歯科医師である顧客に対して行われた証券会社従業員の信用取引についての勧誘が適合性原則を逸脱した違法なものであったとはいえないとされた事例
2 証券会社従業員の勧誘により行われた信用取引が,実質一任売買であったとはいえないものの,社会的相当性を著しく逸脱した過当取引に当たるとされた事例(過失相殺6割)
1 決定時15歳の少年に係るぐ犯保護事件において,事案の内容,少年の資質上の問題点,家庭環境等を考慮し,少年を児童自立支援施設に送致した事例
2 児童相談所長が,向こう1年半の間に通算90日を限度として強制的措置をとることの許可を求めた強制的措置許可申請事件において,通算90日もの日数の必要性は認め難いとし,1年半の間に通算30日を限度として強制的措置をとることを許可した事例
業務用の構内専用車について被告保険会社との間で労災事故の損害については担保しない旨の免責条項及び自賠責保険で担保すべき金額については担保しない旨の特約が付された一般自動車保険契約を締結した際に,当該保険契約の募集人である被告保険代理店に,説明義務違反があったとは認められないと判断した事例
1 国民年金の給付の支給を受ける権利は,その支払期日の到来をもって権利の行使をすることができる時に該当する
2 国民年金の給付の支給を受ける権利につき,民法158条1項類推適用により時効が完成しないものとは認められないとされた事例
生活保護の受給中に外国への渡航費用を支出した者に対する生活保護法63条に基づく支給済みの保護費の返還決定及び同法78条に基づく支給済みの保護費の徴収決定が違法であるとされた事例
成年後見人である司法書士が預かり保管中の成年被後見人の預金等から金員を払い戻して着服する横領行為をしたところ,成年被後見人の相続人の一人である原告が,家庭裁判所の後見監督等に違法があるとして,国家賠償法1条1項に基づき,横領行為による損害額等の支払を求めた事案について,裁判官による成年後見人の後見事務の監督につき職務上の義務違反があるとして国家賠償法上の損害賠償責任が肯認されるためには,裁判官が違法若しくは不当な目的をもって権限を行使し,又は裁判官の権限の行使の方法が甚だしく不当であるなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使し,又は行使しなかったものと認め得るような特別な事情があることを必要とすると解するのが相当であるところ,本事案においてはこのような事情が認められないとして,原告の請求を棄却した事例
ゴルフ会員権の売買契約が売主の錯誤により無効であり,売主には当該錯誤について重大な過失があるが,買主も当該錯誤について共通の錯誤に陥っていたことから,売主が当該錯誤を主張できるとされた事例
アイドルグループのコンサートにおいて,一部の観客が曲に合わせて大声を出したり,一定のパフォーマンスをしたことにつき,当該コンサートの主催者及び出演者の,コンサートチケットを購入して当該コンサートを鑑賞した者に対する債務不履行責任ないし不法行為責任が否定された事例
マンションの底地の賃貸人が,建築確認において敷地の一部とされた隣地部分を第三者に売却したことが,マンションの区分所有者が当該隣地を敷地として利用することに協力すべき信義則上の義務に違反するとして,不法行為に基づく慰謝料請求を認めた事例
相手方が,抗告人らに対し,相手方を未成年者(15歳)と面会交流させる義務を履行しなかったとして,間接強制の申立てをした事案について,間接強制をするためには債務者の意思のみによって債務を履行することができる場合であることが必要であるが,本件未成年者のような年齢の場合は子の協力が不可欠である上,本件未成年者は相手方との面会交流を拒否する意思を強固に形成しているところ,本件未成年者の精神的成熟度を考慮すれば,抗告人らにおいて本件未成年者に面会交流を強いることは未成年者の判断能力ひいてはその人格を否定することになり,却って未成年者の福祉に反することから,本件債務は抗告人らの意思のみによって履行することはできず履行不能であるなどとして,相手方の間接強制の申立てを却下した事例
公立学校を定年退職若しくは定年退職後1年間再任用されていた原告らが,公立学校職員への再任用あるいは再任用の任期更新の申込みをし,合格の通知・内示を受けていたにもかかわらず,合格が取り消されたことから,①再任用合格決定の取消処分の取消し等,②再任用あるいは再任用任期更新の義務付け,③教員の地位にあることの確認を求めるとともに,④戒告処分を受けた原告らについて同処分の取消し,⑤戒告処分や再任用任期更新合格決定の取消し等により損害を被ったとして,国家賠償法に基づく損害賠償を求めたのに対して,①及び②については不適法であるとして却下し,③については任用権者による任用行為が存在しないなどとして,また,④及び⑤については裁量権の逸脱濫用があると認めることができず,国家賠償法上違法とはいえないとして棄却した事例
銀行が,輸入業者の輸入する商品に関して信用状を発行し,当該商品につき譲渡担保権の設定を受けた場合において,上記輸入業者が当該商品を直接占有したことがなくても,上記輸入業者から占有改定の方法によりその引渡しを受けたものとされた事例
1 原告が労働基準監督官に対し労働基準法104条1項に基づいてした申告が,同時に告訴の意思を伝えるものであったとは認められないとし,さらに,仮に告訴に当たるとしてもこれに対する労働基準監督官の措置の不適正を理由として国家賠償請求をすることはできないとした事例
2 労働基準法104条1項に基づく申告について,労働基準監督官は当該申告をした労働者個人との関係において当該申告に対応して調査等の措置を執るべき作為義務までは負わないとした事例
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権をいずれも遺産分割の対象とした上で,遺産のすべてを相続人の1人に取得させた事例(同預貯金債権の遺産分割対象性に関する最高裁大法廷決定の差戻審決定)
戸籍法104条1項所定の日本国籍を留保する旨の届出について同条3項にいう「責めに帰することができない事由」があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
1 遺留分減殺請求において,被代襲者が生前に受けた特別受益が,被代襲者の死亡後に代襲相続人となった者らの特別受益に当たるとされた事例
2 推定相続人でない者が被相続人から贈与を受けた後に,被代襲者の死亡によって代襲相続人としての地位を取得した場合には,特段の事情がない限り代襲相続人の特別受益には当たらないものの,上記贈与が実質的には被代襲者への遺産の前渡しとも評価しうる特段の事情があるとして,特別受益に当たるとされた事例