市が土地開発公社の取得した土地をその簿価に基づき正常価格の約1.35倍の価格で買い取る売買契約を締結した市長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法となるとはいえないとされた事例
債務整理を依頼された認定司法書士が, 当該債務整理の対象となる債権に係る裁判外の和解について, 司法書士法3条1項7号に規定する額を超えるものとして代理することができないとされる場合
国際的な法律事務所に所属する弁護士が, 本件の仲裁人として選任された後, 同じ法律事務所に所属する別の弁護士が別件訴訟において本件当事者の関連会社の訴訟代理人を務めているという事実(利益相反事由)を開示せずに, 本件仲裁判断をしたことについて, 仲裁人による利益相反事由の不開示は, 仲裁法18条4項の開示義務違反を構成し, 重大な手続上の瑕疵といえるから, それ自体が, たとえ, 本件仲裁判断の結論に直接影響を及ぼすことがないとしても, 同法44条1項6号の取消事由に該当するとして, 同条6項に基づき本件仲裁判断が取り消された事例
地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項及び13項の政務調査費の制度が設けられた後において, 普通地方公共団体が地方議会の会派に対し, 地方自治法232条の2に基づき補助金を交付することの可否
発明の名称を「振動機能付き椅子」とする特許権に基づく侵害行為差止等請求につき,対象製品が同特許に係る発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するということはできないとされた事例
親権停止審判申立事件を本案事件とする審判前の保全処分申立事件において,重篤な心臓疾患を抱えるなどし,直ちに治療及び手術を受ける必要がある未成年者の親権者らについて,同人らのこれまでの対応や現在の生活状況等に照らし,現在の緊急事態に迅速かつ適切に対応できるかどうか疑問があるとして,本案審判認容の蓋然性及び保全の必要性を認め,同人らの未成年者に対する職務の執行を停止した事例
薬局で購入した漢方薬を服用した原告の腎機能が悪化したことについて, 輸入販売業者でありかつ薬局開設者である被告の責任が否定された事例
特別区の議会において,本会議における無所属議員の一般質問の時間を年間20分とすること等を内容とする時間制を定める議会運営委員会の申合せがされた場合において,無所属議員が上記時間制に基づき質問を制限する処分の差止め及び質問を制限されない地位にあることの確認を求める訴えが,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たらないとされた事例
被告人2名が,共謀の上,「おやじ狩り」と称して連続的に犯した強盗致傷2件及び強盗1件の事案につき,いずれも懲役3年,5年間執行猶予,付保護観察に処した原判決が,これまでの量刑傾向の大枠から外れる量刑判断を行ったものであり,これまでの量刑傾向を前提とすべきでない理由の説明もされていないとして,量刑不当を理由に破棄され,それぞれ懲役6年6月と懲役6年が言い渡された事例
株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い, その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし, 当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において, 上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)172条1項にいう「取得の価格」
1 ストーカー行為等規制法中の「身体の安全, 住居等の平穏若しくは名誉が害され, 又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」「反復して」に該当するか否かが争点とされた事案について, 無罪とした原判決を破棄し, いずれの要件も満たすとして有罪の判断をした事例
2 ストーカー行為をする目的で, その相手方の居住するマンションのオートロックをかいくぐって共用部分に立ち入り, 相手方居室前に至った行為について, 邸宅侵入罪の成立を認めた事例
相続税法違反被疑事件でほ脱の故意が争われている事案について,具体的な事情の下で,刑訴規則27条1項ただし書が定める「特別の事情」があると認められるとして,原決定を取り消し,他方で,租税ほ脱事件としては比較的争点が少ない類型であること,勾留の残日数等の諸事情に照らすと,弁護人の数を6人とするまでの必要性は認め難いとして,弁護人の数を4人とすることを許可した事例
子の常居所地国であるシンガポールにおいて,両親に共同監護権を与えつつも,母が子を日本に転居させることを許す条項を設けた離婚判決につき,当該条項の削除を求める裁判手続が係属していた状況で,母が子とともにシンガポールから日本に転居した事案において,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律27条3号の「監護の権利」の侵害がないとして,父による子のシンガポールへの返還を命じる申立てを却下した事例
行政事件訴訟法25条2項にいう「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」の要件を満たさないとして, 銃砲所持許可処分の取消処分の効力の停止が認められなかった事例
離婚の際に合意した養育費について減額の申立てが却下された後, その後の事情変更を理由に再度養育費の減額を求めた事案において, 養育費の合意の趣旨等を踏まえて養育費の額を算定した事例
労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中から参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に,研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例
再生債務者に対して債務を負担する者が自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は, 民事再生法92条1項によりすることができる相殺に該当するか
花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警察署副署長に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しないとされた事例
「忘れられる権利」等に基づくインターネット上の検索サービスにおける自己の逮捕歴に係る検索結果の削除請求が認められないとされた事例
婚姻予約をし,約9年3か月間同居していた男女の一方が,約2年1か月の別居後に関係を解消した行為について,同行為の時点までに,実質的に内縁関係が解消されていたことなどから,内縁関係解消の動機,方法等が社会通念上不当なものであったとは認められないことを理由に内縁関係の不当破棄としての不法行為が成立せず,また,婚姻予約の破棄についても正当な理由がないと認めるに足りないことを理由に,婚姻予約の不当破棄としての不法行為が成立しないと判断された事例