刑事施設に収容中の受刑者である原告が,必要性がないのに保護室に収容されたこと,刑事収容施設法上明文の規定を欠く監視カメラの付いた単独室(いわゆるカメラ室)に216日間にわたって収容されたこと,処遇部長から侮辱的な発言を受けたこと等により精神的損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求した事案について,原告に対する侮辱的な言動があったこと及び原告の動静を厳重に監視する必要性がなくなったにもかかわらず,漫然と監視カメラの付いた単独室への収容を継続したことについて国家賠償法上の違法があるとして,原告の請求を一部認容した事例
銃砲刀剣類所持等取締法9条の5第2項に基づく射撃教習を受ける資格の認定申請に対し,これを不認定とする処分が,行政手続法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例
共同住宅に設けられた自動車車庫が,「直接地上へ通ずる出入口のある階」(建築基準法施行令13条1号)に設けられているとはいえず,自動車車庫部分に「避難階段」(同施行令123条参照)が設置されていないため,東京都建築安全条例32条6号に違反するとされた事例
不動産売買契約が,著しく低廉な価格での取引であること,高齢で理解力が低下していた可能性のある者に対しその不合理性について十分な説明をしないまま締結させたものであることを理由として,暴利を得ようとしたものであり公序良俗に反して無効であるとされた事例
営利目的で覚せい剤をスーツケースに隠匿して日本国内に持ち込もうとしたが税関で発見された事案において,隠匿物は金塊であると認識していたとの被告人の弁解は,未必的な認識の限度では排斥できないとしながらも,覚せい剤営利目的輸入罪の故意を認めた事例
鉄道の一定区間を連続立体交差化する都市計画事業及びその付属街路を設置する都市計画事業の各認可処分がいずれも適法とされた事例
児童相談所長である申立人が,児童福祉法28条1項に基づき,事件本人の心理治療施設への入所を承認するように求めた事案において,利害関係参加人である実父及び養母による虐待は認められないものの,実父の事件本人に対する強圧的な接し方により,自閉症スペクトラムの傾向がある事件本人が実父に著しい恐怖を抱き心的外傷を負っていること,利害関係参加人らがこの点を理解しないまま事件本人に接する可能性が極めて高いことを総合すると,利害関係参加人らに事件本人を監護させることは著しく事件本人の福祉を害するとして申立てを認容した事例
相手方が,元夫である抗告人との間の未成年者につき,その親権者を抗告人から相手方に変更するよう求めた事案において,親権者変更の必要性について,抗告人と相手方は真意に基づいて未成年者の親権者を抗告人と定めて離婚する旨合意しており,その後の抗告人による未成年者の監護状況も未成年者の福祉に適ったものであるなどと認定した上で,相手方が未成年者の出生から抗告人との離婚に至るまで,未成年者の主たる監護者であったといえることや,離婚後,相手方に一定の事情の変更があったこと等を考慮しても,抗告人と相手方が合意に基づいて親権者を抗告人と定め,抗告人の下で安定した状況にある未成年者の親権者を変更する必要性は認められないとして,親権者を相手方に変更した原審判を取り消し,申立てを却下した事例
1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることと労働契約法20条にいう「その他の事情」
2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否かについての判断の方法
3 無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で定年退職後に再雇用された有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという
労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例
1 有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が労働契約法20条に違反する場合における当該有期契約労働者の労働条件の帰すう
2 労働契約法20条にいう「期間の定めがあることにより」の意義
3 労働契約法20条にいう「不合理と認められるもの」の意義
4 無期契約労働者に対して皆勤手当を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例
1 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に沿って継続雇用制度を定めた就業規則等の趣旨に基づき,定年後に締結された再雇用契約が65歳まで継続するとの期待に合理的理由があると認めた事例
2 定年後に締結された再雇用契約の不更新が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上不相当であるとして,労働契約法19条2号に基づき,再雇用契約が従前と同一の労働条件で更新されたものと認めた事例
3 使用者による達成度評価が不当であることを理由とした賞与請求及び雇止め後の期間に係る賞与請求がいずれも認められなかった事例
児童相談所長である原審申立人が,児童らについての引き続いての一時保護の承認を求めた事案において,児童らの父母である抗告人らによる監護状況は,劣悪であり,児童らの福祉を著しく害するもので,児童らの安全を確保し適切な保護を図る必要性があり,また,児童らが多数である上,児童らの中には,学力遅滞の程度が著しく,あるいは,精神疾患や発達遅滞が窺われる者も含まれており,その抱える問題も深刻であるため,児童らの心身の状況,その置かれている環境その他の状況を把握する必要性もあることから,引き続き一時保護を行う必要性が認められるとして,引き続いての一時保護を承認した原審判を相当とし,抗告を棄却した事例
業務委託先の従業員が個人情報を漏えいしたことについて,委託元の個人情報取扱事業者が,業務委託先においてMTPスマートフォンを対象とする書き出し制御システムを採用していなかったこと等を理由とする不法行為責任を負わないとされた事例
電子メールや書簡による交渉の結果,契約の成立が主張されたが,電子メールや書簡の内容や,当事者のその後の態度から,契約の成立が否定された事例
1 宗教法人が秘仏として管理していた本尊等を撮影した写真の使用・公開・販売等が,宗教的人格権の侵害に当たるとして,損害賠償,撮影した写真の展示・公開及び当該写真を用いた商品等の販売等の差止め及び廃棄の各請求が認められた事例
2 御影に記載された「四国○番」「○○寺」という表示が,「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号,2号)には該当せず,氏名権侵害もないと判断された事例
入国管理局長が出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決をするに当たり,日本人の配偶者である中国人に特別に在留を許可すべき事情があるとはいえないと判断したことにつき,裁量権の範囲を逸脱又はこれを濫用した違法があるとした事例