非親権者である実親が,訴訟上の和解において合意された子らの養育費についての免除又は減額を求めた事案において,親権者である実親が再婚し,再婚相手が子らと養子縁組したことは,養育費を見直すべき事情に該当し,親権者である実親とその再婚相手だけでは子らについて十分に扶養義務を履行することができないときは,非親権者である実親は,その不足分を補う養育費を支払う義務を負い,その額は,生活保護法による保護の基準が一つの目安となるが,それだけでなく,子の需要,非親権者の意思等諸般の事情を総合的に勘案すべきである
弁護士が,刑事弁護の報酬請求にあたり依頼者に対する説明義務に違反したとして,弁護士の依頼者に対する損害賠償責任が認められた事例
起訴休職期間満了による解雇が有効とされ,原告の地位確認及び賃金等の請求が棄却され,当事者間に再雇用の合意があったとも認められないとして,原告の予備的な損害賠償請求も棄却された事例
口頭弁論期日における弁護士による発言及び準備書面(民事訴訟及び家事調停)の内容が,相手方代理人弁護士に対する名誉毀損又は侮辱に当たり,その一部について違法性が阻却されないとされた事例
亡Aからその法定相続人B,C及びXへの相続を原因とする所有権移転登記がされている建物につき強制競売の開始決定がされたが,同決定の前にCによる当該相続についての相続放棄の申述が受理されていた場合において,①上記決定により開始された強制競売手続に基づく本件建物の売却により生じた剰余金のうちCの法定相続分に対応する部分を交付されるべき民事執行法84条2項の「債務者」はCであるとされるとともに,②執行裁判所がCに交付されるべき剰余金につきCを債権者としてした供託が有効とされた事例
廃棄物の最終処分場における産業廃棄物の処分を他人に委託した者が,当該最終処分場における廃棄物の不適正な処理の結果生じる生活環境保全上の支障の除去のために必要な措置を講じた場合に,当該措置に要した費用につき,当該最終処分場における一般廃棄物の処分を他人に委託した者との関係で,事務管理に基づく有益費償還請求権が認められるか否か
民法910条に基づく価額支払請求における価額の基礎となる遺産額の計算において被相続人の消極財産を控除すべきではないとした事例
高速道路の巡回,管制,取締等交通管理業務を行うことを主な事業内容とする会社に勤務し巡回等の業務に従事していた労働者が自殺したことについて,上記労働者は,その上司からひどい嫌がらせ,いじめを受けたことによる強い心理的負荷により自殺直前頃うつ病を発症し,うつ病が原因となって自殺をしたものであり,上記労働者の死亡は,労働者災害補償保険法にいう業務上の死亡に当たるとした事例
1 弁護士法25条1号に違反する訴訟行為及び同号に違反して訴訟代理人となった弁護士から委任を受けた訴訟復代理人の訴訟行為につき,相手方である当事者が上記各訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権の有無
2 弁護士法25条1号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対し,自らの訴訟代理人又は訴訟復代理人の訴訟行為を排除するものとされた当事者が即時抗告をすることの許否
3 弁護士法25条1号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対し,当該決定において訴訟行為を排除するものとされた訴訟代理人又は訴訟復代理人が自らを抗告人とする即時抗告をすることの許否
4 破産管財人を原告とする訴訟において,破産者の依頼を承諾したことのある弁護士が被告の訴訟代理人として訴訟行為を行うことが,弁護士法25条1号に違反するとされた事例
1 元々の自然の地形を利用した観光用庭園内の通路について,通路の形状等の事実に照らして,これが民法717条1項の「土地の工作物」に当たるとした事例
2 観光用庭園内の通路における来園者の転倒事故につき,各種の事実を認定した上で,同通路の設置又は保存に瑕疵があるとは認められないとした事例
債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が差押債権の取立てとして金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となるか
累犯前科を含む覚せい剤取締法違反による同種服役前科が6犯ある被告人について,再犯防止のために,施設内処遇に引き続き社会内処遇を実施することが必要かつ相当であるとして,被告人を全部実刑に処した原判決を破棄し,刑の一部につき執行猶予(付保護観察)に付した事例
コンビニエンスストアのフランチャイザーがフランチャイジーの既存店舗と商圏の重なる場所に経営戦略の一環として新規出店したこと(いわゆるドミナント出店)が本件の事実関係の下では当該フランチャイジーに対する関係で債務不履行にも不法行為にも当たらないと判断された事例
原告(女性)が男女の関係にあった被告(男性)に対して貸付けをしたとは認められないとしつつ,関係を解消する際に養育費等の支払の合意はあったとされた事例