1 死刑確定者及びその再審請求のために選任された弁護人が再審請求に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合に,これを許さない刑事施設の長の措置が「死刑確定者の心情の安定を把握する必要性が高いと認められる」とはいえないとして,国家賠償法1条1項の適用上違法とされた事例
2 死刑確定者が代理人弁護士との間で自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合に,これを許さない刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法とされた事例
3 死刑確定者及びその再審請求のために選任された弁護人が再審請求に向けた打合せをし,又は死刑確定者が代理人弁護士との間で自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟に向けた打合せをするために,刑事施設の職員の立会いのない面会の明示の申出がされなかった場合に,面会に刑事施設の職員の立会いをさせた刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
4 死刑確定者に対する刑事施設の長の措置その他死刑確定者が受けた処遇に関する救済を求める訴訟における死刑確定者の代理人弁護士が死刑確定者との間で同訴訟に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会をする固有の利益はない
5 死刑確定者とその再審請求のために選任された弁護人又は自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟の遂行を委任した代理人との面会においてパソコンの使用を認めなかった刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
1 トルコ共和国との国境付近からシリア・アラブ共和国に渡航することを計画していたジャーナリストに対する旅券法19条1項4号に基づく一般旅券の返納命令に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないとされた事例
2 旅券法19条1項4号に基づく一般旅券の返納命令につき,行政手続法13条2項1号所定の聴聞を要しない場合に該当するとされた事例
3 旅券法19条1項4号に基づく一般旅券の返納命令により旅券を返納した者の新たな旅券の発給申請に対する一般旅券の発給処分において同法5条2項に基づく渡航先の制限をしたことに裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないとされた事例
1 建物の区分所有者の一人が区分所有法25条2項の管理者解任訴訟を提起することは,管理組合を本人とする事務管理に当たらない
2 建物の区分所有者の一人が区分所有法25条2項の管理者解任訴訟を提起することは,訴訟提起に反対の意見を有する他の区分所有者を本人とする事務管理に当たらない
甲事件申立人が相続債権者であるとして,民法941条1項に基づき,被相続人の相続財産につき,第1種財産分離の請求をした事案において,原審が,相続人らの財産から被相続人の相続財産を分離し,被相続人の相続財産管理人として甲事件申立人を選任する旨の審判をしたことに対し,抗告審は,相続人らの固有財産が債務超過の状態(もしくは近い将来において債務超過となるおそれがある状態)にあるか明らかではなく,財産分離の必要性について審理しないまま,財産分離を命じた原審の判断は相当ではないなどとして,原審判を取り消し,差し戻すのが相当であるとした事例
同時廃止事案における免責許可決定に対する即時抗告について,即時抗告後に明らかとなった事情を踏まえて再度の考案を行い,免責許可決定を取り消して免責不許可決定をした事例
1 金融商品取引業者等を名宛人とする金融商品取引法64条の5第1項の規定による外務員の登録を取り消す旨の処分の取消訴訟と当該外務員の原告適格
2 上場会社等による公募増資の実施の公表が特定の日らしいとの趣旨の当該公表前の推測情報の,金融商品取引業等に関する内閣府令1条4項14号所定の法人関係情報該当性
3 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成26年内閣府令第7号による改正前のもの)117条1項14号にいう顧客に対する勧誘行為があったといえるための要件
4 金融商品取引業者等を名宛人とする金融商品取引法64条の5第1項の規定による外務員の登録を取り消す旨の処分の取消訴訟を当該外務員が提起した場合における,当該処分が行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法の行政事件訴訟法10条1項にいう「自己の法律上の利益に関係のない違法」該当性
5 金融商品取引法64条の5第1項2号に基づき,金融商品取引業等に関する内閣府令(平成26年内閣府令第7号による改正前のもの)117条1項14号所定の行為があったとしてされた外務員の登録を取り消す旨の処分が,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例
