〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,殺人,傷害致死,死体遺棄各1件と傷害7件からなる事案であるところ,このうち傷害2件につき,一定の期間内に多数回の暴行を加えたことによる傷害の公訴事実について訴因不特定の主張があり,その前提として包括一罪とみてよいかが問題となったものである。すなわち,...
〔解 説〕
1 本件の概要
本件は,被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,営利の目的で,約1か月半の間に,イラン・イスラム共和国内から東京都内の受取役宛ての郵便物に隠し入れて発送する方法で,①覚せい剤様のもの相当量を2回にわたり本邦に輸入し,②覚せい剤約2キログラムを本邦に輸入(税関職員に発見...
退去強制令書の執行として強制送還するため民 間航空機に搭乗させられる際,入国警備官の違 法な制圧行為により窒息死したとして,死亡し たガーナ人の親族が求めた国家賠償請求が認め られた事例
保護責任者遺棄致死被告事件について, 被害者の衰弱状態等を述べた医師らの証言が信用できることを前提に被告人両名を有罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に, 刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
火災の発生が保険契約者の重過失によるもので あるとして保険契約者の保険会社に対する火災 保険金の請求が棄却された事例
非公開会社の株式について,同会社は典型的な 同族会社であり,その経営規模からすれば,経 営の安定のためには,株主の分散を避けること が望ましいという事情があり,このような事情 は,民法 906 条所定の「遺産に属する物又は権 利の種類及び性質」「その他一切の事情」に当 たるとして,相続人の一人に同株式を単独取得 させるとともに,他の相続人らに対して代償金 を支払わせることとした事例
東芝うつ病事件労働者に過重な業務によって鬱病が発症し増悪した場合において,使用者の安全配慮義務違反等に基づく損害賠償の額を定めるに当たり,当該労働者が自らの精神的健康に関する一定の情報を使用者に申告しなかったことをもって過失相殺をすることができないとされた事例
信用保証協会が金融機関との間で締結した保証契約の主たる債務者が反社会的勢力関係者で あった場合において,信用保証協会による当該 保証契約の錯誤無効の主張が認められた事例
〔解 説〕
1 本件は,連続・準強姦(未遂)被告事件について,保釈を認めた一審裁判所の決定を,抗告審が取り消したことから,特別抗告された事件であり,特別抗告審が原決定を取り消し,保釈を許可した原々決定を是認した事案である。
(1) 本件の勾留の基礎となった公訴事実の要旨は,被告人が,薬物を用...
事業者から税務申告業務を受託した税理士法人 及びその社員である税理士並びに決算補助業務 を受託した株式会社について,消費税の課税形 態の選択に関する助言等の義務を怠ったことに よる債務不履行責任及び不法行為責任が否定さ れた事例
不動産の売主である宅地建物取引業者に,売買 目的物が建築基準法及び都市計画法に違反した 状態にあることについての調査説明義務違反に よる損害賠償義務を認めた上,買主の過失を理 由に 3 割の過失相殺がされた事例
〔解 説〕
1 本件は,被告人が大型貨物自動車を運転し,信号機により交通整理の行われている丁字路交差点を直進するに当たり,その入口に設置されていた停止線手前約41メートルの地点で,対面信号機が赤色信号を表示しているのを認めたが,時速約60kmの速度で同交差点内に進入し,その出口に設けられた横...
19 歳の少年に対する窃盗被告事件において, 刑事処分を科すよりも,保護処分に付するのが 相当であるとして,事件を家庭裁判所に移送し た事例
暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場に おいて暴力団関係者であることを申告せずに施 設利用を申し込む行為が,詐欺罪にいう人を欺 く行為に当たらないとされた事例
入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約し たゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団 関係者であることを申告せずに同人に関するゴ ルフ場の施設利用を申し込み,施設を利用させ た行為が,刑法 246 条 2 項の詐欺罪に当たるとされた事例
〔解 説〕
1 本件は,暴力団員である被告人が,約款で暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨定めている銀行の担当者に対し,自己が暴力団員でないことを表明,確約して口座開設等を申し込み,通帳等の交付を受けたことが詐欺罪に問われた事案である。
2 本件銀行は,平成22年4月,約款を改定...
身体疾患により日々の服薬と定期的な検査が欠 かせない状態にある 18 歳の少年に対する窃盗 保護事件について,少年を医療少年院に送致し た事例
税理士法人の社員税理士がその在任中に行った新税理士事務所の開設準備行為につき,顧客に対して顧問契約等を解約して自己が開設する新事務所と顧問契約等を締結するように,違法不当な方法で働きかけたとは認められないとして,社員としての任務懈怠行為にも不法行為にも該当しないとされた事例