身寄りがなく,知的能力が十分ではない被相続人の相続財産(約4120万円)につき,同人の元雇用主が相続財産分与の審判を求めた事案で,被相続人が脳梗塞を発症してから死亡するまでの約15年間の支援にのみ着目し,分与額を800万円とする審判をした原審を変更し,抗告人(原審申立人)が被相続人を雇用していた期間(昭和47年~)にも着目し,知的能力が十分でなかった被相続人が4000万円以上もの相続財産を形成・維持することができたのは,抗告人(原審申立人)が約28年間にもわたり,労働の対価を超えて実質的な援助を含んだ給与を支給し続けてきたことや,被相続人を解雇した平成13年以降も緻密な財産管理を継続してきたためであるとして,分与額を2000万円とした事例
有期契約労働者(アルバイト職員)と無期契約労働者(正職員)の労働条件の相違のうち,賞与の不支給,夏期特別休暇の不付与,私傷病による欠勤中の賃金及び休職給の不支給が不合理であるとされた事例
転貸建物の賃貸人が,賃借人の賃料未払を理由に原賃貸借契約を解除したものの,同解除は賃貸人と賃借人の合意による解除であり,これによって転借人の権利は消滅しないとして,賃貸人の転借人に対する建物明渡請求を棄却した事例
1 土地区画整理法55条12項に基づく事業計画変更決定が,実行不可能な資金計画を定めるものとして土地区画整理法施行規則10条1号,2号,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するとされた事例
2 土地区画整理法55条12項に基づく事業計画変更決定が,実行不可能な事業施行期間を定めるものとして土地区画整理法6条9項に違反するとされた事例
マンションの一室において無届で民泊事業を営んでいた区分所有者に対して,区分所有法に基づき民泊営業のための利用の差止めが認められた事例
磯釣りのために港から釣り場まで移動するための遊漁船に乗船した乗客が磯に転落して傷害を負った事故において,当該遊漁船の船長に過失がなく,船主及び船長に損害賠償責任が生じないとされた事例
本人確認情報提供制度の資格者代理人である司法書士が,登記申請人についてなりすましを疑うに足りる事情があり,本人確認のために更なる調査をすべき注意義務があったのにこれを怠った過失があるとして,不法行為に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
部下の女性教諭にわいせつ行為をして懲戒免職処分を受けた公立中学校長に対する退職手当等全額不支給処分が全部適法であると判断された事例
健康保険の保険料,厚生年金保険の保険料及び児童手当の拠出金に係る過納金と民法703条及び704条前段の適用の有無
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるロシア連邦に返還するよう求めた事案において,原決定後にロシア国内の裁判所が,子の居住地を抗告人の下とし,抗告人が子を連れてロシアから日本へ出国することを許可する決定をしたことにつき,法28条3項ただし書に基づき,同決定の理由が,子の返還事由の判断に影響しないかを検討した上で,返還拒否事由があるとは認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
公職選挙法204条の選挙無効訴訟において選挙人が同法205条1項所定の選挙無効の原因として年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている同法9条1項の規定の違憲を主張することの可否
1 戸籍事務の民間委託が区民のプライバシー権を侵害するとはいえないとされた事例
2 戸籍事務の民間委託が戸籍法に違反するとはいえないとされた事例
3 戸籍事務の民間委託が,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律24条の2に違反するとされた事例
4 戸籍事務の民間委託が,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律24条の2に違反するものであったが,業務委託契約が私法上無効であるとはいえず,これに基づく支出命令が財務会計法規上の義務に違反するものでないとされた事例
個人で診療所を運営していた医師の患者に対する損害賠償責任について,法人格否認の法理の適用により,当該医師が当該診療所を法人成りさせて設立した医療法人にも責任が認められた事例
団地管理組合法人が一括して契約を締結するなどして団地建物所有者等が電力の供給を受ける方式への変更をするために,団地建物所有者等に対してその専有部分において使用する電力につき個別に締結されている供給契約の解約申入れを義務付ける旨の集会決議がされた場合において,団地建物所有者が上記解約申入れをしないことが他の団地建物所有者に対する不法行為を構成しないとされた事例
違法な仮差押命令の申立てと債務者がその後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったことにより喪失したと主張する得べかりし利益の損害との間に相当因果関係がないとされた事例
いわゆる建設工事の第三者被害型の事件において,施工業者の工事と隣地建物の屋内排水管と屋外埋設塩ビ管の接合部の沈下・破断に因果関係を認めるとともに施工業者の過失も認めたが,施工業者に埋設塩ビ管を補強するまでの義務は認められないとして,損害から埋設塩ビ管補強工事費用を控除した上で,民法722条2項の適用又は類推適用により5割を減額して請求が認容された事例
1 仲裁人と同じ法律事務所に所属する別の弁護士が,別件訴訟において仲裁事件当事者の関連会社の訴訟代理人の地位を有していたとの事実は,仲裁法18条4項の開示事実に該当する
2 仲裁人の所属する法律事務所が一般的な水準のコンフリクト・チェックシステムを構築している場合,仲裁人は同チェックシステムの存在を前提に,同チェックシステムで必要とされる行動をしている限り,合理的な範囲の調査を継続的に行ったものと評価すべきである