1 住宅新築工事が中途終了した場合において,注文者の責めに帰すべき事由によって請負人が工事完成債務を履行できなくなったものとして,民法536条2項を適用した事例
2 保全異議での取消しが確定した仮差押申立てにつき,申立人の不法行為責任を肯定した事例
建物の一部についての建物転貸借契約において賃貸物件の引渡しをもって予約完結の意思表示とみなす旨の予約契約が定められていた場合に予約完結要件としての引渡しが認められた事例
1 被疑者補償規程に基づき検察官が行う裁定の行政処分性(消極)
2 被疑者補償規程2条にいう「罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるとき」の意義
3 検察官が被疑者補償規程に基づく補償をしない旨の裁定をしたことが国家賠償法の適用上違法とはいえないとされた事例
女児に対するわいせつ略取誘拐,強制わいせつ致死,殺人,死体遺棄被告事件において,DNA型鑑定から犯人性を認定した上,被告人を無期懲役に処した事例
1 専属的管轄合意に反して他の法定管轄裁判所に訴えが提起され,被告から,管轄違いを理由とする専属的合意管轄裁判所への移送申立てがされたにもかかわらず,当該法定管轄裁判所が自ら審理することができる場合
2 専属的管轄合意に反して他の法定管轄裁判所に訴えが提起された場合において,管轄違いを理由とする専属的合意管轄裁判所への移送申立てを却下した原決定を取り消し,専属的合意管轄裁判所への移送が認容された事例
日本で婚姻後米国に移住して米国に帰化(日本国籍離脱届未了)した夫婦に関し,米国籍取得後に妻に無断で夫が日本方式の協議離婚届を提出し,かつ,夫に遺棄されて日本に帰国したと主張する日本在住の妻が,夫の死亡後に日本の検察官を被告として提起した離婚無効確認請求訴訟(夫の再婚相手であり日本から米国に帰化した米国在住の女性が被告を補助するため訴訟参加)につき,日本の国際裁判管轄を肯定した事例
1 「相続分のないことの証明書」を用いて被相続人名義の不動産登記の一部を特定の相続人名義に移転させる登記手続が行われたが,同証明書の作成・交付によって相続分の譲渡又は放棄の法律効果は発生しないと判断された事例
2 被相続人の死亡時に共同相続財産である同人名義の建物を占有していた配偶者の相続開始後の占有の性質が自主占有になるとは認められないとして,他の相続人に対する相続開始日を起算日とする取得時効の主張が排斥された事例
3 被相続人名義の土地共有持分につき「相続分のないことの証明書」を用いた特定の相続人に対する持分移転登記が行われた時点をもって,同土地上の共同相続財産である被相続人名義の建物に対する同相続人の占有の性質が自主占有に転換したとして,他の相続人に対する同登記の完了日を起算日とする長期取得時効の完成が認められた事例
建物を共有するX1(夫)とX2(X1の父)が,建物を占有するY(妻)に対し,各共有持分権に基づき建物の明け渡し等を求めたのに対し,YはX1の建物の共有持分を夫婦の扶助義務に基づいて使用する権原を有するから,X1が被告に対して建物の明渡し等を求めることはできず,また,Yが共有者の一部の者であるX1との間で上記権原を有する以上,X2が被告に対し建物の明渡しを求めることもできないとされた事例
1 私募債である特別目的会社の社債を引受・販売した証券会社の引受審査義務を原因とする不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求に理由がないとされた事例
2 私募債である特別目的会社の社債を勧誘・販売した証券会社の担当者の説明義務違反を原因とする不法行為,金融商品の販売等に関する法律5条又は債務不履行に基づく損害賠償請求に理由がないとされた事例
3 私募債である特別目的会社の社債の売買契約につき不実告知又は不利益事実の不告知を理由とする消費者契約法に基づく同契約の取消しが認められなかった事例
被告人を殺人及び窃盗の犯人と認めて有罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
固定資産課税台帳に登録された土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に上記街路が同号所定の道路に該当することを前提とする上記価格の決定は適法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
雇用契約において時間外労働等の対価とされていた定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
公立高等学校の教職員が卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を命ずる旨の職務命令に違反したことを理由として,教育委員会が再任用職員等の選考において上記教職員を不合格としたこと等が,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえないとされた事例
認知をする日本国民と認知を受ける者との間の血縁上の父子関係を前提としないでされた認知の国籍法3条1項にいう「認知」該当性
1 市の所有する土地の売却につき,市長が随意契約の方法により契約を締結したことが,違法とはいえないとされた事例
2 売却価額の決定に係る市長の判断に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであったと評価されるべき事情は認められないとされた事例