1 区分所有建物の管理組合は,区分所有建物の共用部分について,民法717条の占有者に当たらない
2 管理組合がその責任と負担において共用部分の管理を行う旨の区分所有建物の管理組合規約は,管理組合の目的・権能を定めたものであって,区分所有者の管理組合に対する共用部分の修繕請求権を定めたものではない
車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は令状がなければ行うことができない強制の処分か
町有地が条例又は議会の議決によらずに適正な対価なくして売却されたとしてその当時の町長に対する損害賠償請求が認容された事例
「摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セット」という名称の本件発明につき,当業者において,引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機付けを欠き,仮に組み合わせることを容易に想到し得たとしても,それのみでは相違点5に係る本件発明の構成に至らず,さらに引用例3等記載の構成の適用を動機付けられたとしても,そのように,引用発明1に基づき,2つの段階を経て相違点5に係る本件発明1の構成に至ることは,格別な努力を要するものであるとして,容易想到性を否定した事例
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち死亡した職員の夫について一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分と憲法14条1項
1 下顎智歯の抜歯に際し,歯科医師に,抜歯以外の治療方法の選択肢及び舌の知覚・味覚障害の後遺症が残るリスクがあることに関する説明義務違反が認められた事例
2 抜歯の際に生じた舌神経の損傷による知覚・味覚障害の後遺障害と上記説明義務違反との間の因果関係が肯定され,休業損害,逸失利益,慰謝料等の損害が認められた事例
建売住宅の不同沈下が発生したのは,適切な地盤改良又は基礎選定が行われず,周辺で発生した地盤沈下に対処することができなかったことが原因であるとして,建築販売業者に瑕疵担保責任が認められた事例
1 出願人が特許出願時に容易に想到することができた他人の製品等に係る構成を特許請求の範囲に記載しなかっただけで,同製品等が特許請求の範囲から意識的に除外されたなどの同製品等と特許請求の範囲に記載の構成とが均等なものといえない特段の事情が存するといえるか
2 出願人が特許出願時に容易に想到することができた他人の製品等に係る構成を特許請求の範囲に記載しなかったときにおける,同製品等が特許請求の範囲から意識的に除外されたなどの同製品等と特許請求の範囲に記載の構成とが均等なものといえない特段の事情が存する場合
参考人として警察官に対して犯人との間の口裏合わせに基づいた虚偽の供述をする行為が刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条にいう「隠避させた」に当たるとされた事例
1 地方公共団体の担当職員が,住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税の特例が適用されるべき土地について,これを適用せずに評価を行って固定資産税等を賦課したことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとした上で,過失相殺における納税義務者側の過失割合を4割とした事例
2 課税客体の把握方法として航空写真方式を採用することについての合理性を認めた上で,航空写真の判読により外観上の変化を把握することができ,これを課税客体の異動の可能性の端緒として実地調査を行うことで,用途の変更の事実を捕捉できたのにこれを怠ったとして,同担当職員の過失を肯定した事例
力士自身による承諾がない場合においては,力士契約を終了させる師匠による引退届の提出については,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないようなものではないものでなければならないと解することが,力士契約における当事者間の合理的意思にかなうものとして,相当である
区有地を含む土地の利用に係る事業において,区が公募型プロポーザル方式による随意契約により事業応募者のうち土地買受価格の提案価格の最も安価な者に区有地を売却したことが違法であるとして,区の住民が区長を相手に区長個人に対して最高提案価格との差額相当額等の損害賠償の請求をすることを求める住民訴訟の請求が棄却された事例
道路交通法違反保護事件において少年を第2種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告に関し,少年を少年院に送致すること自体は相当と認められるが,送致すべき少年院としては,第1種少年院が相当であったとみる余地が十分認められるから,この点の審理を十分尽くさずに,少年を第2種少年院に送致すべきものとした原決定の処分は,著しく不当であると判断して,原決定を取り消して本件を原裁判所に差し戻した事例
被扶養者(母)の二男が,被扶養者の長男及び三男に対し,被扶養者の扶養料の支払と被扶養者及び亡夫への過去の扶養料の求償を求めた事案について,子の老親に対する扶養義務は生活扶助義務であることを前提として,扶養料の額は被扶養者の生活維持に要する最低生活費から被扶養者の収入を差し引いた額を超えず,かつ,扶養義務者の余力の範囲内とすべきであり,また,扶養義務者の分担額を検討するに際しては,扶養義務者の配偶者の収入を斟酌することができるとして,扶養料及び過去の扶養料の求償額を定めた事例
マンションの新築工事における外壁及び玄関庇への石材取付工事につき,同工事の施工者が,建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮するべき注意義務を怠ったとして,同施工者の不法行為責任を肯定した事例
じん肺管理区分が管理1に該当する旨の決定を受けた常時粉じん作業に従事する労働者等が管理4に該当するとして提起した当該決定の取消訴訟の係属中に死亡した場合における労働者災害補償保険法11条1項に規定する者による訴訟承継の成否
1 覚せい剤及びコカインの営利目的所持等の事案につき,私人である被告人を,麻薬取締官による覚せい剤密売人に対するおとり捜査に巻き込んだことを理由として,公訴棄却あるいは違法収集証拠排除を求める弁護人の主張を排斥した事例
2 被告人の薬物取引を容認した麻薬取締官の対応が,被告人による覚せい剤等の取引を促進,助長した面があることは否定できず,被告人の意思決定に不当な影響を与えたとして,量刑上,被告人に対する非難が一定程度下がるとされた事例