1 自身になりすました第三者により無断でインターネットウェブサイトに記事を投稿されたことについて,他人に氏名を冒用されない権利(人格権)を違法に侵害されたものとして,同サイトの投稿記事につき削除権限を有する者に対して,人格権に基づき当該記事の削除請求が認められた事例
2 インターネットウェブサイトの運営者が,発信者情報の開示を求められた別件仮処分命令申立事件で答弁書を提出した時点において,なりすましによる記事であることを認識できるだけの情報を提供されていなかったという事情の下で,当該記事を削除する条理上の義務違反を理由とする不法行為の成立が否定された事例
父である申立人が,離婚した母である相手方に対し,当事者間の子である未成年者らとの面会交流を求め,その時期,方法などについて審判を求めた事案において,申立人に対して恐怖心を抱いている未成年者らの心情を考慮して,直接の交流の実施を開始するのは相当でなく,まずは,従前からできていた電話や手紙による間接交流の実施を重ね,未成年者らの不安や葛藤を低減していくのが相当であるとした事例
不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより配当要求債権について差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるための要件
小学校の教員が脳幹部出血を発症して後遺障害が残ったことについて,当該発症と公務との間に相当因果関係が認められるとされた事例
じん肺管理区分3ロの判断を受けていた者が,10年以上療養を続けた後,慢性呼吸不全急性増悪(??型)で死亡したことについて業務起因性が肯定された事例
1 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合と刑法207条
2 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合において,後行者の加えた暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有しないときに,刑法207条を適用することの可否
数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取り出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり,軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときの罰金刑の多額
インターネット上の掲示板への記事の投稿につき名誉毀損の成立を認めたが,営業上の損害を認めず,慰謝料等の限度で請求を一部認容した事例
長期間にわたって1か月当たり250時間を超える時間外労働に従事していた調理師がウイルス性劇症型心筋炎を発症したことについて,長時間労働以外の事実も総合すると免疫力が低下していたとは認められず,また免疫力が低下していたとしても,免疫力の低下によりウイルス性劇症型心筋炎が発症するとの医学的知見がないことから長時間労働とウイルス性劇症型心筋炎発症との間の因果関係が認められないとして業務起因性を否定し,また,治療機会喪失によりウイルス性劇症型心筋炎を発症したとの主張についても,治療機会を喪失した事実が認められないし,さらに治療機会があったとしてもウイルス性劇症型心筋炎の発症を防ぎ得たとは認められないから治療機会喪失とウイルス性劇症型心筋炎発症との間の因果関係が認められないとして業務起因性を否定した事例
1 元号を改める政令の制定行為が抗告訴訟の対象となるか(消極)
2 元号法の施行に伴う戸籍事務の取扱いに関する通達の発出行為が抗告訴訟の対象となるか(消極)
少年保護事件を題材として家庭裁判所調査官が執筆した論文を雑誌及び書籍において公表した行為がプライバシーの侵害として不法行為法上違法とはいえないとされた事例
1 無期契約労働者に対して退職金を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例(①事件)
2 無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例(②事件)
きつ音を有する新人看護師が,試用期間を延長された後に精神障害を発病し自殺したことについて,業務起因性が認められた事例
1 無期契約労働者に対しては夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で有期契約労働者に対してはこれを与えないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例(①事件)
2 私傷病による病気休暇として無期契約労働者に対して有給休暇を与えるものとする一方で有期契約労働者に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例(②事件)
3 無期契約労働者に対して年末年始勤務手当を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例(③事件)
4 無期契約労働者に対して祝日を除く1月1日から同月3日までの期間の勤務に対する祝日給を支給する一方で有期契約労働者に対してこれに対応する祝日割増賃金を支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例(③事件)
5 無期契約労働者に対して扶養手当を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例(③事件)
1 キャバクラ店の従業員である被告が使用者である原告との間でした,被告が私的交際をせずこれに違反した場合は原告に対して違約金200万円を支払う旨の合意は,労働基準法16条に違反し無効であると判断された事例
2 前記合意が,公序良俗に反し無効であると判断された事例
防衛省が設置する防衛研究所において研究に従事する職員が研究活動に係る不正行為(盗作)を行った旨を防衛研究所長が同研究所の公式ホームページで公表し,訓戒処分をしたことが国家賠償法上違法であるとされた事例
1 環境を汚染する行為が平穏生活権を侵害するものとして違法となる場合
2 石炭火力発電所である仙台パワーステーションの運転により環境を汚染する行為が,環境汚染の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くということはできず,平穏生活権を侵害するものとして違法となると認めることはできないとされた事例
株式会社の代表取締役等が,企業再生の一環として,同社の借入金債務を代位弁済し,これにより生じた同社に対する求償債権につき債務免除をした場合において,同債務免除が国税徴収法39条の債務の免除に当たるとして,同社に対してされた同代表取締役等の滞納国税の第二次納税義務に係る納付告知処分が違法ではないとされた事例