信販会社が作成,所持するとされた文書について文書の存在を認め,その一部につき自己利用文書に当たらないと判断して,原決定を一部変更し,その提出を命じた事例
1 情報源を公にしないことを前提とした報道機関に対する重要事実の伝達と金融商品取引法施行令(平成23年政令第181号による改正前のもの)30条1項1号にいう「公開」
2 情報源が公にされることなく会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされた場合における金融商品取引法(平成23年法律第49号による改正前のもの)166条1項によるインサイダー取引規制の効力
行政不服審査法34条2項(平成26年法律第68号による改正前のもの)に基づく執行停止の申立てに対する執行停止をしない旨の決定は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
1 自動車のナンバープレートに表示される地域名として「世田谷」を導入することを要望した被告世田谷区の区長及び職員らの行為につき,国土交通省の定める要綱の性質上,職務上の法的義務を根拠付けるものではないことから,当該区長及び職員らの行為が当該要綱に反することを理由として,職務上の法的義務違反を認めることはできないし,当該行為により原告らのプライバシー,平穏な生活,その他法的利益を侵害されたものとも認めることはできないとした事例
2 被告世田谷区の区長の実施したアンケート調査が不適当なものであり,世田谷区の住民として,直接精神的苦痛を受けたとの原告らの主張を排斥し,請求を棄却した事例
1 地方税法73条の7第2号の3にいう「共有物の分割」の意義
2 地方税法73条の7第2号の3にいう「分割前の当該共有物に係る持分の割合」の意義
水俣病の補償協定について,水俣病の認定を受けた者であれば,不法行為に基づく損害賠償請求権の金額が判決によって確定したものであっても,その適用を求めることができるとした事例
国外の企業が掲載した記事等につき,原告らがプライバシー権又は名誉権が侵害されたと主張し,当該企業を被告として当該記事等の削除を求めた訴訟につき,我が国の裁判所に国際裁判管轄を肯定した事例
私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約が3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえないとされた事例
地上建物に対する仮差押えが本執行に移行して強制競売手続がされた場合において,土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたが,その後に土地が第三者に譲渡された結果,当該強制競売手続における差押えの時点では同一の所有者に属していなかったときの法定地上権の成否
土地につき所有権移転登記等の申請をして当該登記等をさせた行為が電磁的公正証書原本不実記録罪に該当しないとされた事例
養育費の額を変更する始期について,義務者が権利者に対して養育費減額の調停を申し立てた時ではなく,それ以前の別件審判事件において,義務者が権利者に対して養育費の支払義務がないことを主張した上で,実際に養育費の支払を打ち切った時とした事例
1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として自衛隊の使用する航空機の運航の差止めを求める訴えについて,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえないとされた事例
郵便物の輸出入の簡易手続として税関職員が無令状で行った検査等について,関税法(平成24年法律第30号による改正前のもの)76条,関税法(平成23年法律第7号による改正前のもの)105条1項1号,3号によって許容されていると解することが憲法35条の法意に反しないとされた事例
1 権利能力なき社団たるマンション管理組合とその構成員たる各区分所有者との間のマンション管理に関する法律関係に対し,委任契約に関する民法645条(受任者の報告義務に関する規定)の類推適用が相当とされた事例
2 上記の場合において,各区分所有者は,マンション管理規約に明文の定めがない場合であっても,民法645条に基づき,管理組合に対し,管理組合がマンション管理業務について保管している文書(会計帳簿やその裏付けとなる原資料を含む)の閲覧及び閲覧の際の当該文書の写真撮影を請求する権利を有するとされた事例
「人又は車の通行を妨害する目的」(平成25年法律第86号による改正前の刑法208条の2第2項前段)があるとされる場合
1 死刑確定者の面会に際し,刑事施設の長が,その指名する職員を面会に立ち会わせる措置,又は面会の時間を制限する措置は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる
2 死刑確定者の再審の請求の弁護人による,再審の請求の打合せを目的とする死刑確定者との間の刑事施設の職員の立会いのない面会の申出に対し,これを許さない刑事施設の長の措置の仮の差止めの申立てについて,現時点における事情の下では,同措置は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであるとして,同措置を仮に差し止めた事例
3 死刑確定者の再審の請求の弁護人による,再審の請求の打合せを目的とする死刑確定者との間の時間の制限のない面会の申出に対し,30分に面会の時間を制限する刑事施設の長の措置の仮の差止めの申立てについて,現時点では,直ちに同措置が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとなるか否かを判断することはできないとして,同申立てを却下した事例
1 京都府風俗案内所の規制に関する条例(平成22年京都府条例第22号)3条1項,16条1項1号と憲法22条1項
2 京都府風俗案内所の規制に関する条例(平成22年京都府条例第22号)7条2号と憲法21条1項
日本に国籍及び住所を有する男性の原告が,大韓民国に国籍及び住所を有する被告に対し,婚姻の届出は被告に在留資格を取得させる目的でされたもので,原告被告ともに婚姻する意思はなかったとして,婚姻無効確認を求めた事案について,被告が本件訴訟に応訴していること,原告が日本に国籍及び住所を有していること,原告及び被告が最後の共通の住所を日本国内に有していたこと等を考慮し,条理に従い,日本に国際裁判管轄を認めた上で,準拠法について原告の本国法である日本国民法742条1号を適用し,原告の請求を認容した事例