1 原告所有の私有地と国有地の境界付近の土地の所有権確認の訴えにつき,当該国有地を管理する市の被告適格を認めた事例
2 明治期に作成された一筆間数帳や旧土地台帳附属地図等の資料に基づいて私有地と国有地の境界を確定した事例
原審甲事件申立人が,養育費の支払を定めた前件養育費審判事件について,子の大学進学を理由として支払の終期を大学卒業時までとすること及び学費の支払を求め(原審甲事件),上記子である原審乙事件申立人が,扶養料の支払を定めた前件扶養料調停事件について,自身の大学進学を理由として支払の終期を大学卒業時までとすることを求めた(原審乙事件)事案において,いずれも支払の終期を大学卒業時までとし,支払額の変更については,原審乙事件申立人が20歳に達し前件養育費審判事件の支払終期が到来したのを機に,扶養料等に関する債務名義を一本化するのが相当であるとして,学費を含め前件扶養料調停事件の支払額を変更する方法により調整した事例
太陽光パネルが設置された土地について,地目を雑種地と認定し,固定資産評価基準に従って算定された固定資産の登録価格には,造成費控除等の補正をしなかった点を含めて違法はない
1 国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,意思能力のある子に対する監護が人身保護法及び同規則にいう拘束に当たるとされた事例
2 国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,拘束者が国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づく子の返還を命ずる終局決定に従わないまま子を監護することにより拘束している場合における,拘束の顕著な違法性
支店長の地位にあった者の管理監督者該当性を否定し,みなし残業代の弁済としての効力を否定して未払割増賃金の支払等を命じた事例
1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為の意義
2 子に対する保護責任者遺棄致死被告事件について,被告人の故意を認めず無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
3 裁判員の参加する合議体で審理された保護責任者遺棄致死被告事件について,訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務がないとされた事例
子を面会交流させることを内容とする債務名義に基づき抗告人が間接強制を申し立てた事案において,相手方が抗告人との別居から約3年間面会交流を拒否し続けたことなどから,相手方に面会交流させる義務を継続的かつ確実に履行させるためには,相手方の収入や経済状況等を踏まえ,相手方に面会交流を心理的に強制させるべき相応の額の強制金の支払を命じる必要があるなどとして,強制金の額を不履行1回につき5万円とした原決定を変更し,不履行1回につき20万円とした事例
1 第二次納税義務の納付告知処分を受けた原告が,当該処分の取消しを求める訴えの提起前に,当該処分に基づく地方税を完納した場合の訴えの利益(肯定)
2 第二次納税義務の前提として法人格否認の法理を適用した事例
証人尋問請求の際の検察官による代替開示措置(刑事訴訟法299条の4第2項)について,その要件該当性を検討した上で,裁定請求を棄却した原決定の判断を是認した事例
暴行保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告につき,少年の資質上の問題が発達上の特質を背景として長年形成された根深いものであることや,保護環境が十分とはいえないことを指摘し,原決定の判断は相当であるとして,抗告を棄却した事例
ランニング中の者が,散歩中に飼い主が持っていたリードが放れ,単独で進行して前方に現れた犬を避けようと転倒し,負傷した場合に,ランニング中の者にも過失があるとして,過失相殺をした上で,飼い主に対する損害賠償請求及び飼い主を被保険者とする保険契約を締結する保険会社に対する保険金支払請求が,一部認容された事例
海外旅行傷害保険契約において,死亡が偶然の事故によることの主張,立証責任は保険金請求者にあるとした上で,被保険者の肺炎による敗血症性ショックによる死亡が偶然の事故によると認めた事例
覚せい剤,大麻等の単純所持等の事案において,公訴事実に争いがないものの,被告人が違法薬物の密売人であったことを否認し,原審弁護人もこれを争って関係者の供述調書を不同意としている状況の下で,被告人が違法薬物を密売していたことを立証趣旨とする関係者の証人尋問を採用し,その後,この者の供述調書を原審弁護人が不同意の意見を撤回して同意したことにより採用し,さらに,量刑の理由において,被告人が違法薬物の密売をしていたとの事実を認定した上,同種事案と比較して明らかに重い量刑をした原審の手続を全体としてみると,起訴されていない余罪である覚せい剤の営利目的による譲渡等の犯罪事実を認定し,これを実質上処罰する趣旨で被告人に対する刑を量定した疑いを免れず,違法であるとされた事例
労働組合の組合活動に,使用者や管理職者の名誉を毀損する行為があったとしても,正当な組合活動であるとして,不法行為の成立を否定した事例