1 採用内定通知後に労働者の同意を得て実施したバックグラウンド調査により判明した事情等を主たる理由として使用者がなした採用内定取消について,採用内定当時知ることができず,また,知ることが期待できないような事実であって,これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ,社会通念上相当として是認することができるとはいえないとして,違法とした事例
2 地位確認請求について,採用内定取消後に労働者が同業他社に就職し,試用期間満了後も継続して勤務している等の事情の下では,同社での待遇面を考慮しても,使用者の下で就労する意思は失われたものと認め,確認の訴えの利益を欠くとして却下した事例
3 採用内定取消が違法であるとして,使用者に対し,労働者の平均賃金を基礎とした未払賃金の総額(採用内定通知書に記載された労働契約の始期から就労意思喪失時までの期間に係るもの)から,労働者が同業他社での就労期間内に得た中間収入につき4割を控除し,その残額の6割の支払を命じた事例
共同不法行為を原因とする不真正連帯債務を負う複数の債務者のうちの一部の者が,同人に対する確定判決に基づき,弁護士費用を含めた債務の全額を弁済した場合においても,他の不真正連帯債務の債務者に対する別の訴訟で認定された弁護士費用が弁済されたとはいえず,当該弁護士費用に係る損害賠償債務は消滅しないとされた事例
死刑確定者が親族以外の者との間で発受する信書につき刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号所定の用務の処理のために必要とはいえない記述部分がある場合に,同部分の発受を許さないこととしてこれを削除し又は抹消することの可否
協議離婚時に公正証書で定めた養育費の額(合計月額15万円)が住宅ローンの支払に関する合意と不可分一体のものとなっており,合意の真の意味は,未成年者らの養育監護に使用される実際の養育費としては,住宅ローン月額支払額10万円相当額を除いた,月額合計5万円を抗告人に支払うことを約するものであるとして,同養育費の減額請求につき,住宅ローンに関する合意と切り離して養育費のみを減額することは相当でないとし,これを認めた原審判を取り消して,申立てを却下した事例
宗教法人の集会について普通地方公共団体の公民館の使用を拒んだことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
じん肺管理区分4の決定を受けていた元炭鉱労働者が,30年以上にわたって療養を続けた後,胃がんを併発した上,肺炎で死亡したことについて,業務起因性が否定された事例
原審が,父親(抗告人)と3人の子ら(利害関係参加人ら)との直接交流(面会)を認めず,手紙の送付等の間接交流のみを認めたのに対し,抗告審は,原審を基本的に維持しつつ,母親から父親に対して子らの電子メールのアドレス及びLINEのIDを通知すべきことなどは認め,その限度で原審を変更した事例
化合物の医薬用途に係る特許発明の進歩性の有無に関し当該特許発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定した原審の判断に違法があるとされた事例
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときの民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額
投資運用業者の行った上場株式の売付行為が金融商品取引法166条3項に違反するインサイダー取引に当たるとして金融庁長官がした課徴金納付命令が,当該上場会社の公募増資の実施に係る重要事実がその公表前に会社関係者から当該投資運用業者に伝達された事実が認められないとして取り消された事例
ゲーム依存状態にあった当時14歳1か月の少年が,ゲーム場所を確保しようと考え,空き家であるかを確認するために居宅に侵入したという住居侵入保護事件において,少年を児童自立支援施設送致とした原決定につき,収容処遇となると少年が希望する来年度の高校進学が相当に困難になること,特に悪質な事案ではないことなどを指摘し,基本的に社会内処遇を選択するのが相当として,これを取り消した事例
少年が,被害者に対して立腹し,共犯者3名と共謀の上,被害者に暴行を加え,現金を脅し取るとともに傷害を負わせたという恐喝,傷害保護事件において,少年を第1種少年院送致(短期間の処遇勧告)とした原決定につき,本件非行が極めて悪質とまではいえないこと,少年の非行性がそれほど根深いものではないこと,家裁への係属歴がないことなどを指摘し,試験観察に付することを含め,在宅処遇の可能性を検討すべきとして,これを取り消した事例
1 保有する株式に対して差押命令を受けた株主に会社解散の訴えの原告適格を認めた事例
2 特例有限会社について解散判決がされた事例
商業地区にある建物を利用してドラッグストアを営もうとする法人が同建物で店舗を営んでいた所有者(法人)と同建物の賃貸借契約締結に向けて交渉をしていたが,最終的に内部決済が得られず契約締結に至らなかった場合において,正当な理由なく契約の成立を妨げる行為をして相手方に損害を生じさせたとして不法行為に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
求心性視野狭窄の障害により両眼の視野がいずれも10度以内であった自動車運転者の発生させた交通事故において,同運転者の過失の程度が重いものであるとされた事例
米国カリフォルニア州を本拠とする被告と日本企業である原告との間のパソコン用の部品の製造・供給契約に関する紛争において,債務不履行に基づく損害賠償請求及び不法行為に基づく損害賠償請求における準拠法がいずれもカリフォルニア州法であるとされた事例