被害者の死亡が確認されるまでに2つの交通事故が発生した二重轢過事案において,民法719条1項後段を類推適用して,後発の事故の加害者に被害者死亡の損害の不真正連帯責任を負わせるためには,同条項の類推適用を求める者が「被害者が後発の事故によって死亡した可能性があること」を立証する必要がある
納骨壇使用契約の法的性質を諾成的寄託契約に準委任契約が付随した混合契約であるとした上,同契約に基づく永代使用料及び永代供養料の支払の一部について,解約により法律上の原因を欠くに至ったため,不当利得として返還することを命じた事例
「当分の間」の措置として視覚障害者以外の者を対象とするあん摩マッサージ指圧師の養成施設等の新設及び定員増加を制限するあん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律附則19条1項の規定は,昭和39年の立法後半世紀を経た今もなお,憲法22条1項に反して職業選択の自由を侵害するものとはいえない
同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合における借主による充当の指定のない一部弁済と債務の承認(平成29年法律第44号による改正前の民法147条3号)による消滅時効の中断
国公立大学医学系研究科の博士課程に在籍し,満期退学後に客員研究員であった者が,指導教員であった准教授からいわゆるアカデミックハラスメント等の違法行為を受けたと主張して,同准教授及び国立大学法人に対して損害賠償請求をした事案において,国立大学法人に対する損害賠償請求が一部認められた事例
1 有価証券届出書の財務計算に関する書類に係る部分に虚偽記載等がある場合に当該有価証券の募集に係る発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者等が金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を受けるための要件
2 株式の上場に当たり提出された有価証券届出書のうち当該上場の最近事業年度及びその直前事業年度の財務諸表に虚偽記載があった場合において当該株式の発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者の金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責が否定された事例
既婚男性と独身女性が,多数回,一緒に,宿泊したり,ラブホテルに滞在したりした事実があるにもかかわらず,両者の間でやり取りされたLINEの内容等に鑑みて,両者が不貞行為に及んだ事実は認定できないとされた事例
日本の会社等が,外国の銀行に対し,同銀行の従業員の不法行為により損害を被ったと主張して,損害賠償を求めた訴えにつき,日本の裁判所が管轄権を有する(民事訴訟法3条の3)ものの,「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し,又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情」(同条の9)があるとして,訴えを却下した原判決を維持した事例
申立人である出生届未了の子が申立人の母(フィリピン国籍)の元夫である相手方(日本国籍)に対し,嫡出否認の調停を申し立てた事案において,夫のみが訴えを提起することができることとされている嫡出の否認(民法774条,775条)についても,子が申し立てた嫡出否認の調停において合意に相当する審判を行うことができるとした上で,日本法及びフィリピン法のいずれの下でも,申立人が相手方の嫡出子であることは否認されるべきものであると判断した事例
少年が,共犯少年と共謀の上,被害者の背部を飛び蹴りして転倒させるなどして金品を強取し,負傷させたという強盗傷人保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,在宅処遇の可能性を慎重に検討しておらず,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
結論を異にする複数の私的筆跡鑑定の信用性を分析・評価し,遺言書の発見・保管等に係る関係者の供述の信用性をも検討して,遺言書の自書性を否定し,自筆証書遺言を無効とした事例
集団送還の方法により強制送還した入国管理局の職員の一連の行為が難民不認定処分に対する異議申立棄却決定後に取消訴訟等を提起する意思を示していた被退去強制者の難民該当性に関する司法審査の機会を実質的に奪ったとして国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
学校法人である原告が新キャンパス開設のために被告から購入した土地に,①土壌汚染対策法上の形質変更時要届出区域指定相当の土壌汚染が存在していたこと及び②地中埋設物が存在していたことは,いずれも改正前民法570条の「隠れた瑕疵」に該当するものの,土壌汚染対策として行われた汚染土壌自体の除去は不相当であるとして,瑕疵と除去費用等の因果関係は認めず,調査費用や埋設物の撤去費用等の一部についてのみ損害との因果関係を認めて請求の一部を認容した事例
1 優生保護法4条ないし13条(平成8年法律第105号による改正前のもの)と憲法13条,14条1項及び24条2項
2 国会議員による優生保護法の制定が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
3 平成8年の優生保護法改正後に国会議員が被害者救済のための立法措置を採らなかったことは国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
4 優生手術を理由とする国に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権の除斥期間
自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例
大手事業者が保有した2000万人以上の顧客の氏名,住所等の個人情報流出(情報漏えい)事件につき,当該事業者,顧客情報システムの開発を受託した関連会社の各不法行為責任が肯定され,1人1000円の慰謝料等が認められた事例
建設会社Xが東日本大震災の被災地区に新築する住宅への給水を受けるため,水道事業を経営するY町との間で行った給水装置の新設に係る協議におけるY担当者らの対応や,同協議までにYが水量・水圧不足に対する対策を講じていなかったことが,水道法15条1項,14条2項4号等に違反することを理由とするYの使用者責任が否定された事例
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法31条2項に基づき費用負担調整機関が小売電気事業者から徴収する納付金債権のうち,破産手続開始決定日前に生じたものは,財団債権に当たらないとされた事例
軽微な有形力の行使につき暴行罪に問われた事案について,同罪における「暴行」と認定した点を争う事実誤認の主張は排斥したものの,量刑につき職権調査し,罰金刑に処した第1審判決を破棄した上で,科料刑に処した事例