被告人を殺人及び窃盗の犯人と認めて有罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
固定資産課税台帳に登録された土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に上記街路が同号所定の道路に該当することを前提とする上記価格の決定は適法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
雇用契約において時間外労働等の対価とされていた定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
公立高等学校の教職員が卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を命ずる旨の職務命令に違反したことを理由として,教育委員会が再任用職員等の選考において上記教職員を不合格としたこと等が,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえないとされた事例
認知をする日本国民と認知を受ける者との間の血縁上の父子関係を前提としないでされた認知の国籍法3条1項にいう「認知」該当性
1 市の所有する土地の売却につき,市長が随意契約の方法により契約を締結したことが,違法とはいえないとされた事例
2 売却価額の決定に係る市長の判断に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであったと評価されるべき事情は認められないとされた事例
破産会社の破産管財人が,破産会社が発行した社債について,社債金の償還のほかに利息制限法による制限利率を超える利息の支払を受けた者に対し,過払金が生じているとして求めた不当利得の返還請求が認められた事例
児童相談所長である抗告人が,児童についての引き続いての一時保護の承認を求めた事案において,児童福祉法27条1項又は2項の措置を一つでも採れば,それ以降一時保護を継続することができないと解することは相当ではなく,一時保護の目的を達成するために一時保護を継続する必要があるのであれば,同条1項又は2項のいずれかの措置が採られた後も,同条1項又は2項の別個の措置を採るに至るまで,引き続き一時保護を継続することができるとした上で,本件では,児童の一時保護が開始された日から2箇月を超える時点においても,児童の心身の状況,その置かれている環境その他の状況の把握を進めた上,児童等に対して児童福祉司等による指導の措置(同条1項2号)を行う必要性があったとして,申立てを却下した原審判を取り消し,引き続いての一時保護を行うことを承認した事例
訴訟委任の際に原告は訴訟能力を欠いていたとして,民事訴訟法69条2項,70条を適用して,訴訟代理人弁護士に訴訟費用の負担を命じた事例
公認会計士でもある税理士に対し自己脱税を理由に税理士業務の停止処分がされた後に当該業務停止期間が経過した場合の当該処分の取消しを求める訴えの利益
1 商標法違反被告事件の起訴後勾留中,弁護人による中止の申入れを挟み前後44日間にわたり行われた余罪(殺人)の取調べ(判文参照)が,被告人の意思によって出頭を拒み,又は出頭後,いつでも退去することができる状態で行われたものでなく,任意の取調べとは認められず,任意捜査として社会通念上相当と認められる限度も超えているとして違法とされた事例
2 取調べの録音録画記録媒体を信用性の補助証拠として採用した原審の手続に違法があるとはいえないが,原審裁判長が同記録媒体を任意性又は信用性の立証のみに用い,実体判断には用いないと宣明し,当事者双方がこれを了承するなどの手続経過(判文参照)によって採用された同記録媒体で再現された被告人の供述態度等から直接的に犯罪事実(被告人の犯人性)を認定した原判決に刑訴法317条違反があるとされた事例
少年が満20歳に達したことを理由とする検察官送致決定に伴うみなし勾留に関する準抗告について,勾留の必要性が認められないとして,検察官送致に当たり観護措置を取り消さなかった措置を取り消した上で,観護措置を取り消した事例
1 非接触事故(右折加害自動車を避ける目的で直進被害自動車が急激なハンドル操作及び急制動を実行)と被害自動車の助手席同乗者に発生した頚椎捻挫等の傷害との間の因果関係の存在が肯定された事例
2 自動車工学の専門家による事故態様についての私的鑑定書(非接触事故と被害自動車同乗者の傷害との間の因果関係の存在を否定)が排斥された事例
退去強制令書を発付され,入国者収容所に収容されている外国人である原告がした仮放免許可申請を不許可とした入国者収容所長の処分について,原告が同処分時において拘禁性うつ病に罹患しており,その治療のためには収容を解くことが医学的に見て必要かつ相当であったと認められ,人道的配慮の観点から身柄の解放を相当とする場合に当たり,仮放免をすべきものといえるから,原告につき仮放免をしないものとした同処分は,全く事実の基礎を欠き,又は,社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであり,同所長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとして,同不許可処分を取り消した事例
「別れさせ工作委託契約」と称する契約等が,その目的達成のために想定されていた方法が,人倫に反し関係者らの人格,尊厳を傷付ける方法や,関係者の意思に反してでも接触を図るような方法であったとは認められないこと,実際に実行された方法も女性が男性と食事をするなどというものであったことなど判示の事実関係の下では,公序良俗に反しないとされた事例