市議会の2会派が,交付された政務活動費を広報紙に係る費用に支出したことが,同広報紙の内容からして一部違法であり,被告による同支出金額に相当する不当利得返還請求権の不行使が怠る事実に該当するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同2会派に返還請求することを被告に対して求める請求が,一部認容された事例
癌ではなかったのに癌であるとして甲状腺切除術が実施されたことについて,穿刺吸引細胞診を行った病理医の診断に関する過失,主治医である外科医の病理医に対して診断内容等を確認すべき義務違反及び説明義務違反の過失がいずれも否定された事例
ピリミジン誘導体事件
1 特許権消滅後における特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消しの訴えの利益
2 刊行物に化合物が一般式の形式で記載され,当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場合における引用発明の認定
1 消火器の破裂事故について,当該消火器が製造された当時の自治大臣が,消防法上の委任に基づいて有する消火器の規格省令の改正に関する職務上の権限を行使しなかったことについては違法性がないとして,国に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
2 消火器メーカーで構成される一般社団法人及び破裂事故を起こした消火器のメーカーは,本件事故の発生を回避するための作為義務を負っていたとはいえないとして,不作為の不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例
滞納処分による差押えがされた後に設定された賃借権により担保不動産競売の開始前から建物の使用又は収益をする者の民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」該当性
株券が発行されていない株式(振替株式を除く。)に対する強制執行の手続において配当表記載の債権者の配当額に相当する金銭が供託され,その供託金の支払委託がされるまでに債務者が破産手続開始の決定を受けた場合における破産法42条2項本文の適用の有無
妻である原審申立人が別居中の夫である原審相手方に対し婚姻費用分担金の支払を求めた事案において,原審が,①無職無収入である原審申立人の潜在的稼働能力を認め,賃金センサスに基づき収入を認定した上,②原審相手方による原審申立人の監護する子らの連れ去りの態様及びその後の一連の行動は,原審申立人が子らを正当に監護することを違法に妨げたことが明らかであるなどとして,原審申立人が子らを監護していなかった期間についても,監護していたことを前提として婚姻費用分担金の額を算定したのに対し,抗告審は,①子が幼少であり稼働できない原審申立人の潜在的稼働能力をもとに収入を認定するのは相当ではないとした上,②原審申立人が子らを現実に監護していなかった期間については,原審相手方に子らの監護に係る費用を請求し得ないものとして婚姻費用分担金の額を算定するのが相当であるとして,原審判を変更し,婚姻費用分担金の額を定めた事例
アスペルガー症候群による障害に関して,障害基礎年金の支給を受けていた者に対し,その障害の状態が障害等級2級に該当する程度のものではなくなったことを理由に,国民年金法36条2項に基づき障害基礎年金の支給を停止した厚生労働大臣の処分が違法であるとされた事例
児童福祉法27条1項3号に基づき児童自立支援施設に入所中である少年に対し,1年半の間に通算90日を限度として強制的措置をとることができる旨の決定を求めた強制的措置許可申請事件において,少年の行状や資質等を考慮し,これを許可した事例
特例有限会社における任期の定めのない取締役が解任された場合に,会社法339条2項,民法651条2項ないし同法709条に基づく損害賠償請求をいずれも認めなかった事例
元請会社及び第一次下請会社の第二次下請会社労働者に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償責任が認められた事例(過失相殺5割)
1 人間ドックの上部消化管造影検査(平成14年,15年実施)につき読影上の注意義務違反が否定された事例
2 ステージⅣの胃がんに対する胃切除手術(平成16年実施)につき,当時の医学的知見の下では適応を欠くとはいえないとする一方,説明義務違反を肯定した事例
3 説明義務違反につき自己決定の機会が奪われたこと等に係る慰謝料の限度で因果関係を肯定した事例
LPガス供給業者の切替営業が,同業者に対する不法行為ないし不公正な取引方法としての「競争者に対する取引妨害」(一般指定14項)に当たらないとされた事例
不正な経理行為による損害賠償債務に関して債務の存在を認めその弁済を約した合意が債務弁済契約であり,当該合意に基づく債権債務が認められるためには原因となった損害賠償請求権の存在することが必要であるとされた事例
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である抗告人が,母である相手方に対して,子をその常居所地国であるシンガポールに返還するよう求めた事案において,法28条1項3号(留置についての同意又は承諾)及び同項4号(重大な危険)の各返還拒否事由があると認められることから,子の返還申立てを却下した原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
1 退職の際の不起訴の合意の効力が及ばないとされた事例
2 退職合意に係る錯誤が否定された事例
3 退職勧奨について不法行為の成立が否定された事例