入院継続確認申立事件において,入院決定時と異なる診断名の疾病を認定した上で,医療観察法51条1項1号の該当性を認めて,対象者の入院を継続すべきことを確認した原決定について,一件資料のみからは,診断名が変更された具体的な理由,新しく認定された疾病と「対象行為を行った際の精神障害」との実質的同一性や本件対象行為との関係性,治療反応性等が明らかとはいえず,十分な資料に基づく合理的なものとはいえないから,疾病性,治療反応性等について更に調査を遂げた上,その結果を踏まえて入院継続の必要性の有無を判断すべきであるとして,これを取り消して原裁判所に差し戻した事例
「くい」を指定商品とする立体商標の登録出願について,使用をされた結果自他商品識別力を獲得し商標法3条2項により商標登録が認められるべきものということはできないとされた事例
1 日本法人が保有していた情報の使用又は開示が日本国内において行われた場合,情報の使用及び開示の差止め等の請求は,結果発生地である日本法が準拠法になる
2 不競法2条1項8号所定の「重大な過失」とは,取引上要求される注意義務を尽くせば,容易に不正開示行為等が判明するにもかかわらず,その義務に違反する場合をいう
商標権の共有者の1人は,共有に係る商標登録の取消審決がされたときは,単独で取消審決の取消訴訟を提起することができる
生活保護世帯が受給した給付型奨学金を収入と認定し生活保護費を減額した生活保護費変更処分について,処分に当たり,収入認定除外の対象となるか否か検討を行わず,その検討に必要な資料の追加提出等の指示をしなかったことに国家賠償法1条1項の違法があるとされた事例
地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対し公金の支出の相手方への不当利得返還等の請求を求めた前訴住民訴訟において,被告市が同不当利得返還請求権等を適法に放棄したことを理由に請求が棄却された場合には,同条12項の「勝訴」した場合には当たらないとして,上記住民訴訟における原告ら訴訟代理人弁護士に支払うべき報酬相当額の支払請求を棄却した事例
死者が生前に不動産を売却した際に作成された契約書及び測量図面その他の情報が請求者自身の保有個人情報に当たらないとされた事例
家出や無断外泊を繰り返しながら家内盗やさい銭盗を繰り返したことを内容とするぐ犯保護事件及び強制わいせつ保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告につき,本件ぐ犯及び非行の悪質性はいずれもさほど高くないとの判断を前提に,少年の非行性が直ちに施設内における矯正教育を必要とするような深刻なものであるとは認められず,少年に対して,在宅処遇の可能性を十分に検討すべきであるのに,これをせずに直ちに少年を第1種少年院に送致した原決定の処分が著しく不当であるとして,原決定を取り消し,差し戻した事例
1 内閣官房報償費の支出に関する報償費支払明細書に記録された調査情報対策費及び活動関係費の各支払年月日,支払金額等を示す情報が,情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報に該当するとされた事例
2 内閣官房報償費の支出に関する政策推進費受払簿,出納管理簿及び報償費支払明細書に記録された政策推進費の繰入れの時期及び金額,一定期間における政策推進費又は内閣官房報償費全体の支払合計額等を示す情報が,情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報に該当しないとされた事例
消防設備の不備,救出活動の遅れ等の義務違反が認められないとして,建物火災により傷害を負った者らの町に対する損害賠償の請求を棄却した事例
会社が株主総会の決議等を経ることなく支給された取締役報酬相当額の金員につき退任取締役に損害賠償請求をすることが信義則に反し,権利の濫用として許されないとされた事例…
労作性狭心症を申請疾病とする原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定申請に対する却下処分が違法であるとして取り消された事例
歳入歳出外現金出納官吏であった者の部下である職員が保管金現金を着服したことにより現金を亡失したという事案において,当該出納官吏はその保管に係る現金について善良な管理者の注意を怠ったものといえるなどとして,会計検査院が会計検査院法32条1項に基づいて当該出納官吏に対してした亡失した現金について弁償の責任がある旨の検定が適法であるとした事例
主たる営業所を日本国内に有する法人を被告とする訴えについて,民訴法3条の9にいう「特別の事情」があるとして訴えを却下した事例
特定の相続人が一定の相続債務を全て承継する旨の遺産分割協議議が相続債権者との法的対応を当該相続人に包括的に授権する趣旨であったと解された事例
「工事請負契約書」,「注文請書」などと題する書面が存在する会社間の契約につき,原告代表者がY社の指揮監督に一般的に服して,労務を提供し,その報酬として被告が「保証給」を支払うことなどが合意された雇用類似のものと認定された事例