元夫が元妻に財産分与を求めた事案において,双方の持分が各2分の1の共有名義の不動産には,双方が連帯債務として借り入れた住宅ローンを被担保債権とする抵当権が設定されているものの,元妻が住宅ローン債権者に対する預金担保として住宅ローン残高とほぼ同額の預金債権を有していることから,預金と債務を併せて評価して各0円とした上,抵当権が実行される可能性は低いとして,元妻の共有持分を元夫に分与した事例
1 課徴金減免申請者の従業員の供述の信用性は,一般的な供述証拠の信用性の評価手法に従って判断すべきであるとし,同供述は信用できるとして,独占禁止法2条6項所定の「不当な取引制限」に該当する本件合意の存在を認めた事例
2 原告において課徴金の算定対象とならない旨主張する各商品は,いずれも,本件違反行為の対象商品の範疇に属するものであり,本件違反行為である相互拘束から除外されていることを示す特段の事情も認められないとして,独占禁止法7条の2第1項第1号所定の「当該商品」に該当するとした事例
オンライン上のストレージサービス内に被害者の裸体等を写した画像・動画データを保存し,公開設定をしてその公開用URLの発行を受けたというだけでは,いまだ各データの内容を不特定又は多数の者が認識し得る状態に置いたとみることはできず,刑法175条1項前段等の公然陳列罪は成立しないとされた事例
弁護士法23条の2第2項に基づく照会を受けた者の報告義務確認請求を控訴審において損害賠償請求に予備的に追加することの可否,同確認訴訟の訴えの利益の有無及び報告拒絶の正当理由の有無
1 法定担保物権は,目的物の所在地法と被担保債権の準拠法との双方が共にこれを認める場合にのみ成立し得る
2 債権先取特権は,目的物の所在地法に相当する準拠法としては,客体である債権自体の準拠法による
3 公海上で起きた異国籍船どうしの船舶衝突について,不法行為に基づく損害賠償請求権の準拠法は,衝突船舶の旗国法を累積適用すべきである
産休及び育休を取得した労働者に対する解雇が,客観的に合理的な理由を欠いており,社会通念上相当なものとは認められず,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律等にも違反する無効なものであるとして,事業主に対する地位確認請求及び不法行為に基づく慰謝料請求等が認められた事例
医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていたとしても,当該年俸の支払により時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできないとされた事例
婚姻費用の支払を求める訴えにつき,当事者間で分担額の合意が成立したとは認められないから,家事事件手続法の定めるところに従い家庭裁判所が当事者の資産,収入その他一切の事情を考慮して決定すべきであり,地方裁判所の判決手続で判定することができない事項を対象とする不適法な訴えであるとして,訴えを却下した事例
特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に特許法104条の4第3号所定の特許請求の範囲の訂正をすべき旨の審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことの許否
子の常居所地国を米国と認定した上で,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律28条1項5号の返還拒否事由の主張等を排斥して,子の米国への返還を命じた事例
夫である抗告人が,妻である相手方に婚姻費用の減額を求めた事案において,抗告審で,抗告人による婚姻費用の支払を定めた前回審判後,相手方が給与収入を得るようになったことは婚姻費用を減額すべき事情の変更であるとして減額を認めた原審を相当とした上,原審の申立て時期に遡って婚姻費用を減額するため,同時期以降,抗告人が前件審判に従って支払った婚姻費用の過払部分につき,相手方に対し,同人の生活に配慮して分割支払による精算を命じた事例
1 19歳の少年に対する傷害事案において,第1種少年院に送致する旨決定した原決定に対する処分不当を理由とする抗告を棄却した事例
2 抗告申立書において,少年が成人として刑事処分を受けたいとの主張をしているように解される点について,検察官送致決定は,保護処分である少年院送致決定よりも,少年にとって一般的,類型的に不利益な処分である上,非行事実自体が特に重大な被害結果を生じた事案とはいえず,少年の犯罪的傾向が進んでいるとまではいえないのであるから,保護処分こそ相当な処分であると判断した事例
窃盗保護事件において,少年には保護処分歴がなく,非行事実の結果が軽微であるものの,その資質,保護環境等に鑑み,社会内処遇によって少年の再非行を防止し,その改善更生を果たすことは極めて困難であるとして,少年を第1種少年院に送致した事例
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律は,憲法14条1項,22条1項及び31条に違反しない
本件歩道を自転車で通行していた原告が,本件歩道に敷設してあった視覚障害者誘導用ブロック上で転倒し,負傷したとして,本件歩道を管理している地方公共団体である被告に対し,国家賠償法2条又は民法717条に基づき,損害賠償を請求したのに対し,本件歩道には,両条文にいう「瑕疵」が認められないとして,請求を棄却した事例
1 刑事施設において被収容者が発信する信書の発送手続が完了した場合における刑事施設の長による当該信書の発信許可処分の取消しを求める訴えの利益
2 過去に刑事施設の被収容者から信書の発信を受けた者が,今後当該被収容者から当該者宛てに発信される郵便物について,刑事施設の長においてその発信を許可することの差止めを求める訴えが不適法とされた事例
スーパーマーケットの駐車場用地の一部を道路改良事業の事業用地として買収した市が買収の相手方との間で買収残地及び店舗敷地等を買い受ける旨の事実上の合意を成立させながら容易に実現困難な条件を設定するなどした上これらを履行した相手方に対し当該土地の買取りを拒否したことが相手方に対する不法行為となるとされた事例
窃盗保護事件により少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告審において,非行の内容,前歴関係,生活状況や保護者の監護状況などに鑑みると,試験観察に付すなどして在宅処遇と施設内処遇の優劣を検討する余地があるとして,直ちに第1種少年院に送致した原決定を処分の著しい不当を理由に取り消して差し戻した事例