インサイダー取引により得た財産の対価として 取得した振替株式について,本件の結審当時(平成 25 年 9 月)の金融商品取引法 198 条の 2 第1 項により必要的没収の対象となるにもかかわ らず,同法には没収された債権(振替株式)の 処分等を可能にする手続規定が存在せず,没収 刑の目的を達することができないため,同条の 2 第 2 項の「没収することができないとき」に 該当するとして,振替株式の価格に相当する価 額を追徴した事例
〔解 説〕
1 本件は,原告が,地方公務員であった妻の公務災害に基づく死亡について,地方公務員災害補償基金(被告)大阪府支部長(処分行政庁)に対し,地方公務員災害補償法(地公災法)に基づき,遺族補償年金等の支給請求をしたところ,地公災法32条1項ただし書1号及び同法附則7条の2第2項の定める...
新生児取り違え事件 産院における新生児取り違えを理由とする債務 不履行について,権利の内容,性質に照らして 客観的合理的に見て権利行使が期待できないと きは時効の進行を否定すべき場合があり,その 際には損害の特殊性も考慮すべきであるとし て,時効の完成を認めなかった事例
警視庁が記者会見及びホームページ上で捜査の 経過・結果を説明したことが国賠法 1 条 1 項の適用上違法となる場合
使い捨て紙おむつ事件 使い捨て紙おむつの発明に係る特許権の侵害訴 訟において,均等侵害の第 5 要件を充たさないとされた事例
「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成6年条約第15号)の「農業に関する協定」4条2項と我が国の豚肉の差額関税制度との関係
送達すべき場所が知れない場合に当たるとは認 められず,原審における訴状等の公示送達によ る送達は無効であるとして,原審に差し戻した 事例
NHKが放送した日本の台湾統治を検証すると の番組により名誉やプライバシーを侵害された とする台湾住民や一方的な偏向した内容で知る 権利を侵害されたとする視聴者らが損害賠償を 求めた集団訴訟において,請求を棄却した第一 審判決が変更され,取材を受けた台湾住民の請 求が一部認容された事例
〔解 説〕
1 本件は,Xらが,Yらに対し,XらとYらの共有に属する土地(以下「本件土地」という。)の共有物分割を求めた事案である。
Xらは,X1会社(本件土地に本社を置く。),X2(X1会社の元代表者),X3(X1会社の現代表者,X2の長男)の3名であり,Yらは,Y1(X2の長女),Y2...
輸入食品を原料として製造された加工食品に異 臭が発生し回収が行われた場合に,その輸入食 品を輸入した輸入販売業者に製造物責任が肯定 された事例
〔解 説〕
1 本件は,拘置所に収容されている死刑確定者X及びその再審請求のために選任された弁護人2名(以下「再審請求弁護人ら」という。)が,拘置所の職員の立会いのない面会(以下「秘密面会」という。)を許さなかった拘置所長の措置が違法であるとして,Yに対し,国家賠償法1条1項に基づき,その被...
〔解 説〕
1 本件は,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」という。)3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けたX1及びその後X1と婚姻をした女性であるX2が,X2が婚姻中に懐胎して出産した子であるAの,父の欄を空欄とする等の戸籍の記載につき,戸...
投資関連の債権回収のための示談折衝事務及び 内容証明の作成事務を受任した弁護士が一部し か債権を回収できなかった場合における善管注 意義務違反の有無
被告商標と原告商標との類似性により,原告商 標を使用する原告の業務と被告商標に類似する リンク用看板を使用する被告商標の通常使用権 者の業務との間において広義の混同を生ずるお それがあるとしても,同使用権者において他人 の業務との混同を惹起せしめるような商標の不 正な使用行為はないから,同使用権者の行為は 商標法 53 条 1 項の「他人の業務に係る商品若し くは役務と混同を生ずるものをしたとき」に当 たらないとされた事例
1 国民健康保険組合の理事長が理事に対して 行った辞職の勧奨が社会通念上相当と認められ る範囲を逸脱するものでなく,不法行為は成立 しないと判断された事例
2 国民健康保険組合の理事長が理事の解任決 議を提案した行為について名誉毀損による不法 行為が成立しないと判断された事例
〔解 説〕
1 本件は,医療観察法に基づく入院等の申立て事件において,原々審が,殺人未遂という対象行為の存在を認め,対象者についてアルツハイマー型認知症により心神喪失の状態にあったと判断する一方で,同法による医療を行う必要性が認められないとして同法42条1項3号による医療を行わない旨の決定(...
1 国立大学法人が所持しその役員又は職員が組織的に用いる文書についての文書提出命令の申立てと民訴法220条4号ニ括弧書部分の類推適用
2 民訴法220条4号ロにいう「公務員」には国立大学法人の役員及び職員も含まれるか
ヌードマウス事件 確定した前訴(差止請求)と同一の当事者間に おける同前訴と同一特許に基づく本件の請求(損害賠償請求)においては,信義則上,前訴 判決で判断された構成要件解釈と異なる主張を することはできないとされた事例