不動産の売買契約が三者間で順次締結された事案で,登記手続がいわゆる連件登記申請の方法により行われる場合において,後件のみの登記手続を代理する司法書士が,前件の登記手続書類の真否等について調査確認義務を負わないとされた事例
分娩過程における医師の責任に関し,①オキシトシン投与についての必要な説明を怠るとともに投与についての同意を得なかった医師の注意義務違反を認めたが,他方,上記説明義務違反等以外の原告らが主張する医師の注意義務違反は認めず,②また,児の低酸素性虚血性脳症がオキシトシンに起因するとまでは認められないとし,原告らの請求について,上記説明義務違反等と相当因果関係の認められる損害(慰謝料及び弁護士費用相当損害金)の限りで,その請求を一部認容した事例
韓国人従軍慰安婦に関する新聞記事の内容が捏造されたものであるとして記事を執筆した記者を批判する論文を執筆したジャーナリストについて,摘示事実が真実であると信じたことに相当な理由があるとして,名誉毀損による不法行為の成立が否定された事例
被告人の運営するインターネット上のウェブサイトを閲覧することにより,閲覧者の同意を得ることなく閲覧者の電子計算機に仮想通貨の取引履歴の承認作業(マイニング)の演算を実行させるプログラムコード(判文参照)をサーバーコンピュータ上に保管したという不正指令電磁的記録保管の事案について,原判決は,反意図性を肯定した上で,本件プログラムコードの社会的許容性が否定できず不正性に疑いがあるとして不正指令電磁的記録該当性を否定して無罪としたが,本件プログラムコードは,プログラム使用者に利益を生じさせない一方で,無断で電子計算機の機能を提供させ,プログラム使用者に生じる不利益に関する表示等もされていないプログラムであって,プログラムに対する信頼保護という観点や電子計算機による適正な情報処理の観点から,社会的に許容すべき点は見当たらず,その機能を中心に検討すると,反意図性も不正性も認められ,不正指令電磁的記録に該当するとし,被告人を無罪とした原判決は,刑法168条の2の解釈を誤って事実を誤認したとして,原判決を破棄して有罪の自判をした事例
医療法人社団を再生債務者とする民事再生事件においてされた診療報酬債権についての債権譲渡契約に対する民事再生法148条1項に基づく担保権消滅の許可申立てが,同契約は譲渡担保の実質を有すると認められる等として,許可されるべきものとされた事例
1 出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可の義務付けの訴えについて補充性を欠くことから不適法とされた事例
2 コンゴ民主共和国国籍を有する外国人女性についてされた出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法とされた事例
3 コンゴ民主共和国国籍を有する外国人女性及び男性についてされた出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分が適法とされた事例
夫である相手方が,別居中の妻である抗告人に対し,未成年者らの監護者を相手方と指定するとともに,現在,抗告人の下で養育されている二女及び三女を相手方に引き渡すことを求める一方で,抗告人が,相手方に対し,未成年者らの監護者を抗告人と指定するとともに,現在,相手方の下で養育されている長女を抗告人に引き渡すことを求めた事案において,原審は,未成年者らの監護者をいずれも相手方と指定し,二女及び三女を相手方に引き渡すよう命じたところ,抗告審は,姉妹分離の点については,監護者指定に当たっての一考慮要素にすぎないとした上で,二女及び三女との関係では,従前ないし現在の監護環境を維持することが最も子の福祉に合致するとして,長女の監護者を相手方と,二女及び三女の監護者を抗告人とそれぞれ定め,抗告人及び相手方のその余の申立てはいずれも却下した事例
「出て行け」などと記載した文書と人糞を封筒に入れて外国公館に郵送し,関係職員に開封させて内容物を認識させた行為が刑法234条にいう「威力を用い」た場合に当たるとされた事例
1 国会議員の私設秘書として採用する旨の黙示の合意の成立が否定された事例
2 国会議員の公設第一秘書として採用される旨の期待権侵害の成立が否定された事例
前件審判時と同程度の稼働能力を有すると認められるから,前件審判を変更すべき事情変更が認められないとして婚姻費用分担金の減額申立てを却下した事例
約1年間にわたり著しい長時間労働に従事していた調理師が,劇症型心筋炎を発症して最終的に死亡したことについて,長時間労働による過労状態と死亡との間の相当因果関係を肯定して使用者及びその代表者に対する損害賠償請求を認容した事例
個人番号制度によって,個人に関する情報がみだりに収集,利用され,又は第三者に開示・公表される具体的な危険が生じているとは認められないから,番号利用法に基づく個人番号制度が原告らのプライバシー権を侵害しているものとはいえないとされた事例
1 経過観察を受けている被爆者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律10条1項所定の「現に医療を要する状態にある」と認められる場合(①事件)
2 経過観察自体が,経過観察の対象とされている疾病を治療するために必要不可欠な行為であり,かつ,積極的治療行為の一環と評価できる特別の事情があるといえるか否かについての判断の方法(①事件)
3 慢性甲状腺炎について経過観察を受けている被爆者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律10条1項所定の「現に医療を要する状態にある」と認められるとはいえないとされた事例(①事件)
4 放射線白内障についてカリーユニ点眼液の処方を伴う経過観察を受けている被爆者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律10条1項所定の「現に医療を要する状態にある」と認められるとはいえないとされた事例(②事件)
原告らが,被告に対し,原告らの母を養母,原告らの母の孫にあたる被告を養子とする養子縁組は無効であると主張して,その旨の確認を求めた事案において,養子縁組届の外形や,原告らの母の意思能力の状態,養子縁組に至る従前の経緯等からすると,原告らの母が,その意思に沿って,被告の父に署名を代筆させたとは言えず,本件養子縁組が原告らの母の意思に基づくものであると認めることはできないとして,原告らの請求を認容した事例
1 許可認可等臨時措置法(昭和18年法律第76号)及びその委任を受けた都市計画法及同法施行令臨時特例(昭和18年勅令第941号)により内閣の認可を受けることなく行われた旧都市計画法(大正8年法律第36号)に基づく都市計画決定が違法であるとはいえないとされた事例
2 関東地方整備局長が行った道路の整備に係る都市計画事業の認可がその前提となる都市計画決定後の社会・経済情勢の変化との関係において違法であるとはいえないとされた事例