強制執行を保全し,又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するために必要があるときとの要件を充足するものではないとして,抗告人から相手方への未成年者の仮の引渡しを認めた原審を取り消し,申立てを却下した事例
職場における性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた懲戒処分が懲戒権を濫用したものとはいえず有 効であるとされた事例
抗告人及び原審申立人らを民法958条の3第1項所定の特別縁故者と認めるには十分な裏付けがされているとはいい難く, 被相続人の特別縁故者と認めるに足りる客観的な事情の存否やその程度等について更に審理を尽くさせるのが相当として, 合計9500万円相当の財産の分与を認めた原審判を取り消し, 差し戻した事例
C型肝炎訴訟等の追行事務を行う法務省からの照会に対し,厚生労働省が個別の事案ごとに関連する事項について回答事項を記載した調査回報メモに記録された情報が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条1号本文前段,5号及び6号ロ所定の不開示情報に当たるとされた事例
詐害行為取消権に基づき債権譲渡を取り消した 後,債権者代位権に基づき当該債権の支払を請 求した代位債権者は,当該債権の譲受人が第三 債務者に対し提起した先行訴訟において第三債 務者の相殺の抗弁が認められ請求棄却判決が確 定していたときは,当該確定判決の既判力との 関係では,口頭弁論終結後の承継人となり,債 権者代位訴訟においても当該債権が相殺により 消滅したことを争うことは許されないとした事 例
行政手続法 12 条 1 項により定められ公にされて いる処分基準に先行の処分を受けたことを理由 として後行の処分に係る量定を加重する旨の定 めがある場合における先行の処分の取消しを求 める訴えの利益
1 不法行為によって死亡した被害者の損害賠 償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保 険法に基づく遺族補償年金の支給を受けるなど した場合に,上記の遺族補償年金との間で損益 相殺的な調整を行うべき損害
2 不法行為によって死亡した被害者の損害賠 償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保 険法に基づく遺族補償年金の支給を受けるなど したとして損益相殺的な調整をするに当たっ て,損害が塡補されたと評価すべき時期
公害紛争処理法に基づく調停において,調停委 員会が第 1 回調停期日で調停を打ち切るなどした措置が国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法であるとはいえないとされた事例
1 競馬の当たり馬券の払戻金が所得税法上の 一時所得ではなく雑所得に当たるとされた事例 2 競馬の外れ馬券の購入代金について,雑所 得である当たり馬券の払戻金から所得税法上の 必要経費として控除することができるとされた 事例
中華人民共和国人民法院がした判決のうち名誉毀損に基づく慰謝料の支払を命ずる部分の執行判決を求める訴えにつき,我が国と中華人民共和国との間には民訴法118条4号所定の「相互の保証」が認められないとして,請求を棄却した事例
1 過労死による逸失利益の算定において昇給 を考慮した事例
2 労働者災害補償保険法 64 条 1 項による支払 猶予の抗弁を認め,同項に基づく損害賠償の履 行猶予額を算定した事例
共犯者らと共謀の上,覚せい剤約4kgを密輸入したとして起訴された被告人につき,差戻前第1 審は,被告人から指示を受けたとされる共犯者供述の信用性は高くなく,被告人供述を虚偽として排斥できないなどとして無罪判決を言い渡したが,控訴審が事実誤認を理由に同判決を破棄し差し戻した事案について,上告棄却後の差戻審が,控訴審判決が破棄の直接の理由とした差戻前第1審判決に対する消極的否定的判断部分は破棄判決の拘束力から解放されないものの積極的肯定的判断部分には拘束力は及ばないとした上,被告人から本件密輸入に関して指示を受けたという共犯者供述は,通話記録によって客観的に裏付けられており,共犯者が手配した運搬役が覚せい剤を密輸入する際に被告人が複数回にわたり空港に赴いていること等に照らしても信用できるとして,被告人と共犯者らとの共謀を認定し,有罪とした事例(裁判員裁判実施事件)
別件で刑事施設に収容されている再審請求人の 届出住居に宛てて行った同人に対する再審請求 棄却決定謄本の付郵便送達が有効とされた事例
新聞社が,新製品を開発したと称する業者から取材を行い,新聞紙に掲載した新商品の紹介記事の内容に誤りがあったとされた場合に,当該業者の真の開発者に対する不法行為責任を肯定する一方,新聞社の不法行為責任については,新聞社が尽くすべき一応の裏付け調査を行ったものとして,これを否定した事例
非上場会社において会社法 785 条 1 項に基づく 株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用 いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動 性ディスカウント(当該会社の株式には市場性 がないことを理由とする減価)を行うことの可 否