申立人夫(日本国籍)と申立人妻(フィリピン国籍)が,申立人妻と申立外男性との間の非嫡出子である未成年者(フィリピン国籍)との養子縁組の許可を求めた事案において,申立てを認めた事例
裁判所は,裁判員について,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律41条1項7号所定の不公平な裁判を行うおそれが疑われる事情があると認めた場合には,必要な範囲で裁判所として事情を確認し,確認した事情を踏まえて43条所定の手続をとるかどうかを検討すれば足り,当事者に解任請求の機会を与えるために情報提供すべき訴訟法上の義務はない
1 被収容者が保管私物又は領置されている金品を他の者へ交付する申請を許さない刑事施設の長の措置が国賠法1条1項の適用上違法となる場合
2 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律50条各号に該当する事由が認められないにもかかわらず,被収容者が雑誌等を他の者へ交付する申請を許さない宮城刑務所長の措置が国賠法1条1項の適用上違法となるとされた事例
渉外的な親子関係の成立の場面において嫡出推定の重複が生じた場合において,民法773条を類推適用して父を定めることを目的とする訴えの適法性を認めた事例
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるフィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)に返還するよう求めた事案において,子の常居所地国はフィリピンであるとした上で,同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があるとは認められないとして,子の返還を命じた原決定を取り消し,子の常居所地国がフィリピンであると認めることはできないとして,子の返還申立てを却下した事例
1 労働契約法20条違反の成否を判断するに当たり比較対象とすべき正社員の範囲について,労働条件の相違の発生原因を踏まえて設定すべきであり,その際,職務の内容,当該職務の内容及び配置の変更の範囲等も考慮するのが相当であるとした上,本件においては,人事制度の相違によって労働条件の相違が生じていることに照らし,当該人事制度の適用される正社員のうち職務の内容,当該職務の内容及び配置の変更の範囲等が一定程度共通する範囲の者を比較対象とすべきであるとされた事例
2 正社員と嘱託社員との基本給,賞与及び地域手当の相違について,労働契約法20条違反が否定された事例
先天性心疾患の治療のため心臓手術を受けた生後3か月半余りの乳児が,術後,低酸素性虚血性脳症を発症して重大な脳神経障害を残した症例について,カンファレンス鑑定の結果等に照らし,医師において,術前に再度心エコー検査を実施する注意義務や術中に人工心肺の送血カニューレの位置等を調整する注意義務を負っていたとはいえないとして,診療契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例
受刑者の一人が遵守事項に反して他の受刑者に暴行をし始めたのをその場に居合わせた刑務官2名が制止しなかったことは,権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くもので,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
認可外保育施設に宿泊保育を目的として預けられていた9歳の児童が同施設において熱中症により死亡した事案において,同施設を運営する法人,その代表者及び同施設の保育従事者等並びに同施設に規制権限等を有する市に対する損害賠償請求訴訟において,同施設を運営する法人とその代表者のほか市の損害賠償責任を認めた事例
くも膜下出血のため入院していた患者が,入院中に低酸素脳症をきたしていわゆる植物状態になり,その後に死亡したことについて,看護師に生体情報モニタのアラーム設定の確認が不十分であった過失があったとして,損害賠償請求が認容された事例
同性の犯罪被害者と交際し共同生活を営む関係にあった者が,犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条1項1号にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に当たらないとされた事例
自宅で立ち上がれなくなり救急搬送された患者が,入院翌日に急変し,死亡した場合において,病院の看護師及び医師の過失をいずれも否定した事例
資力を有するが急迫の事情により職権で保護が開始され多額の医療扶助費を含む保護費が支給された者に対し,生活保護法63条に基づき支給額全額の返還を求めた決定が,後期高齢者医療の被保険者であれば負担を要しなかった範囲の保護費の返還を求める部分は著しく衡平を失しており,裁量権の範囲を逸脱した違法があるとして取り消された事例
1 不正競争防止法2条1項14号(平成30年法律第33号による改正前のもの)における,商品の属性に関する限定列挙性(肯定)
2 銘菓の製造販売事業の創業を1689年とする表示等が,不正競争行為としての品質等誤認表示に該当しないと判断された事例
遺言者が一切の財産を抗告人(長男)に相続させ,その相続の負担として,原審申立人(二男)の生活を援助するものと定めた遺言について,原審申立人が,遺言者の死亡後,「原審申立人の生活を援助する」義務を負ったのにこれを履行していないとして,遺言の取消しを求めた事案において,原審はこれを認め,本件遺言を取り消したが,抗告審においては,抗告人に「原審申立人の生活を援助すること」,すなわち,少なくとも月額3万円を援助する義務があることを認めた一方で,遺言の文言が抽象的であり,その解釈が容易でないこと,抗告人は今後も一切義務の履行を拒絶しているものではなく,義務の内容が定まれば履行する意思があることなどを考慮すると,抗告人の責めに帰することができないやむを得ない事情があり,本件遺言を取り消すことが遺言者の意思にかなうものともいえないとして,原審を取り消し,本件申立てを却下した事例
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,母である相手方が,父である抗告人に対して,子をその常居所地国であるアメリカ合衆国(以下「アメリカ」という。)に返還するよう求めた事案において,子の常居所地国をアメリカであるとした上で,同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があると認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の収集,保管,利用及び提供等の制度が,憲法13条により保障される個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではないとされた事例
「ドキセピン眼科処方物」差戻事件
ヒトのアレルギー性眼疾患を処置するための点眼剤に係る発明について当該発明には当該発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果が認められるとして進歩性が認められた事例