金属スクラップ等の継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合に,買主が保管する金属スクラップ等を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が,売買代金が完済されていない金属スクラップ等につき売主に上記譲渡担保権を主張することができないとされた事例
不動産を親族に遺贈する旨の自筆証書遺言作成後に,当該不動産売却のため,不動産業者との間で専任媒介契約を締結し更新したことが,民法1023条2項「抵触」に当たらないとして,遺言の撤回があったとみなすことができないとされた事例
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である申立人が,母である相手方に対して,3人の子らをその常居所地国であるスペインに返還するよう求めた事案において,子の返還申立ては,相手方による子らの留置の開始から1年を経過した後にされたものであり,子らはいずれも日本での生活に適応していると認められるから,法28条1項1号(新たな環境への適応)の返還拒否事由があるとして申立てを却下した事例
会社の新たな賃金体系に係る協定を締結しなかった原告組合の組合員に対して行われた残業,公休出勤(シフト上休日とされた日に出勤すること)及び勤務時間変更の制限などの取扱いの労働組合法7条1号及び3号の各不当労働行為該当性(消極)
勤労収入についての適正な届出をせずに不正に保護を受けた者に対する生活保護法(平成25年法律第104号による改正前のもの)78条に基づく費用徴収額決定に係る徴収額の算定に当たり基礎控除の額に相当する額を控除しないことの適否
療養病床で入院治療を受けていた患者が,深部静脈血栓症を原因とする肺血栓塞栓症により死亡したことについて,静脈血栓塞栓症の予防措置や検査を実施していなかった医師の注意義務違反が否定された事例
一時保護中の少年が,児童相談所内で,職員に対し,椅子を投げつけるなどして全治約5日間の右前腕打撲等の傷害を負わせた傷害保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定に対する処分の著しい不当を理由とする抗告につき,原決定は,少年の問題性及び要保護性に関する基礎事情を十分に明らかにしておらず,これらを一面的に評価しているところがあり,施設収容による矯正教育以外の処遇が困難であることの見極めをしないまま,少年を第1種少年院送致の決定をしたものであるとして,原決定を取り消し,差し戻した事例
1 破産会社からの事業譲渡が,無償行為否認(破産法160条3項)の対象になるとされた事例
2 本来の弁済期が支払不能よりも前に到来する債務に対する期限前弁済が,非義務行為として,偏頗行為否認(破産法162条1項2号本文)の対象になるとされた事例
被告人も後追い自殺をすると信じて行った被害者の殺人の嘱託が,真意に基づく有効なものかが争点となった殺人被告事件において,後追い自殺をする固い決意があったとする被告人の供述を排斥できないとして,被害者の嘱託を有効と判断した事例
個人情報の漏えいを理由とする損害賠償訴訟において,個人情報を取り扱う企業及びその個人情報を対象としたシステムの開発,運用等をする企業について注意義務違反の前提としての予見可能性を否定する一方,後者の企業についてはその業務委託先の従業員に対する使用者責任を肯定し,慰謝料の損害賠償を認めた事例
1 強姦等の罪で服役し,再審で無罪となった原告について,①警察官の捜査,②検察官の起訴及び確定審における各公判維持行為,並びに③確定審裁判官の各判決行為が,いずれも国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
2 再審請求審において,検察官が裁判所の証拠一覧表交付命令に従わず,証拠一覧表の交付を拒否した行為が国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
能力検定試験の試験中にトイレに行く目的で途中退室をした場合の再入室を認めない受験ルール及び試験開始後一定時間が経過するまでは途中退室自体を認めない受験ルールの定めがいずれも試験実施者に委ねられた合理的な裁量の範囲内にあるとして,実際の試験中にトイレの利用を理由とする途中退室をした後の再入室及び所定の退室制限時間が経過する前の途中退室の機会を違法に制限されたと主張する受験者の試験実施者に対する債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例
1 外科医師と勤務先病院との間で,職種限定合意の成立が認められた事例
2 外科医師を消化器外科部長等の職から解任し,がん治療サポートセンター長に任命する配置転換命令及び外科の一切の診療に関与することを禁止する命令について,いずれも無効であると判断された事例
道路交通法103条1項1号の2(認知症であることが判明したとき)を理由とする高齢者(82歳)の自動車の運転免許取消処分の取消訴訟において,軽度の認知症であることの証明があるとして運転免許取消処分が適法であると判断された事例