厚生年金保険法附則8条の規定による老齢厚生年金について厚生年金保険法(平成24年法律第63号による改正前のもの)43条3項の規定による年金の額の改定がされるために同項所定の期間を経過した時点において当該年金の受給権者であることの要否
1 総合格闘家の男性が,約1年半の間に合計6回,スポーツジムでの練習時に負傷したとして,共済組合に対し,共済契約に基づく共済金を請求したのに対し,いずれも負傷事故の発生が認められず,又は「激しい運動中の過度の肉体の行使」に該当し「不慮の事故」に当たらないとして,請求を棄却した事例
2 同男性が,自身の共済金請求に対して,共済組合が不正請求を疑い,著しく不当かつ過度な調査を強要したことについて,共済契約上の債務不履行または不法行為(注意義務違反)に基づき慰謝料を請求したのに対して,同組合にかかる違反はないとして請求を棄却した事例
歯科医師である顧客に対して行われた証券会社従業員の信用取引についての勧誘が適合性原則を逸脱した違法なものであったとはいえないとされた事例
2 証券会社従業員の勧誘により行われた信用取引が,実質一任売買であったとはいえないものの,社会的相当性を著しく逸脱した過当取引に当たるとされた事例(過失相殺6割)
1 決定時15歳の少年に係るぐ犯保護事件において,事案の内容,少年の資質上の問題点,家庭環境等を考慮し,少年を児童自立支援施設に送致した事例
2 児童相談所長が,向こう1年半の間に通算90日を限度として強制的措置をとることの許可を求めた強制的措置許可申請事件において,通算90日もの日数の必要性は認め難いとし,1年半の間に通算30日を限度として強制的措置をとることを許可した事例
業務用の構内専用車について被告保険会社との間で労災事故の損害については担保しない旨の免責条項及び自賠責保険で担保すべき金額については担保しない旨の特約が付された一般自動車保険契約を締結した際に,当該保険契約の募集人である被告保険代理店に,説明義務違反があったとは認められないと判断した事例
1 国民年金の給付の支給を受ける権利は,その支払期日の到来をもって権利の行使をすることができる時に該当する
2 国民年金の給付の支給を受ける権利につき,民法158条1項類推適用により時効が完成しないものとは認められないとされた事例
生活保護の受給中に外国への渡航費用を支出した者に対する生活保護法63条に基づく支給済みの保護費の返還決定及び同法78条に基づく支給済みの保護費の徴収決定が違法であるとされた事例
成年後見人である司法書士が預かり保管中の成年被後見人の預金等から金員を払い戻して着服する横領行為をしたところ,成年被後見人の相続人の一人である原告が,家庭裁判所の後見監督等に違法があるとして,国家賠償法1条1項に基づき,横領行為による損害額等の支払を求めた事案について,裁判官による成年後見人の後見事務の監督につき職務上の義務違反があるとして国家賠償法上の損害賠償責任が肯認されるためには,裁判官が違法若しくは不当な目的をもって権限を行使し,又は裁判官の権限の行使の方法が甚だしく不当であるなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使し,又は行使しなかったものと認め得るような特別な事情があることを必要とすると解するのが相当であるところ,本事案においてはこのような事情が認められないとして,原告の請求を棄却した事例
ゴルフ会員権の売買契約が売主の錯誤により無効であり,売主には当該錯誤について重大な過失があるが,買主も当該錯誤について共通の錯誤に陥っていたことから,売主が当該錯誤を主張できるとされた事例
アイドルグループのコンサートにおいて,一部の観客が曲に合わせて大声を出したり,一定のパフォーマンスをしたことにつき,当該コンサートの主催者及び出演者の,コンサートチケットを購入して当該コンサートを鑑賞した者に対する債務不履行責任ないし不法行為責任が否定された事例
マンションの底地の賃貸人が,建築確認において敷地の一部とされた隣地部分を第三者に売却したことが,マンションの区分所有者が当該隣地を敷地として利用することに協力すべき信義則上の義務に違反するとして,不法行為に基づく慰謝料請求を認めた事例
相手方が,抗告人らに対し,相手方を未成年者(15歳)と面会交流させる義務を履行しなかったとして,間接強制の申立てをした事案について,間接強制をするためには債務者の意思のみによって債務を履行することができる場合であることが必要であるが,本件未成年者のような年齢の場合は子の協力が不可欠である上,本件未成年者は相手方との面会交流を拒否する意思を強固に形成しているところ,本件未成年者の精神的成熟度を考慮すれば,抗告人らにおいて本件未成年者に面会交流を強いることは未成年者の判断能力ひいてはその人格を否定することになり,却って未成年者の福祉に反することから,本件債務は抗告人らの意思のみによって履行することはできず履行不能であるなどとして,相手方の間接強制の申立てを却下した事例