1 計算鑑定により特許法 102 条 1 項に基づく 損害額を認定した事例
2 専用実施権を設定した特許権者は,特許法102 条3項に基づく請求をすることはできない が,得べかりし実施料収入を失った損害が生じ ていれば,民法 709 条に基づく請求をすることができる
大阪地検犯人隠避事件控訴審判決 地方検察庁の幹部検察官 2 人が,共謀の上,職 務に関して証拠を隠滅した犯人である部下の検 察官を隠避したと認められた事例
面会交流の内容や条件を具体的に定めることな く概括的に面会交流を許した審判を,審理不尽 として原審に差し戻した事例
市長が,かつて,反社会的とされる新興宗教団 体の幹部であり,悪質な勧誘,信者らに対する 嫌がらせ,脅迫,わいせつ行為をしていたとす る週刊誌の記事について,出版社,編集長,担 当記者において摘示事実が真実であると信ずる に相当な理由があったとして,名誉毀損を理由 とする損害賠償請求などが棄却された事例
旧日本電信電話公社共済組合を引き継いだ年金 基金が退職に際して退職一時金を受給していた 元組合員に対して制度改正を理由にその間の複 利計算による利子相当額を加えた金額の返還を 求めたところ,利子の利率を年 5.5%などと定 めた政令は無効であるとして利子相当額の請求 部分が棄却された事例
1 灯油を流すために設置されたフレキシブル メタルホースが破損して灯油が周辺の土地に流 出した事故について,同フレキシブルメタル ホースには製造物責任法上の欠陥があるとされ た事例
2 いわゆる明示的一部請求の訴えの提起によ り残部についても裁判上の催告としての消滅時 効の中断の効力を生じ,請求の拡張申立てによ り残部についての消滅時効は確定的に中断した とされた事例
〔解 説〕
1 本件は,東京都世田谷区内で事実上の夫婦として生活しているX3(父)とX2(母)との間の子であるX1に係る出生の届出について,戸籍法49条2項1号所定の記載事項である「嫡出子又は嫡出でない子の別」が届書に記載されなかったため,世田谷区長(以下「区長」という。)により上記届出が受...
〔解 説〕
1 本件の概要
事案の概要は次のとおりである。
AとBは兄弟であり,Aは昭和32年に本件建物を取得し,Bは昭和43年にその敷地である本件土地を含む1筆の土地を取得した。その後,Aは平成5年に死亡して,YがAの権利義務を相続し,Bは平成7年に死亡して,X1とX2(以下「Xら」と...
日航機墜落事故に関して著述された控訴人書籍 に,同事故の犠牲者の遺族が著述した被控訴人 書籍の複製又は翻案に当たる部分があると判断 された事例
1 株券の公開買付けの実施に関する事実の公 表前に,証券会社の執行役員が知人に情報を伝 達して,知人に株券を買い付けさせたというイ ンサイダー取引の事案について,執行役員と知 人との共同正犯の成立が認められず,執行役員 が金融商品取引法 167 条 3 項の罪の教唆犯に当 たるとされた事例
2 金融商品取引法 167 条 3 項の罪の教唆犯の可罰性
刑法 20 条の適用については,同法 19 条により 犯罪行為ごとに没収事由の有無が検討された上 で,その罪について同法 20 条が適用されると 解するのが条文の文言上も素直な解釈であり, その適用を受ける罪については,同条が適用さ れない罪と科刑上一罪の関係にある場合にも同 条が適用されると解するのが相当である
1 民事訴訟において相手方が証拠を改ざん・ 編集したなどと主張したことが,名誉毀損とし て違法であるとは評価できないとされた事例
2 証拠を改ざん・編集するなどして不当に訴 訟を提起したと主張された事案について,訴え の提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく 相当性を欠くとまでいえず,不法行為を行ったと認めることはできないとされた事例
被告人が,対面信号機が赤色表示であったのに 車を交差点に進入させ,左右道路を青信号に 従って直進してきた被害者の車に衝突させ,被 害者ら 6 名に傷害を負わせたが,事故当時,睡 眠時無呼吸症候群により,予兆なく急激に睡眠 状態に陥り,前方注視義務を履行できない状態 にあった疑いを否定できないとして,無罪が言 い渡された事例
債権差押命令のうち確定期限が到来していない 定期金債権による差押えの部分につき,その必 要性が失われたとして民事執行法 153 条 1 項による取消しが認められた事例
1 NHKが放送受信契約を締結しない者に対 して受信料を請求することの可否
2 放送法 64 条 1 項の合憲性
被告人の取調べ状況を録音・録画した DVDに ついて,検察官が類型証拠として開示するに際 し,弁護活動終了時にデータを消去しなければ ならないとの謄写条件を付したところ,弁護人 が当該条件を付さない証拠開示を求めたが,そ の請求が棄却された事例
選挙管理委員会の委員について月額報酬を定め る東京都杉並区の条例の規定は,委員がその職 にあった特定の月の全て又はその大部分の日に おいて疾病等のために職務を遂行することがで きなかった場合を含めて一律に月額報酬の全額 を支給するものとする限りにおいて無効である として,不当利得の返還等の住民訴訟の請求が 一部認容された事例
〔解 説〕
1 本件は,覚せい剤密輸入事件につき,裁判員が参加した第1審判決が無罪を言い渡したのに対し,控訴審判決が刑訴法382条に定める事実誤認を理由に破棄,有罪の自判をし,被告人が上告していた事案について,控訴審判決には同条の解釈適用の誤りはないなどとして決定で上告を棄却したものである。...
1 国の重要文化財である建築物(旧磯野家住宅,別名銅御殿)の近隣に居住する住民が文化 庁長官において当該建築物の隣地に高層マン ションの建築を行った者に対して文化財保護法 45 条 1 項に基づく重要文化財の保存のための環 境保全命令をすることの義務付けを求める訴え の原告適格を有しないとされた事例
2 国の重要文化財である建築物(旧磯野家住 宅,別名銅御殿)の近隣に居住する住民が提起 した文化庁長官において当該建築物の隣地にお ける高層マンションの建築につき文化財保護法 43 条 1 項本文に規定する重要文化財の保存に影 響を及ぼす行為に対する許可手続を行う義務が あることの確認を求める訴えにつき確認の利益 が認められないとした事例
1 LPガスボンベの配送員について労働者性を認めた事例
2 使用者が月額 22 万円を支払う旨約しながら,配送員の売上げから車両経費を差し引いて 月額 22 万円を超える場合はその超過額を歩合 給として支払う一方,22 万円に達しない場合 は,貸付金として計上して翌月以降清算してい た点について,労働基準法 27 条の趣旨に反するものであり,月額 22 万円から貸付金を差し引いて清算した限度において公序良俗違反で無 効とし使用者が不当利得返還義務を負い,また,清算が終了しないまま退社した配送員については債務が不存在であることを確認した事例