東日本大震災による住宅の被害を大規模半壊とするり災証明書の発行を受けた者に対し,被災者生活再建支援法人が,被災者生活再建支援法の規定に基づく支援金の支給決定をしたが,その後住宅の被害の程度が一部損壊に修正され,支給要件を欠くこととなったことにより当該支給決定を取り消したことが違法であり無効であるとして,支給済みの支援金に係る不当利得返還請求が棄却された事例
1 被害者の行使する自賠法16条1項に基づく請求権の額と労働者災害補償保険法12条の4第1項により国に移転して行使される上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合に,被害者は国に優先して損害賠償額の支払を受けられるか
2 自賠法16条の9第1項にいう「当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間」の意義及びその判断方法
道路交通法違反(共同危険行為,普通自動二輪車の無免許運転)等保護事件において少年を第一種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告に関し,非行事実が原決定の指摘するほど悪質なものとは評価できないとの判断を前提に,少年の要保護性及び社会内処遇の可能性に関する原決定の評価は誤っているといわざるを得ず,少年を第一種少年院送致とすることは,処分の相当性を欠いており,著しく不当であるとして,原決定を取り消し,差し戻した事例
妻である相手方が,別居中の夫である抗告人に婚姻費用の支払を求めた事案において,いわゆる標準的算定方式を参考に本件に顕れた一切の事情を考慮して婚姻費用分担金の額を試算した上で,相手方の前夫から支払われた子の養育費について,上記試算に係る未払婚姻費用分担金と子の生活費を含まない未払婚姻費用分担金との差額の限度において,上記養育費支払によって要扶養状態が解消されたものとして,上記差額を控除し,婚姻費用分担金を算定した事例
1 ウェブサイト上に掲載されるバナー広告の制作業務が専門業務型裁量労働制の対象業務に当たらないとされた事例
2 賃金規程等においていわゆる固定残業代と位置付けられた職務手当の支給をもって割増賃金の支払とみることはできないとされた事例
3 付加金請求の対象となる未払割増賃金の半額に相当する付加金の支払が命じられた事例
4 上司と部下との間の性的関係が発覚した後の使用者の対応について,不法行為責任が認められなかった事例
1 裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」の意義
2 裁判官がインターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワーク上で投稿をした行為が裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるとされた事例
1 以前から,麻薬取締官に依頼されて覚せい剤取引の情報提供を行い,麻薬取締官らにその取引状況を監視させるなどの捜査協力を行いつつ,当該密売の仲介者等として利益を得ていた被告人が,共犯者から覚せい剤密輸への協力を依頼された際に,麻薬取締官の求めに応じてこれに加担した事案について,被告人に営利の目的が認められ,共同正犯が成立するとされた事例
2 覚せい剤密輸等を行う際の被告人の保身のため,ひいては密輸等による利益のためになされていた捜査協力を量刑上被告人に有利に考慮する余地はなく,また,被告人が,麻薬取締官から捜査協力のために覚せい剤密輸への加担を求められるなどの助長を受けていたという事実により,被告人の意思決定に対する非難の程度が原判決の量刑を左右するほど減弱するとはいえないなどとされた事例
1 消費者金融業等を営む会社が,利息制限法所定の制限利率を超える利息及び遅延損害金に係る収益の額を益金の額に算入して確定申告をしていたところ,同社につき破産手続が開始し,同手続において多額の過払金返還請求権が破産債権者表に記載されることにより確定したことを理由に,破産管財人が破産会社の過年度の決算を遡って減額修正する会計処理をしたことは,法人税法22条4項所定の公正処理基準に合致し是認されるべきであったから,過年度の確定申告(に係る課税標準等の計算)が国税に関する法律の規定に従っていなかったことにより納付すべき税額が過大であったことになるとして,国税通則法23条1項1号所定の要件を満たすとされた事例
2 上記過払金返還債務が確定判決と同一の効力を有する破産債権者表への記載により,破産会社に生じていた経済的成果が失われたか又はこれと同視すべき状態に至ったと解すべきであり,確定申告に係る課税標準等の計算の基礎となった事実と異なることが確定したというべきであるとし,国税通則法23条2項1号所定の後発的事由に当たるとされた事例
住民訴訟の係属中にされたその請求に係る市の損害賠償請求権及び不当利得返還請求権を放棄する旨の市議会の議決が裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるとはいえないとされた事例
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条5号の危険運転致死傷罪の共同正犯が成立するとされた事例
1 通勤手当の支給につき,給与規定に「通勤経路が2つ以上ある場合には最も経済的かつ合理的な経路によるものとする」との定めがある場合において,従前の運用実態,各経路の所要時間及び定期券代金を踏まえ,労働者主張の経路が「最も経済的かつ合理的な経路」であると認めることはできないとされた事例
2 通勤手当の支給に係る差別的取扱いを理由とする不法行為の成立が否定された事例
1 借地契約に,借地権設定者が,借地権者の借地権譲渡の際,無条件で借地権譲渡を承諾する特約が付され,借地権の譲渡が民法612条によって制限されず,借地契約の解除原因にならないとして借地借家法19条3項の申立てが棄却された事例
2 借地借家法19条1項の借地権の譲渡又は借地の転貸の許可の裁判をするためには,申立てに係る借地権又は借地の識別が可能な程度に土地の範囲が特定されていれば足り,必ずしも現地復元性のある実測図面等によって土地の範囲を厳密に特定するまでの必要はないとされた事例
自衛官に対してされた懲戒免職処分について,処分理由とされた窃盗行為は一部しか認められず,隊内の懲戒処分基準に従って検討すると重きに失するとして,処分庁の裁量権の逸脱又は濫用があり,また,手続的にも瑕疵があるとして取り消された事例
1 第三者のためにする契約において,第三者の諾約者に対する権利は,要約者と諾約者間の契約に基づくから,要約者の諾約者に対する給付すべきことを請求する権利が10年で時効消滅すれば,第三者の諾約者に対する権利も同様に10年の時効により消滅する
2 第三者のためにする契約において,判示の事情の下では,諾約者(その相続人)において,要約者が諾約者に対し,第三者に給付すべきことを要求する権利について,10年の消滅時効を援用することが信義則に照らして許されないと判断された事例
3 第三者のためにする契約において,受益者が第三者のためにする契約の成立を知らされていなかった場合,受益の意思表示の消滅時効の起算点は,契約成立時点ではなく,受益者が契約の成立を知った時であると判断された事例
保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人等からあった場合に,その旨を未決拘禁者に告げないまま,保護室収容を理由に面会を許さない刑事施設の長の措置が,国家賠償法上違法となる場合
1 管工事施工管理技術検定不合格処分の取消訴訟が法律上の争訟に当たるとされた事例
2 管工事施工管理技術検定不合格処分の取消訴訟が棄却された事例