平成30年5月25日法律第29号による改正後の商法が適用される事例において,商法684条及び船舶の所有者等の責任の制限に関する法律2条1項1号の「航海の用に供する船舶」は社会通念上海上とされる水域を航行する船舶をいう
市民団体が開催する集会の開催地へ往復するために集会の参加者を自家用バスに乗車させたことにつき,道路運送法4条1項所定の一般旅客自動車運送事業を経営したものに当たるとした警察官による捜索差押許可状の請求行為が違法であるとされた事例
原告らが主張する旧優生保護法3条1項に基づく優生手術及び同法14条1項1号に基づく人工妊娠中絶手術が実施されたとは認められないとした事例
保護処分歴のない少年が店舗でコミック本等を2回にわたり万引きしたという窃盗保護事件において,経緯を踏まえると軽微な事案と評価することは相当でなく,問題性が広がりを見せつつあること,資質面の課題が非行と強く関係し,根深いこと等を指摘し,少年を第1種少年院送致とした事例
公立高校に教員として勤務していたAが,先輩教員であるBから度重なる注意を受けたことによって鬱状態となり自殺したことについて,Bの行為の不法行為該当性等を認めて,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を一部認容した原判決に対する1審被告の控訴を棄却した事例
地方公共団体である被告の設置運営する高校に在籍していた原告が,被告に対し,高校教員らから頭髪指導として頭髪を黒く染めるよう繰り返し強要され,高校に登校しなくなった後は生徒名簿から氏名を削除されるなどして精神的苦痛を被ったなどとしてした国家賠償請求等につき,染髪を禁じた校則及びこれに基づく頭髪指導は高校及び教員らの裁量の範囲内で適法であるとする一方,生徒名簿からの氏名の削除等は教育環境を整える目的でされたものではなく,手段の選択も著しく相当性を欠くなどとして,原告の国家賠償請求を一部認めた事例
ソリリスを投与中の患者が髄膜炎菌感染症に罹患し症状が急激に悪化して死亡したことについて,担当医に高熱,嘔吐等の症状から髄膜炎菌感染症を疑って速やかに抗菌薬を投与すべき義務を怠った過失があった等として,損害賠償責任を認めた事例
経鼻チューブが咽頭部内でトグロを巻き,その先端が胃に届かない状態で食道内に留置され,そのまま栄養剤等が注入されたため,患者が誤嚥性肺炎によって死亡したことにつき,医師に過失があったとされた事例
生活扶助の基準生活費の減額をその内容に含む生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が生活保護法3条及び8条2項の規定に違反するとされた事例
血管内治療であるコイル塞栓術を受けた女性が,術中の破裂脳動脈瘤の再破裂により死亡したことに関し,医師らの手技上の注意義務違反を認定した上で,原判決を変更し,請求を一部認容した事例
市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料の全額を免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例
有期派遣労働者と派遣元の無期労働契約社員との間における通勤手当の支給の有無に係る労働条件の相違につき,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの。)20条の適用があり,期間の定めがあることによる相違に当たるが,支給の趣旨・目的,職務の内容等の相違のほか,その他の事情(派遣先における均衡待遇等に係る労働者派遣法の規律や労働者による就労条件の選択可能性等の派遣就労の特殊性,原告自身が派遣就労ごとに就労条件を吟味し決定していたこと,原告に支給されていた時給額が通勤交通費を自己負担するのに不足はなかったこと等)を勘案して,同条の「不合理と認められるもの」とはいえないとした事例
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律3条の指定を受けている暴力団の構成員らが,共犯者らとともに行った特殊詐欺について,同法31条の2本文に規定する威力利用資金獲得行為を行うについてされたものと認められ,当該暴力団の構成員のみならず,その代表者等にも損害賠償責任が認められた事例
不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たるとされた事例
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例
顔画像鑑定の信用性を肯定し被告人を窃盗犯人と認定して有罪とした原判決には事実誤認があるとして原判決を破棄し無罪を言渡した事例
1 家賃債務保証業者に賃貸借契約を無催告解除する権限を付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号,10条に該当するとはいえないとして,適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
2 賃借人が賃料等の支払を2か月以上怠り,家賃債務保証業者において合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ,賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに,賃借人が明示的に異議を述べない限り,賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を家賃債務保証業者に付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号,10条に該当するとはいえないとして,適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
警察官等を装い,特殊詐欺類似の手口により,被害者にキャッシュカードを提示させ,すり替えて窃取する犯行を計画し,実行した事案の窃盗未遂罪の着手時期について判示した事例
1 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当はその全体が法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)24条1項3号に規定する資本の払戻しに該当するか
2 法人税法施行令(平成27年政令第142号による改正前のもの)23条1項3号の規定のうち資本の払戻しがされた場合の当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分の法適合性