1 自動車販売等を業とする株式会社の新人従業員が適応障害を発症し,自死した事案において,先輩従業員から業務上の相当な指導の範囲を超える発言があったことについては,これにより適応障害が発症したといえ,不法行為に該当するが,他方,上記新人従業員の自死との間に相当因果関係が認められないとされた事例
2 上記事案において,慰謝料44万円が認められた事例
3 上記新人従業員が適応障害を発症した後に,上記株式会社の支店長や課長が同従業員に休養をとらせず,いたずらに出勤を促したとの事実は認められず,また,同従業員の主治医との面談や同株式会社の産業医に同従業員を受診させるとの措置を講じなかったことや,同従業員を他の支店に異動させなかったことが,安全配慮義務違反とはいえないとされた事例
指定暴力団の構成員を含むグループによって行われた特殊詐欺行為が,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律31条の2の「威力利用資金獲得行為」を行うについてされたものとして,同条に基づく指定暴力団の代表者等の損害賠償責任が認められた事例
自動車を運転する予定の者に対し,ひそかに睡眠導入剤を摂取させ運転を仕向けて交通事故を引き起こさせ,事故の相手方に傷害を負わせたという殺人未遂被告事件について,事故の相手方に対する殺意を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否
2 警察官が日本国外に所在する蓋然性がある記録媒体にリモートアクセスをして電磁的記録を複写するなどして収集した証拠について証拠能力が肯定された事例
3 リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状の執行に当たり個々の電磁的記録につき内容を確認せずに複写することが許されるとされた事例
4 インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとされた事例
平成30年5月25日法律第29号による改正後の商法が適用される事例において,商法684条及び船舶の所有者等の責任の制限に関する法律2条1項1号の「航海の用に供する船舶」は社会通念上海上とされる水域を航行する船舶をいう
市民団体が開催する集会の開催地へ往復するために集会の参加者を自家用バスに乗車させたことにつき,道路運送法4条1項所定の一般旅客自動車運送事業を経営したものに当たるとした警察官による捜索差押許可状の請求行為が違法であるとされた事例
原告らが主張する旧優生保護法3条1項に基づく優生手術及び同法14条1項1号に基づく人工妊娠中絶手術が実施されたとは認められないとした事例
保護処分歴のない少年が店舗でコミック本等を2回にわたり万引きしたという窃盗保護事件において,経緯を踏まえると軽微な事案と評価することは相当でなく,問題性が広がりを見せつつあること,資質面の課題が非行と強く関係し,根深いこと等を指摘し,少年を第1種少年院送致とした事例
公立高校に教員として勤務していたAが,先輩教員であるBから度重なる注意を受けたことによって鬱状態となり自殺したことについて,Bの行為の不法行為該当性等を認めて,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を一部認容した原判決に対する1審被告の控訴を棄却した事例
地方公共団体である被告の設置運営する高校に在籍していた原告が,被告に対し,高校教員らから頭髪指導として頭髪を黒く染めるよう繰り返し強要され,高校に登校しなくなった後は生徒名簿から氏名を削除されるなどして精神的苦痛を被ったなどとしてした国家賠償請求等につき,染髪を禁じた校則及びこれに基づく頭髪指導は高校及び教員らの裁量の範囲内で適法であるとする一方,生徒名簿からの氏名の削除等は教育環境を整える目的でされたものではなく,手段の選択も著しく相当性を欠くなどとして,原告の国家賠償請求を一部認めた事例
ソリリスを投与中の患者が髄膜炎菌感染症に罹患し症状が急激に悪化して死亡したことについて,担当医に高熱,嘔吐等の症状から髄膜炎菌感染症を疑って速やかに抗菌薬を投与すべき義務を怠った過失があった等として,損害賠償責任を認めた事例
経鼻チューブが咽頭部内でトグロを巻き,その先端が胃に届かない状態で食道内に留置され,そのまま栄養剤等が注入されたため,患者が誤嚥性肺炎によって死亡したことにつき,医師に過失があったとされた事例
生活扶助の基準生活費の減額をその内容に含む生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が生活保護法3条及び8条2項の規定に違反するとされた事例
血管内治療であるコイル塞栓術を受けた女性が,術中の破裂脳動脈瘤の再破裂により死亡したことに関し,医師らの手技上の注意義務違反を認定した上で,原判決を変更し,請求を一部認容した事例
市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料の全額を免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例
有期派遣労働者と派遣元の無期労働契約社員との間における通勤手当の支給の有無に係る労働条件の相違につき,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの。)20条の適用があり,期間の定めがあることによる相違に当たるが,支給の趣旨・目的,職務の内容等の相違のほか,その他の事情(派遣先における均衡待遇等に係る労働者派遣法の規律や労働者による就労条件の選択可能性等の派遣就労の特殊性,原告自身が派遣就労ごとに就労条件を吟味し決定していたこと,原告に支給されていた時給額が通勤交通費を自己負担するのに不足はなかったこと等)を勘案して,同条の「不合理と認められるもの」とはいえないとした事例
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律3条の指定を受けている暴力団の構成員らが,共犯者らとともに行った特殊詐欺について,同法31条の2本文に規定する威力利用資金獲得行為を行うについてされたものと認められ,当該暴力団の構成員のみならず,その代表者等にも損害賠償責任が認められた事例
不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たるとされた事例
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例
顔画像鑑定の信用性を肯定し被告人を窃盗犯人と認定して有罪とした原判決には事実誤認があるとして原判決を破棄し無罪を言渡した事例