株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い, その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし, 当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において, 上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)172条1項にいう「取得の価格」
1 ストーカー行為等規制法中の「身体の安全, 住居等の平穏若しくは名誉が害され, 又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」「反復して」に該当するか否かが争点とされた事案について, 無罪とした原判決を破棄し, いずれの要件も満たすとして有罪の判断をした事例
2 ストーカー行為をする目的で, その相手方の居住するマンションのオートロックをかいくぐって共用部分に立ち入り, 相手方居室前に至った行為について, 邸宅侵入罪の成立を認めた事例
相続税法違反被疑事件でほ脱の故意が争われている事案について,具体的な事情の下で,刑訴規則27条1項ただし書が定める「特別の事情」があると認められるとして,原決定を取り消し,他方で,租税ほ脱事件としては比較的争点が少ない類型であること,勾留の残日数等の諸事情に照らすと,弁護人の数を6人とするまでの必要性は認め難いとして,弁護人の数を4人とすることを許可した事例
子の常居所地国であるシンガポールにおいて,両親に共同監護権を与えつつも,母が子を日本に転居させることを許す条項を設けた離婚判決につき,当該条項の削除を求める裁判手続が係属していた状況で,母が子とともにシンガポールから日本に転居した事案において,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律27条3号の「監護の権利」の侵害がないとして,父による子のシンガポールへの返還を命じる申立てを却下した事例
行政事件訴訟法25条2項にいう「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」の要件を満たさないとして, 銃砲所持許可処分の取消処分の効力の停止が認められなかった事例
離婚の際に合意した養育費について減額の申立てが却下された後, その後の事情変更を理由に再度養育費の減額を求めた事案において, 養育費の合意の趣旨等を踏まえて養育費の額を算定した事例
労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中から参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に,研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例
再生債務者に対して債務を負担する者が自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は, 民事再生法92条1項によりすることができる相殺に該当するか
花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警察署副署長に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しないとされた事例
「忘れられる権利」等に基づくインターネット上の検索サービスにおける自己の逮捕歴に係る検索結果の削除請求が認められないとされた事例
婚姻予約をし,約9年3か月間同居していた男女の一方が,約2年1か月の別居後に関係を解消した行為について,同行為の時点までに,実質的に内縁関係が解消されていたことなどから,内縁関係解消の動機,方法等が社会通念上不当なものであったとは認められないことを理由に内縁関係の不当破棄としての不法行為が成立せず,また,婚姻予約の破棄についても正当な理由がないと認めるに足りないことを理由に,婚姻予約の不当破棄としての不法行為が成立しないと判断された事例
確定した執行決定のある仲裁判断は,「裁判以外の債務名義」(民事執行法35条1項後段)ではなく,「確定判決」(同条2項)に当たり,同項の「口頭弁論の終結後」との文言は,「仲裁判断がされた後」と読み替えると判断した事例
1 下請運送業者の従業員による交通事故につき,当該従業員の不法行為責任及び下請運送業者の使用者責任を肯定し,元請運送業者及び注文者の使用者責任を否定した事例
2 交通事故により損害を受け不法行為に基づく損害賠償請求権を取得した者が,同一の事故について道路法の規定により取得した原因者負担金及びこれに対する延滞金の弁済を受けた場合における損益相殺的な調整の方法
姉弟間の建物所有を目的とする土地の使用貸借契約につき,使用収益をするのに足りるべき期間が経過したとして,契約終了に基づく建物収去土地明渡請求が認められた事例
被告人が,家族に対する殺意をもって自宅に放火して全焼させ,妻及び子1名を死亡させて殺害したが,他の1名は避難したため殺害の目的を遂げなかったとして起訴された事案において,被告人が外出した後に,妻が解離性障害等の影響により放火をした具体的な可能性が認められ,犯人性に合理的な疑いが残るとして無罪とした原判決の認定は,秒単位の所要時間について刑事裁判の基礎とし得るような再現性があるとは認められない燃焼実験に依拠し,煙が上昇しながらたなびくことを考慮せずに当時の風速と同じ速度で水平に移動して防犯カメラの視界に到達することを前提にして,着火行為の終了時刻を算定している点において,論理則,経験則等に照らし不合理であるとともに,妻が放火に及ぶ抽象的,一般的な可能性を指摘したにすぎない精神科医の証言の評価を誤った不合理なものであって,事実誤認があるとされた事例
守口市議会の議会運営委員会が開催した協議会につき, その会議録を作成するために職員が議事内容を録音し保管していた電磁的記録は, 守口市情報公開条例に基づく開示請求の対象となる公文書に該当するが, 同会議においては傍聴人による録音等が禁止されていた等の判示事情の下では同条例所定の事務支障文書に該当するといえるから, 職員がこれを廃棄した行為が国家賠償法上違法と評価されることはない
損害保険契約の約款に規定されている代理請求制度に基づく保険金の請求に対して,保険金の支払をした保険会社が約款の規定により免責されるとされた事例
株主割当ての方法による募集株式の発行における募集事項等の通知が違法であり, 当該新株発行には無効原因があるとされた事例
1 市の経営する競艇事業の臨時従業員等により組織される共済会から臨時従業員に対して支給される離職せん別金に充てるため, 市が共済会に対してした補助金の交付が, 地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し, 又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例(①事件)
2 市の経営する競艇事業の臨時従業員等により組織される共済会から臨時従業員に対して支給される離職せん別金に充てるため, 市が共済会に対してした補助金の交付が,その後の条例の制定により遡って適法なものとなるとした原審の判断に違法があるとされた事例(②事件)
1 会社が当初から出席しないことを見越しながら購入した政治資金パーティーのパーティー券に係る購入代金の支払が政治資金規正法上違法とされる「寄附」に当たり,会社に損害を被らせたとして,株主が取締役に損害賠償を求めた株主代表訴訟において,主催者が当該会社が購入したパーティー券に出席を予定しないものが含まれていることを個別的に把握し,その寄附性を認識していない限り,政治資金規正法の「寄附」に当たらないと判断した事例
2 取締役には,上記パーティー券の購入代金の支払はパーティー券の購入に仮託した実質的な「寄附」であるから,確実に出席が見込める枚数の限度でのみパーティー券を購入すべき義務,あるいは,国会議員からの違法な便宜供与を受けるなど不当な目的でこれを購入してはならない義務があるのに,これに反してパーティー券を購入した善管注意義務違反がある旨の控訴人の主張を排斥した事例