血管内治療であるコイル塞栓術を受けた女性が,術中の破裂脳動脈瘤の再破裂により死亡したことに関し,医師らの手技上の注意義務違反を認定した上で,原判決を変更し,請求を一部認容した事例
市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料の全額を免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例
有期派遣労働者と派遣元の無期労働契約社員との間における通勤手当の支給の有無に係る労働条件の相違につき,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの。)20条の適用があり,期間の定めがあることによる相違に当たるが,支給の趣旨・目的,職務の内容等の相違のほか,その他の事情(派遣先における均衡待遇等に係る労働者派遣法の規律や労働者による就労条件の選択可能性等の派遣就労の特殊性,原告自身が派遣就労ごとに就労条件を吟味し決定していたこと,原告に支給されていた時給額が通勤交通費を自己負担するのに不足はなかったこと等)を勘案して,同条の「不合理と認められるもの」とはいえないとした事例
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律3条の指定を受けている暴力団の構成員らが,共犯者らとともに行った特殊詐欺について,同法31条の2本文に規定する威力利用資金獲得行為を行うについてされたものと認められ,当該暴力団の構成員のみならず,その代表者等にも損害賠償責任が認められた事例
不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たるとされた事例
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例
顔画像鑑定の信用性を肯定し被告人を窃盗犯人と認定して有罪とした原判決には事実誤認があるとして原判決を破棄し無罪を言渡した事例
1 家賃債務保証業者に賃貸借契約を無催告解除する権限を付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号,10条に該当するとはいえないとして,適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
2 賃借人が賃料等の支払を2か月以上怠り,家賃債務保証業者において合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ,賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに,賃借人が明示的に異議を述べない限り,賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を家賃債務保証業者に付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号,10条に該当するとはいえないとして,適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
警察官等を装い,特殊詐欺類似の手口により,被害者にキャッシュカードを提示させ,すり替えて窃取する犯行を計画し,実行した事案の窃盗未遂罪の着手時期について判示した事例
1 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当はその全体が法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)24条1項3号に規定する資本の払戻しに該当するか
2 法人税法施行令(平成27年政令第142号による改正前のもの)23条1項3号の規定のうち資本の払戻しがされた場合の当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分の法適合性
子と戸籍上の父との間に親子関係が存在しないことを確認する旨の審判(本件審判)をしたことについて,抗告人が家事事件手続法279条1項本文に基づき,本件審判の利害関係人として,異議を申し立てた事案において,原審は,抗告人は同利害関係人には当たらないとして,申立てを却下する旨の審判をしたが,抗告審は,同利害関係人とは,当該審判によって変動する身分関係を前提として,自らの身分関係に変動を生ずる蓋然性のある者も含まれるとした上で,本件審判が確定することにより,抗告人は,母から認知請求を受け,本件子との親子関係が形成され,さらには,母から養育費請求を受け,養育費の支払義務が形成される蓋然性があることが認められることから,本件審判に関し法律上の利害関係を有すると認めることが相当であり,本件異議は適法というべきであると判断し,原審判を取り消した事例
1 二酸化炭素の排出に起因する地球温暖化によって健康等に係る被害を受けると主張する者は,電気事業法46条の17第2項の規定に基づく通知の取消訴訟の原告適格を有するか(消極)
2 経済産業大臣がした電気事業法46条の17第2項の規定に基づく通知が違法であるとはいえないとされた事例
情報配信サイトに掲載された記事及び同記事を引用するツイッター上の記事の投稿が,名誉毀損に当たるとして,被告に不法行為責任が認められた事例
会社法206条の2第4項所定の株主総会の決議による承認を経ないままされた新株発行の発行手続には重大な法令違反があり,この瑕疵は新株発行の無効原因になるとされた事例
1 音楽教室における教師の演奏行為の演奏主体は音楽教室事業者であり,その演奏行為は音楽教室事業者による演奏権の行使に当たるとした事例
2 音楽教室における生徒の演奏行為の演奏主体を生徒であるとした事例
3 音楽著作物を楽譜や録音物に複製することを許諾したことによって,演奏権が消尽することはないとした事例
1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者と民訴法197条1項2号の類推適用
2 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名,住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書を検証の目的として提示する義務を負うか
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)3条の指定を受けている暴力団の構成員が,共犯者らとともに行ったいわゆる振り込め詐欺について,暴対法31条の2本文に規定する威力利用資金獲得行為を行うについてされたものと認められた事例
警察官が,被告人の所有に係るマンション1棟の敷地内に設置された,屋根,壁及び扉で構成されているごみ集積場の中に置かれていた被告人のごみ袋を無断かつ無令状で回収したことは違法な捜索差押えであり,この捜査方法が令状主義の観点から問題があると考えずに行われたことは,手続の適法性を慎重に検討する姿勢を組織的に欠いていたといわざるを得ず,厳しい非難を免れないが,被告人のごみ袋の回収行為は,強制処分によらなければおよそ行い得ない捜査方法ではなく,マンションの管理会社等の協力を得た上で任意捜査として行うことができたのに警察官がその捜査方法を検討しなかったというもので令状主義を潜脱するまでの意図は認められないことや,事件の重大性,回収行為の態様,捜査対象者として浮上していた被告人のDNA資料を入手する高度の必要性の存在等の捜査の必要性と捜索差押えを受ける者の不利益の程度等を総合的に検討すると,令状主義の精神を没却するような重大な違法はないとして,ごみ袋内にあった被告人の煙草の吸殻から検出されたDNA型を契機に得た関連証拠の証拠能力を認めた事例