被相続人の家業である農業に従事したことを理由とする寄与分を遺産総額の30パーセントと定めた原審判を変更し, 農業に従事したこと以外の寄与を認めることができないことも考慮して, 農地のみの評価額の30パーセントと定めた事例
住居侵入,強制わいせつ未遂,強制わいせつ保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定について,試験観察に付するなどして,社会内処遇による改善更生の可能性を十分検討することのないまま,収容処遇を選択した原決定の処分は著しく不当であるとして,これを取り消して事件を原裁判所に差し戻した事例
臨場した弁護士が,職務質問に応じない旨を明確に示しているのに,これを無視する形で行われた被疑者に対する有形力の行使が任意捜査の限界を超える違法なものとされた事例
商号がゴルフ場経営会社と全く同一であり,ゴルフ場のクラブ名とも同一である上,ゴルフ場の所在地を本店所在地とする株式会社について,本件で認められる諸事情から法人格否認の法理を適用して,預託金の返還を求めるゴルフ場の元会員に対し信義則上ゴルフ場経営会社と法人格を異にすることを主張できないとした事例
権利能力のない社団の理事長及び専務理事の地 位にあった者が当該社団からの借入金債務の免 除を受けることにより得た利益が,所得税法 28 条 1 項にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に当たるとされた事例
衆議院議員の関連政治団体の事務全般の統括等をしていた者及び同議員の資金管理団体の会計責任者に対する政治資金規正法25条1項違反の罪(収支報告書の虚偽記入・不記載の罪)について,執行猶予付き禁錮刑の有罪判決が言い渡された事例
フランチャイズ契約終了後の競業避止義務を定めた条項に基づいて,フランチャイザーがフランチャイジーに対して営業禁止を求めることが,信義則に違反し許されないとした事例
弁護士による破産手続開始申立ての受任通知の送付後,同申立てが行われないまま辞任するまでの間に行われた債務者所有不動産の売却について,これを阻止できなかったことなどに関する弁護士の不法行為責任及び債務不履行責任が否定された事例
過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取 引の当事者間で成立した裁判外の和解につい て,当該和解が過払金返還請求権についての争 いを対象とするものではないとして和解の効力 が否定された事例
強制わいせつ致傷,窃盗保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告について,付添人が証人尋問の申出をした者の一部について証人尋問を採用しなかった原審の判断には決定に影響を及ぼす法令違反はないとして,これを棄却した事例
担任する生徒へのわいせつな内容を含む多数のメール送信をしたことなどの理由により免職とした懲戒処分に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとした事例
配当表記載の根抵当権者の配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合における,当該供託金の充当方法
刑事確定訴訟記録法 4 条 1 項ただし書,刑訴法53 条 1 項ただし書にいう「検察庁の事務に支障 のあるとき」と関連する他の事件の捜査や公判 に不当な影響を及ぼすおそれがある場合
社会福祉法人を任期満了で退任した理事が仮理事選任の申立てをしたのに対し,処分行政庁が職権で別の者を仮理事に選任する処分をした場合に,当該退任理事が,処分行政庁の行った仮理事選任処分の取消訴訟を提起することの原告適格を有すると判断された事例
山岳ガイドの業務に従事していた被告人が,有 料登山ツアーを企画,主催し,5 名の女性登山客を引率して,降雨の中,登山を開始し,その 登山道上で天候悪化のため,登山客らを強風, みぞれ,吹雪等にさらさせて,追従,歩行がで きない状態に陥らせ,そのうち 4 名を低体温症 で死亡させるに至ったという遭難事故につい て,過失判断の前提としての予見の内容として は,遭難事故となる危険性のあるような天候の 悪化の可能性で足り,それ以上に,現に生じた ような著しい天候の悪化の可能性は予見の対象 とはならないとして,被告人に過失を認め,業 務上過失致死の責任を認めた原判決を是認した 事例
自らが経営する会社で貸金業者から買い取った不良債権を回収する営業を行っていた被告人が債権を保有している清算中の法人の全株式を取得した行為が,債権管理回収業に関する特別措置法2条2項後段にいう債権を「他人から譲り受け」たことに当たるとされた事例
撮影対象に私道部分や原告らの自宅出入口付近を含む屋外設置のカメラについて,防犯目的を含むものの原告らのプライバシーを違法に侵害するとして,その撤去及び損害賠償が認められた事例
いわゆるオレオレ詐欺に係る詐欺未遂保護事件において少年を第3種少年院に送致した決定に対する事実誤認及び処分不当を理由とする抗告について,詐欺の故意及び共謀の認定に係る原審の判断に重大な事実誤認はないとした上で,少年の問題性を考慮して,少年を第3種少年院に送致した原決定の判断は是認できるとしてこれを棄却した事例
道路交通法違反保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定(特別短期間の処遇勧告あり)に対する処分不当を理由とする抗告について,非行内容や少年の問題性を考慮して,これを棄却した事例
地方税法 11 条の 8 にいう「滞納者の地方団体の 徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収す べき額に不足すると認められる場合」の意義