精神保健指定医の指定取消処分につき,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律19条の2第2項に規定する「指定医として著しく不適当と認められるとき」に該当するとの処分事由に該当するとした厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったと認められるとされた事例
少年が店舗で医薬品等を2回にわたり万引きしたという窃盗保護事件において,立件されていない大麻使用に関する事情を非行事実とほぼ並列的に掲げて要保護性を検討した上で少年を第1種少年院送致とした原決定につき,非行事実ではないが処分に実質的に大きな影響を与える可能性のある大麻使用に関する事情を,要保護性の判断として許容される限度を超えて,あたかも非行事実であるかのように扱ったものであり,法令違反があるとしつつ,その法令違反は決定に影響を及ぼすものとまではいえないとした事例
13歳の少年が,覚せい剤及び大麻を友人と共に密売人から譲り受け,これを単独で所持したという触法(覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反)保護事件において,少年の薬物への依存性の深刻さ等を指摘し,少年を第1種少年院に送致した事例
他人がした投稿を引用する形式で自己のアカウントから投稿する方法(リツイート)によりなされたツイッター上の投稿が,名誉毀損に該当するとして,リツイートをした者に民法709条の不法行為責任が認められた事例
第1種少年院を仮退院した少年(当時15歳)に係る戻し収容申請事件において,20歳までである法定の収容期間を変更する趣旨ではない旨説示しつつ,主文にて審判の日から1年間となる期間を明示して第1種少年院戻し収容とした原決定につき,重大な違法があり,収容期間を定めたかのような誤解を招く決定主文を審判において告知したとの誹りは免れないとし,これを取り消した事例
共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく潮受堤防排水門の開門請求を認容する判決が確定した後,当該確定判決に係る訴訟の口頭弁論終結時に存在した共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく開門請求権が消滅したことのみでは当該確定判決に対する請求異議の事由とはならないとされた事例
性同一性障害と診断された戸籍上の性別が男性である申立人が,男性名から女性名への名の変更許可を申し立てた事案において,原審は,申立人が変更を求める女性名が,通称として永年使用され社会的に定着しているとは認められず,申立人がホルモン治療等を行わなかったなどの通院治療の状況等を併せて考慮し,名を変更することにつき正当な事由があるとは認められないとして申立てを却下したのに対し,抗告審は,申立人が心療内科・精神科に約1年半通院して,医師2名から性同一性障害の診断ガイドラインに沿った診断の結果,性同一性障害であることの診断を得ていることなどから,正当な事由があると認められると判断し,原審を取り消して申立てを許可した事例
債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断の効力が生ずるためにその債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることの要否
中央防波堤埋立地付近における特別区の境界を,現在の水際線を基礎とした等距離線に利用状況等による修正を加えた線と確定した事例
1 警察官による逮捕及び検察官による勾留請求が,犯罪の嫌疑を判断する上において,合理的根拠が客観的に欠如していることが明らかであるということはできないとして,それらの違法性を否定した事例
2 警察官による取調べが,社会通念上相当な範囲を逸脱し,黙秘権及び弁護人選任権を侵害するような方法ないし態様で行われたとまではいえないとして,その違法性を否定した事例
1 複数の結果発生地がある場合における不法行為の準拠法は,最も重大な結果が発生した地の法である
2 原告一家(夫婦と子3人)が期間3年の予定で米国に海外赴任中に原告の夫とその不貞相手の不貞行為が始まり,不貞相手はこれらの事情を知りながら原告の夫との間に子をもうけて同居し,不貞行為を米国内で終了させずに切れ目なく日本国内でも3年半継続し,原告の夫が原告と子3人の収入及び住居の確保に無関心であるなど判示の事実関係の下においては,不法行為の結果発生地は日本であると判断された事例
インターネット上の電子掲示板への上場会社に関する投稿によって同社の株価が下落したとして,同社株主が,投稿を削除しなかった電子掲示板運営会社に損害賠償を求めたが,投稿により株価が下落したとはいえず,Xの権利侵害は認められないとされた事例
給与が振り込まれた預金債権に対する滞納処分としての差押処分が,給与により形成された部分のうち差押可能金額を超える部分について違法とされた事例
詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて送付先のマンションに設置された宅配ボックスから取り出して受領するなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例
民法750条の規定は憲法14条1項及び24条1項に違反するものではなく,国会が同規定を改廃して選択的夫婦別氏制を導入しなかったことは国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
1 弁護士が第三者の代理人として訴えを提起した行為について,弁護士の不法行為責任を否定した事例
2 弁護士が第三者の代理人として刑事告訴等をした行為について,弁護士の不法行為責任を否定した事例
施設に入所している原告から訴訟委任を受けたとする弁護士が原告訴訟代理人として提起した訴えにつき,原告訴訟代理人が原告本人の意思で訴訟委任を受けたとは認められないとして,当該訴えが却下された事例
民法750条及び戸籍法74条1号の各規定は,憲法14条1項,24条,女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約又は市民的及び政治的権利に関する国際規約に違反することが明白であるとはいえず,その改廃等の立法措置を執らない立法不作為は国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例