〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,東京都府中市内の区分建物を共有し,その敷地権に係る固定資産税の納税義務を負うXが,府中市長により決定され土地課税台帳に登録された上記敷地権の目的である各土地(以下「本件各土地」という。)の平成21年度の価格を不服として,府中市固定資産評価審査委員会(...
〔解 説〕
1 本件は,Aの相続人であるXらが,Aは鉄道高架下の建物(本件建物)で長年勤務していた間に本件建物の壁面に吹き付けられた石綿(アスベスト)の粉じんを吸入したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患して自殺したと主張して,本件建物を所有する鉄道会社であるYに対し,所有者の土地工作物責任(民法...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,担保不動産競売事件において,土地の売却許可決定を受けて買受人となったX(抗告人)が,民事執行法75条1項に基づき,売却許可決定の取消しを求めた事案である。
Xは,本件土地の隣接地の建物に暴力団幹部が居住し,暴力団関係者が本件土地に自動車を駐車してこれを...
勾留されていた被告人であった者についても, 公判期日等に出頭することに伴う積極的損失(いわゆる出頭諸雑費)は費用補償の対象となる
住民訴訟で勝訴した原告らが地方公共団体に対 し地方自治法(平成 14 年法律第 4 号による改正前のもの)242 条の 2 第 7 項に基づき支払を請 求することのできる「相当と認められる額」は 1億5000万円と算定するのが相当であるとして, 当該地方公共団体に対し同額の支払が命じられた事例
複数の一斗缶に詰められた被害者 2 人の死体が発見された事件で,被告人を被害者 2人を死亡させた犯人であると認め,被害者 1 人に対しては殺意を認めて殺人罪の成立を,もう 1 人に対 しては殺意を否定して傷害致死罪の成立を認めて,懲役 28 年を言い渡した事例
1 弁護士法及び弁護士の報酬に関する規程上 弁護士に依頼者との間での委任契約書の作成義 務が存するとしても,認定された事実関係の下 では契約書が作成されていないことが委任契約 の成立自体には影響を与えないとされた事例
2 弁論準備手続終了後の新たな攻撃防御方法 の提出が,認定された事実関係及び具体的な訴 訟経過の下では時機に後れた攻撃防御方法とし て却下すべきとまでは認められないとされた事 例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,破産法160条3項のいわゆる無償行為否認に関し,X(破産管財人)が,Y(国)に対し,(1)A(破産者)がしたB(Aの子会社)の滞納国税の納税保証(本件納税保証)を同項に基づいて否認し,Z(処分行政庁)がした充当処分(本件充当処分)によって本件納税保証債務...
〔解 説〕
第1 事案の概要
1 本件は,次の2つの請求からなる事案である。
(1)Xが,貸金業者であるA及びこれを吸収合併したYとの間で,基本契約に基づいて継続的に金銭の借入れと弁済を繰り返したところ,過払金が発生していると主張して,Yに対し,過払金合計182万7505円及び法定利息の支払...
〔解 説〕
1 本件は,ファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供しているYが,事業会社(後に破産。以下「破産会社」という。)との間で事業の存続を目的とするアドバイザリー契約を締結し,破産会社がこれに従って事業譲渡を行ったところ,破産会社の破産管財人Xが,Yはアドバイザリー契約に基づく義務...
〔解 説〕
1 事案の概要
平成17年12月8日,Y(東京証券取引所)が開設する証券取引市場において取引を行っていたX(みずほ証券)は,東証マザーズに新規上場したジェイコム株式会社の株式(本件銘柄)につき,従業員が顧客から委託を受け,「61万円で1株」と売り注文をすべきところ,誤って「1円...
地方公共団体の総務課長からパワーハラスメン トを受けたことによりうつ病が悪化した等と主 張する国家賠償法 1 条 1 項に基づく損害賠償請求が一部認容された事例
1 絞首刑は憲法 36 条にいう「残虐な刑罰」 に当たるか
2 我が国の立法機関が明治 6 年太政官布告第65 号の制定後に死刑の執行方法に関する法律を制定していないことと憲法 31 条
1 自転車便の請負人が出勤途上に起こした交 通事故について,注文者である自転車便業者の 使用者責任が認められた事例
2 症状固定日後の損害の中間利息控除の基準 時について,口頭弁論終結時ではなく,症状固 定時とするのが相当であるとされた事例
贈答用商品カタログの印刷・製本に関し締結さ れた元請契約及びこれに続く第 1 次,第 2 次及び第 3 次下請契約において,下請人が完成させ た目的物に瑕疵があることが認定され,これを 前提に請負人の請負代金請求及び注文者の損害 賠償請求の当否がそれぞれ判断された事例
大学水泳部員が中国での高地合宿で潜水中に急 死した事故につき,死因が不明であり,大学及 びコーチに安全配慮義務違反は認められないと した事例
脳動静脈奇形摘出術を受けた患者に,左片運動 麻痺等の障害が残遺したことについて,適応違 反,止血義務違反及び血腫除去義務違反を否定 し,ドクターハラスメントとの主張についても 否定したが,担当医師に外科的治療の危険性及 び保存的療法の利害得失等に関する説明義務違 反があったとして,自己決定権侵害による慰謝 料の限度で請求を一部認容した事例
〔解 説〕
1 檜原村は,行財政改革の一環として課長職にある者に対して勧奨退職を行い,これに応じた課長を嘱託員として再雇用し,賃金及び諸手当を支給していたところ,村会議員の一人が,上記賃金等が高すぎて違法であるとして,村が村長個人に対して損害賠償を請求するよう求める先行の住民訴訟を提起した。...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,信用保証協会と金融機関側との間において,金融機関側が,保証協会との間で保証契約を締結したうえで,貸付金を詐取する目的で中小企業の実体を仮装した株式会社に対する貸付を実行したところ,債権回収が不可能となったことから,保証協会が負う保証債務の履行義務の存否が...