日本人の配偶者等の在留資格で本邦に在留する被告人が,同人と戸籍上の夫との間の婚姻実態も,被告人及び同人の実子と戸籍上の夫との同居の事実もいずれもないのに,これらの事実がある旨の内容虚偽の在留期間更新許可申請書等を提出して被告人及び実子の在留期間の各更新許可を受けたとして出入国管理及び難民認定法70条1項2号の2違反の各罪の成立を認めた原判決を,被告人と戸籍上の夫との間に婚姻の実態がなかったとは認められず,同居の事実を偽った行為と在留期間の更新許可を受けたこととの因果関係は直ちには認め難いとして破棄した事例
地方公共団体である原告が,住民である被告に対し,還付しすぎた住民税の返還を求めた不当利得返還請求権につき,延滞金条例の適用はないとした事例
運転免許証の有効期間の更新において,放置駐車違反等の違反行為があったことを理由に有効期間を3年間とする運転免許証を交付して行われた更新処分が違法であるとされた事例
酒気帯び運転をしたことを理由に懲戒免職とされた地方公務員に対する,退職手当の全額を不支給とする処分について,処分行政庁がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと判断して,当該不支給処分の取消請求を認容した事例
原告らが飼っていたペットが,被告に所属する獣医師及び動物看護師の過失により,手術中に死亡したこと(過失の存在は特段争点になっていない)について,事故後に関する被告の説明義務違反は認められないものの,上記の過失によりペットが死亡したことは国家賠償法上違法な行為であるとして,慰謝料等の損害賠償請求の一部を認容した事例
1 民事訴訟における当事者の訴訟追行態度に鑑み,虚偽主張を続けていた当事者に対し,相手方の訴え提起に関する費用を除く訴訟費用全部の負担を命じた事例
2 民事訴訟における当事者が虚偽の陳述をしたとして,裁判所が,当該当事者を過料の制裁に科した事例
3 民訴法209条1項の過料の制裁を科すに際しては,非訟事件手続法120条が定める検察官に対する意見聴取を要せず,かつ,当事者から意見を聴かなくとも,同法122条2項の異議申立てはできないと判示した事例
捜索差押許可状,鑑定処分許可状及び身体検査令状の発付を受け,被疑者の肛門から大腸内視鏡を挿入して,その体腔内からマイクロSDカードを採取し,差し押さえた捜査手続について,強制処分として許容できるかについての実質的な令状審査を欠き,高度の捜査上の必要性(判文参照)が認められないのに発付された令状によるもので,重大な違法があるとして,マイクロSDカードの証拠能力を否定した事例
市の所有・賃貸する土地について,賃借人に対する地方自治法238条の5第4項に基づく賃貸借契約の一部解除が認められた事例
第三者供賄罪で起訴された医師が治験委託料を流用してキャバクラで飲食したとの日刊紙の記事について,真実性,相当性がないとして,名誉毀損による不法行為の成立を肯定した事例
交通事故により被害者に身体傷害及び車両損傷を理由とする各損害が生じた場合における,被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条前段所定の消滅時効の起算点
新聞記事において,被疑者の氏名等に加え,住所を地番まで記載した逮捕報道がされたことにつき,報道の時点で地番の公表が一律に許されないとの社会通念があるとまではいえず,被疑事実の重大性,被疑者特定に係る記載が基本的な要素のみであること,地番の記載の有無により被疑者の私生活上の平穏が害されるおそれに格段の違いがあったことが明らかでないこと等を理由として,プライバシー侵害による損害賠償責任が否定された事例
大阪府営業時間短縮協力金支給規則に基づく協力金の支給に係る決定は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものではないから,義務付けを求めることのできる「処分」(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項)に該当しない
公開会社でない株式会社が,定款で議決権行使の代理人資格を株主に限る旨を定めた場合において,その定款の定めを理由に,株主から委任を受けた代理人弁護士(同社の株主ではない。)による議決権の代理行使を拒否したことは,決議の瑕疵(決議方法の法令違反)となるとされた事例
医療水準上未確立であり,治療効果の点でも不確実性を伴う療法を患者に実施した医師について,当該療法の当該患者に対する有効性に関する重要な事実(様々ながんの中でも当該患者の疾患である遠位胆管がんには当該療法が有効であったという症例が存在せず,当該医師自身も当該療法が遠位胆管がんに対して効果があった症例に接したことはなかった事実)を説明しなかったとして,説明義務違反を認めた事例
相続により取得した株式の配当期待権が相続税の課税対象となった場合において,同株式の配当に係る配当所得に所得税を課すことは,所得税法67条の4の課税の繰延べの趣旨に照らし,所得税法(令和3年法律第11号による改正前のもの)9条1項16号で排除されている違法な二重課税には当たらないとした事例
管轄移転の請求が訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかである場合における刑訴規則6条による訴訟手続の停止の要否