いわゆる悪質商法の主体である法人の代表者が 整理屋グループと組み詐害目的での資産移転行 為をしたものの事後的に破産管財人の調査に協 力した場合における裁量免責の可否
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,X(使用者)が,本訴として,Y(労働者)を相手に,Yに対する未払賃金債務が173万1919円を超えて存在しないことの確認を求め,Yが,反訴として,Xを相手に,未払賃金の支払等を求めるとともに,労働基準法37条所定の割増賃金の未払金(以下「未払割増賃金」と...
〔解 説〕
1 本件は,覚せい剤密輸入事件について,裁判員裁判による第1審が被告人に無罪を言い渡したが,控訴審が事実誤認を理由に破棄,差戻しとしたことから,被告人が上告していた事案である。
2 事案は,日本在住のイラン・イスラム共和国籍の被告人が,共犯者らと共謀の上,約4kgの覚せい剤をト...
1 家事審判官が成年後見人に対する監督義務 を怠ったことにより被後見人に対する債権の回 収が不能になったとする国家賠償請求が棄却さ れた事例
2 家事審判官の後見開始申立事件記録の閲覧 謄写申請不許可処分に違法はないとされた事例
商標登録の無効審判請求において,商標法4 条1項 10号違反を理由に本件商標登録を無効にするとの審決がなされたところ,いわゆる一事不 再理に反するとして,この審決が取り消された事例
1 離婚に伴う財産分与において,医療法(平成 18 年法律第 84 号による改正前のもの)に基 づいて設立された医療法人に係る夫婦名義の出 資持分のほか,夫の母名義の出資持分をも財産分与の基礎財産として考慮し,医療法人の純資 産価額に 0.7 を乗じた金額を出資持分の評価額 として財産分与額を算定した事例
2 離婚に伴う財産分与において,高額な収入の基礎となる特殊な技能が,婚姻届出前の個人 的な努力によっても形成され,婚姻後もその才 能や労力によって多額の財産が形成された場合に,いわゆる 2 分の 1 ルールを重視しつつも, 上記のような事情を考慮して寄与割合を算定することを是認した事例
申立人と相手方の監護意欲,監護態勢その他の 事情を比較し,申立人の監護意欲及び監護態勢 の方が優っているとして,申立人を未成年者ら の監護者として指定するとともに,相手方が申 立人に対する未成年者らの引渡しを拒否するよ うな態度を示していることから,相手方に対 し,未成年者らの引渡しを命じた事例
〔解説〕
1 本件は,亡Aの妻であるXが,Aがその遺産の全てを長男であるYに相続させる旨の遺言をしたことにより遺留分が侵害されたと主張して,Yに対し,遺留分減殺を原因として,不動産の所有権の一部移転登記手続等を求めた事案であり,時効の期間の満了後に後見開始の審判を受けたXについて,その遺留分...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,殺人,傷害致死,死体遺棄各1件と傷害7件からなる事案であるところ,このうち傷害2件につき,一定の期間内に多数回の暴行を加えたことによる傷害の公訴事実について訴因不特定の主張があり,その前提として包括一罪とみてよいかが問題となったものである。すなわち,...
〔解 説〕
1 本件の概要
本件は,被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,営利の目的で,約1か月半の間に,イラン・イスラム共和国内から東京都内の受取役宛ての郵便物に隠し入れて発送する方法で,①覚せい剤様のもの相当量を2回にわたり本邦に輸入し,②覚せい剤約2キログラムを本邦に輸入(税関職員に発見...
退去強制令書の執行として強制送還するため民 間航空機に搭乗させられる際,入国警備官の違 法な制圧行為により窒息死したとして,死亡し たガーナ人の親族が求めた国家賠償請求が認め られた事例
保護責任者遺棄致死被告事件について, 被害者の衰弱状態等を述べた医師らの証言が信用できることを前提に被告人両名を有罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に, 刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
火災の発生が保険契約者の重過失によるもので あるとして保険契約者の保険会社に対する火災 保険金の請求が棄却された事例
非公開会社の株式について,同会社は典型的な 同族会社であり,その経営規模からすれば,経 営の安定のためには,株主の分散を避けること が望ましいという事情があり,このような事情 は,民法 906 条所定の「遺産に属する物又は権 利の種類及び性質」「その他一切の事情」に当 たるとして,相続人の一人に同株式を単独取得 させるとともに,他の相続人らに対して代償金 を支払わせることとした事例
東芝うつ病事件労働者に過重な業務によって鬱病が発症し増悪した場合において,使用者の安全配慮義務違反等に基づく損害賠償の額を定めるに当たり,当該労働者が自らの精神的健康に関する一定の情報を使用者に申告しなかったことをもって過失相殺をすることができないとされた事例
信用保証協会が金融機関との間で締結した保証契約の主たる債務者が反社会的勢力関係者で あった場合において,信用保証協会による当該 保証契約の錯誤無効の主張が認められた事例
〔解 説〕
1 本件は,連続・準強姦(未遂)被告事件について,保釈を認めた一審裁判所の決定を,抗告審が取り消したことから,特別抗告された事件であり,特別抗告審が原決定を取り消し,保釈を許可した原々決定を是認した事案である。
(1) 本件の勾留の基礎となった公訴事実の要旨は,被告人が,薬物を用...
事業者から税務申告業務を受託した税理士法人 及びその社員である税理士並びに決算補助業務 を受託した株式会社について,消費税の課税形 態の選択に関する助言等の義務を怠ったことに よる債務不履行責任及び不法行為責任が否定さ れた事例