1 はじめに
本件は,株式会社Aの株主であるXが,A社の代表取締役ないし取締役であったYらには,A社の完全子会社である株式会社Bにおいて不適切な在庫処理が行われていたにもかかわらず適切な調査等を怠ったという善管注意義務違反及び忠実義務違反があったと主張して,商法(平成17年法律第87号によ...
確定申告に際して,勤務先会社から交付された 源泉徴収票に基づき給与収入を申告したとこ ろ,会社が株式報酬を源泉徴収していなかった ため多額の株式報酬が不申告となった事案につ いて,被告人にほ脱の故意を認めるには合理的 疑いが残るとして所得税ほ脱罪の成立が否定さ れた事例
裁判所が,未成年者の年齢,生活状況,健康状 態,これまでの非監護親と未成年者との面会交 流の状況,監護親と非監護親双方の生活状況等 を考慮し,面会交流の頻度や内容等を定めた事 例
原告の本件無効審判請求は,先になされた無効 審判請求と必ずしも同一の証拠に基づくものと はいえず,一事不再理の原則に反しない,本件 商標は,商標法 4 条 1 項 11 号,15 号に該当しないとした審決が,維持された事例
1 英国領バミューダ諸島の法律に基づいて組成された事業体である「リミテッド・パートナ ーシップ」の我が国の租税法上の「法人」該当性
2 英国領バミューダ諸島の法律に基づいて組成された事業体である「リミテッド・パートナ ーシップ」の我が国の租税法上の「人格のない 社団等」該当性
建築現場において電気工事に従事していた作業 員が,悪性胸膜中皮腫に罹患し,死亡した場合 において,被告には,上記作業員を従業員又は 下請業者として作業させるに当たり,石綿等の 粉じんの曝露による健康被害防止措置を講じな かったことにつき,安全配慮義務違反が認めら れるとして,損害賠償責任を認めた事例
生産物賠償責任保険(いわゆる PL保険)契約 中の Business Risk条項の趣旨,有効性等につ いての解釈を示し,同契約に基づく保険金請求 を,同条項により保険会社が免責される場合に 該当するとして,棄却した事例
未成年者の母である相手方を親権者として協議 上の離婚がされたが,その後,相手方の未成年 者への関わりが変化し,相手方と未成年者が生 活拠点を異にするなど未成年者をめぐる監護状 況に変化が生じているなどとして,未成年者の 親権者を相手方から申立人に変更した事例
税理士が,外国の国籍を取得した相続人につい て,日本国籍を失っていないと誤信して相続税 の申告をしたために相続人に過少申告加算税等 が課されたことを理由として,税理士に損害賠 償責任が認められた事例
治験実施計画書(プロトコル)中の除外基準に 違反して手術が実施されたと認められ,当該除 外基準の違反は民事法上も違法と評価されると して,損害賠償が一部認容された事例
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)X1社(中古車販売業者)の代表者であるX2は,Y社(投資業者)の担当者から「A社は年間約3億円の利益を上げる人気カードゲーム等の製作販売をしており,タイ王国株式上場企業を子会社化して,株価の上昇が見込まれる。」,「もともと1億円を出資する予定であった顧問弁護...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,遺産分割審判によりXらとYの持分各4分の1で共有取得するものとされた株式,MRF等の投資信託受益権(振替投資信託受益権)及び個人向け国債につき,XらがYに対し共有物分割等を求めた事件である(以下,分割対象となった国債等を「本件国債等」という。)。
...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 相手方(債権者)は,執行力ある債務名義(判決の正本)に基づき,不法行為に基づく損害賠償請求権及びこれに対する遅延損害金支払請求権を請求債権として,第三債務者から抗告人(債務者)に支給される給料,賞与及び退職金に対する債権差押命令を申し立てた。
(2) 原審...
炭酸飲料小出し装置事件拒絶査定不服審判請求に伴う手続補正に対し て,独立特許要件違反を理由として補正却下をした審決が,審判における手続違背を理由とし て取り消された事例
1 イレウスを発症し,腹痛,嘔気等を訴える 患者について,開業医の転送義務違反を認め, 大学病院の開腹手術義務違反を否定した事例
2 上記の転送義務違反と死亡の結果との間の 因果関係を否定したが,生存の相当程度の可能 性の侵害があったとして,慰謝料が認められた事例
1 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物が遅くとも昭和63年2月頃には通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになったとされた事例 2 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の所有者兼賃貸人が民法717条1項にいう「占有者」に当たるとされた事例
〔解 説〕
1 本件は,権利能力のない社団であるXが,土地建物について,これらがXの所有に属すると主張して,共有持分の登記名義人のうちの1人の権利義務を相続により承継したYに対し,「X代表者A」への持分移転登記手続を求めた事案である。
2 事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)Xは権...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
Y会社を含む貸金業者などから借入れをしていたXは,平成17年7月,認定司法書士であるA司法書士に債務整理を依頼した。A司法書士は,Y会社に対して取引履歴の開示を求め,直近10年間の取引履歴(本件取引履歴2)の開示を受けた。この履歴を基にいわゆる「冒頭ゼロ計算...
〔解 説〕
1 事案の概要
抗告人(原審相手方)及び抗告人がその代表者を務めていた会社(以下「本件会社」といい,抗告人と本件会社とを併せて「抗告人等」という。)は,本件土地建物の元所有者であったところ,本件土地建物を基本事件債務者兼所有者(以下「本件所有者」という。)に対して売却した(以下...