不在者が,積雪している冬山への登山を開始したが帰宅せず,捜索しても見つからなかったため,不在者は民法30条2項が規定する危難に遭遇し,危難が去った後1年以上行方不明であって,生死が明らかでないとして失踪の宣告を求めた事案について,気象状況等を詳細に検討した上,不在者は人が死亡する蓋然性が高い事象に遭遇したと認めるのが相当であるとして,不在者が遭遇した危難を具体的に認定することができないとして申立てを却下した原審判を取り消し,差し戻した事例
職務質問に伴う所持品検査により発見された覚せい剤及びその現行犯逮捕による身柄拘束中に差し押さえられた尿の各鑑定書について,原判決が違法収集証拠の主張を排斥して証拠能力を認めたのに対し,所持品検査に関する原判決の認定は,証拠を正しく理解しないか評価を誤った不合理なものであり,所持品検査の違法は重大であることなどを理由に,上記各鑑定書の証拠能力を否定して, 原判決を破棄し, 無罪を言い渡した事例
1 健康保険組合がその運営する事業の用に供するために所有する家屋の一部につき,地方税法348条2項11号の4にいう「診療所において直接その用に供する固定資産」及び「政令で定める保健施設において直接その用に供する固定資産」に当たらないとされた事例
2 地方税法348条4項にいう「事務所」の意義
区分所有者の一人が区分所有法25条2項に基づく管理者解任請求訴訟を提起して勝訴した場合における弁護士報酬等の費用の分担
相手方が,抗告人に対し,未成年者の養育費の支払を求めた事案において,私立高校に進学した未成年者の入寮による食費・光熱費の負担減,抗告人が再婚相手の子と養子縁組を行い,同人に対する扶養義務を負担するに至ったこと等を考慮して養育費を算定し,これと異なる原審判を変更した事例
仮退院中の21歳の本人に係る戻し収容申請事件において,遵守事項違反の内容及び違反が仮退院後間もないことのほか,本人の資質面の問題の性質及び程度等に照らし,戻し収容の必要性及び相当性があるとした上で,本人の処遇歴を踏まえて,決定日から1年6か月間第3種少年院に戻して収容することとした事例
兄弟姉妹間の扶養について,扶養義務者が扶養権利者に対して支払う扶養料を生活保護基準によって算定し,扶養権利者を扶養してきた扶養義務者の他の扶養義務者に対する過去に負担した扶養料の求償を認めた事例
当初成人として地方裁判所に起訴されたが,満20歳に達していると認めるには合理的な疑いが残るとして公訴棄却判決を受け,家庭裁判所に送致された者につき,20歳に満たない者であることを前提に処遇を検討した上,罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認め,事件を検察官に送致した事例
窃盗,住居侵入保護事件において少年を第2種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告について,原決定の判断を相当とした上で,検察官送致及び55条移送を経て原決定までに約半年間を要したことについて特に手続的な遅延があったとはいえないなどとして矯正教育の期間を3年程度とする処遇勧告を付した原決定の判断はやむを得ないと判断して抗告を棄却した事例
化学物質過敏症に罹患している旨説明していたにもかかわらず,事前通告せずにシロアリ駆除の薬剤を散布した従業員の行為に過失があるとされた事例
1 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定の適法性
2 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定の合憲性
1 三重県情報公開条例7条2号,3号の「事業を営む個人の当該事業に関する情報」とは,法人等の活動と同様に,特定の目的をもって反復的,継続的に営む個人の活動に関する情報と解するのが相当である
2 露店等を出店するために提出された道路使用許可申請書の申請者及び現場責任者の氏名は,三重県情報公開条例7条2号,3号の「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当する
3 露店等を出店するために提出された道路使用許可申請書の申請者の氏名は,その者が祭りに際して露店等を出店するため,道路使用許可申請を行ったことを,同許可申請書の現場責任者の氏名は,その者が道路使用の許可を受けて出店した露店等の現場全体を管理する権限を有していることをそれぞれ示す情報にすぎないから,三重県情報公開条例7条2号及び3号の非開示情報に該当しない
インターネット上の検索サイトにおける検索結果の表示につき,検索サイト運営会社に対して名誉権又はプライバシー権の侵害を理由とする検索結果の仮の削除を求める申立てを認めなかった事例
1 訴訟上の事実に関する新規かつ明白な証拠と刑訴法435条6号の該当性(消極)
2 確定判決の引用証拠について,その証拠能力を否定する事由(おとり捜査の違法)を明らかにする新証拠が同号の「証拠」に当たるとした原判断は是認できないが,即時抗告審における事実取調べの結果も踏まえ,その証拠書類を作成した警察官が当該被告事件で虚偽有印公文書作成罪を犯したことに関し確定判決に代わる証明があったと認めて同条7号の事由を肯認し, 検察官の即時抗告を棄却した事例
清掃工場の建設工事に関する談合に関与したとして談合罪で有罪判決が確定した元市長に対する退職手当返納命令について,①市長退職手当条例及び職員退職手当条例が退職手当返納命令の根拠となるが,②市長2期目に係る退職手当については,「在職期間中の行為に関し禁錮以上の刑に処せられたとき」という要件を満たさないから返納命令の対象とはならず,③市長3期目に係る退職手当については,裁量権の逸脱・濫用はないものの,返納命令の対象となるのは市が徴収納付義務者として控除した額を除いた部分に限られるとして,退職手当返納命令の一部を取り消した事例
定年後に嘱託社員として再雇用された者について,定年の前後で職務内容等に変化がないのに賃金が減額されたことが,労働契約法20条に反しないとされた事例
原決定時20歳の者に係る施設送致申請事件において同人を第1種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告について,原決定の判断を正当とし,同人の資質上の問題の根深さ等を指摘して,抗告を棄却した事例
交差点に進入する直前に対面信号機が赤色表示であることを認識し,急ブレーキをかけるよりも走り抜ける方が安全だと考えて交差点内に侵入した場合において,赤色信号を「殊更に無視」したとはいえないとされた事例