賃貸借契約の一部解除が認められた事例
第三者供賄罪で起訴された医師が治験委託料を流用してキャバクラで飲食したとの日刊紙の記事について,真実性,相当性がないとして,名誉毀損による不法行為の成立を肯定した事例
交通事故により被害者に身体傷害及び車両損傷を理由とする各損害が生じた場合における,被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条前段所定の消滅時効の起算点
新聞記事において,被疑者の氏名等に加え,住所を地番まで記載した逮捕報道がされたことにつき,報道の時点で地番の公表が一律に許されないとの社会通念があるとまではいえず,被疑事実の重大性,被疑者特定に係る記載が基本的な要素のみであること,地番の記載の有無により被疑者の私生活上の平穏が害されるおそれに格段の違いがあったことが明らかでないこと等を理由として,プライバシー侵害による損害賠償責任が否定された事例
大阪府営業時間短縮協力金支給規則に基づく協力金の支給に係る決定は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものではないから,義務付けを求めることのできる「処分」(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項)に該当しない
公開会社でない株式会社が,定款で議決権行使の代理人資格を株主に限る旨を定めた場合において,その定款の定めを理由に,株主から委任を受けた代理人弁護士(同社の株主ではない。)による議決権の代理行使を拒否したことは,決議の瑕疵(決議方法の法令違反)となるとされた事例
医療水準上未確立であり,治療効果の点でも不確実性を伴う療法を患者に実施した医師について,当該療法の当該患者に対する有効性に関する重要な事実(様々ながんの中でも当該患者の疾患である遠位胆管がんには当該療法が有効であったという症例が存在せず,当該医師自身も当該療法が遠位胆管がんに対して効果があった症例に接したことはなかった事実)を説明しなかったとして,説明義務違反を認めた事例
相続により取得した株式の配当期待権が相続税の課税対象となった場合において,同株式の配当に係る配当所得に所得税を課すことは,所得税法67条の4の課税の繰延べの趣旨に照らし,所得税法(令和3年法律第11号による改正前のもの)9条1項16号で排除されている違法な二重課税には当たらないとした事例
管轄移転の請求が訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかである場合における刑訴規則6条による訴訟手続の停止の要否
少年が,共犯者とともに友人の自殺を援助したという自殺幇助保護事件において,犯情は検察官送致をするほどに重いとは認められず,少年の行状等も考慮すると,保護処分を相当と認めるが,安易に不適切な解決方法を選択しやすいとの問題点を自覚させ,適切な社会性を身に付けさせるためには,長期間の系統立った矯正教育が必要であるとして,少年を第1種少年院送致(2年程度の相当長期間の処遇勧告)とした事例
少年が,保護観察所長の警告を受けたにもかかわらず,保護観察所長から許可を受けた住居に居住しなかったという施設送致申請事件において,遵守事項違反の程度が重く,少年の問題性の根深さや保護環境等を考慮すると,保護観察によっては少年の改善更生を図ることはできないとして,少年を第1種少年院送致とした事例
不動産事業を営む子会社を有する原告が,不動産の賃貸業を営む被告に対してした会社法433条1項に基づく会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧及び謄写の請求について,原告に同条2項3号の拒絶事由があるとされた事例
1 児童相談所長が申し立てた児童福祉法28条1項の承認を求める事案において,父母が児童(長女)と同居していた二女の外的要因による重度の傷害について合理的な説明をしないなどの事情の下,児童を父母の監護に委ねることは著しく児童の福祉を害するおそれがあるとしつつ,父方祖父母の下で児童の養育環境が整えられ,児童が順調に成育している状況を踏まえ,申立てを却下した事例
2 児童福祉法28条7項に基づく勧告を行った事例
会社の取締役責任調査委員会の委員を担当した弁護士らが,同委員会の責任がある旨の調査結果に基づき,取締役であった者に対して提起した損害賠償請求事件において,当該弁護士らが会社の訴訟代理人として訴訟行為を行うことが,弁護士法25条2号,4号に違反するとして,当該弁護士らの訴訟行為を排除した事例